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願子との薄い会話 (LINK:primeira desejo36)

 私に大学が楽しいかを問うがんこ。


 出会ってしまって気まずい、ではなく、気まずい思いをしてでも出会いに来た。

 それならば、目的があるはずだ。

 訊きたいことや言いたいこと、お願いごとなんかがあるならあり得る行動だ。


 しかしその質問は、どうしても言いたいことでも訊きたいことでもない内容だった。

 情報を得るための手段としての質問ではなく、質問すること自体が目的となっている質問。


 それが意図していることは。

 とにかく何でも良いから話しかける必要があったということだろうか。


 何でもいいから話しかけたい、ではなさそうだ。それなら表情はもう少し前のめりというか、勢いがあるはずだ。


 気まずい表情は、どちらかと言えば後ろに下がりがちなものを背を押されて前に出てきてしまったという印象だ。だから、必要があったという由来の方が可能性は高いだろう。



 質問の内容は薄い。

 自然、交わされるやり取りは溶けて消える空気のようなもの。目に見えて何かが残るようなものではない。


 本来、姉妹のやり取りなんてそんなもので良いのだ。目に見えて何かを残して等いなくても。



 ひとは空気が無くては生きていけない。

 無意識な呼吸のように交わされる会話が、本当は大切なのだ。




 薄い内容。

 もともと無理をしていたがんちゃん。


 貴重なおしゃべりの時間はすぐに終わってしまう。


 私のトーク力でこの得難い時間を延ばすことはできる。

 でも、この時間はがんちゃんが作り、がんちゃんが終わらせるから貴重なのだ。


 物足りないくらいで終わる。

 それがごちそうの味わい方というものだろう。




「ありがとう。ココアもごちそうさま」

 がんちゃんは食器を片付け、自室へと戻っていった。




 私に話しかけたい、ではなく、話しかけた方が良いと思うなにかがあったのか。


 がんちゃんは今日、学校でできた友だちの家に呼ばれ、遊びに行っていたようだ。


 友だちの自宅にお邪魔したのだから、ご家族ともお会いしたのかもしれない。そこで何か思うところができたのだろうか。


 がんちゃんにそんな風に思わせた友だち、またはその家族。

 少なくとも、がんちゃんに悪い遊びを覚えさせるようなタイプではないと思えた。




 がんこはがんこの人生を、自ら選び、切り拓き、進んで往って欲しい。


 それが自らの手で選んだものなら、悪い結果さえも自分の人生の一部だ。


 それでも肉親の情としては、より善く在って欲しい、幸せで在って欲しいと思う。


 がんこは周囲に負の要素が少ない、健全な生き方をしているようで安心した。

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