パレード(LINK:primeira desejo 112)
長いパレードも終わりが見えてきた。
先頭を往くマランドログループがパレードの執着地点に辿り着く。
ゴールはもう少しだ。
今はまだ辿り着いてはいないパシスタたち。
さすが歴戦のベテランパシスタは、疲労は絶対にあるはずなのにそのステップのキレに衰えはなく、輝かんばかりの笑顔も健在だ。
中堅のパシスタはポーズで止まったり、観覧者と握手などをしたりして、踊る以外のサービスで体力の回復を図る工夫で凌いでいる。
子どもや学生たちのダンサー『クリアンサス』は、年長組は若さゆえの体力でまだまだ元気だが、一部ペース配分を誤り初期に激しく踊りすぎたダンサーは、足から軽やかさが失われている。
年少組はステップではなく歩きで、観覧者に向かって手を振るなどの動きで通り過ぎていった。
限界でも質を落とさない者も、余力を残している者も、限界を超えている者も、それでもそれぞれが沿道の観客へのサービス精神を忘れず、目の前のゴールに飛び込むようなことはしないで、ゆっくりとパレードの最後を演じていった。
ダンサーたちがゆっくりと、次々にエンドラインを超えていく。
エンドラインを超えても観客からは見える位置にいるダンサーたちは、その場で踊っているが、ダンサーのコンディションによっては、少しでも視線を遮られる場所に移動して即給水を受けたり、衣装に違和感があった場合などは該当する箇所を外したりしている。
バテリアたちはエンドライン間際まで来ると一旦止まる。演奏は続く。
ダンサーは全て捌けているが、バテリアの女王たるハイーニャはその場に残り、バテリアの音で踊り続けている。
サンバはダンサーが主役のように扱われることが多いが、この瞬間はハイーニャに鼓舞されて躍動感たっぷりに演奏するバテリアが主役だ
ダンサーのようにポーズや観客との絡みなどで演技を途絶えさせることはなく。
手が塞がっているので滅多に給水は受けられない。
そんな状況でも長時間の演奏をやりきるバテリアたち。
残ったエネルギーを爆発させるように最後の締めへと向かっていく。
すごい! けど、大丈夫? このあとステージもあるのに。
ヂレトールの手の動きに合わせ、「おー! おー!」と声を上げながら、演奏はクライマックスへ。そして、キメ。
音に合わせ、ハイーニャはビシッと止まる。
エンドラインを超えた位置でたまっているダンサーたちも合わせてポーズを決めていた。
拍手と感性に包まれる中、観客に頭を下げたり手を振りながら隊列は一旦バレてゆく。
私も周囲に頭を下げながら、ステージ脇のスタンバイエリアへと移動する。
あの母娘に主催側のスタッフがショーの開始時間を伝えていた。
きっと観に来てくれるだろう。