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 らーめんは美味しかった。

 グルメ系の漫画で取り上げられたこともあるというお店だ。せっかく大手町に行くなら寄りたいと思っていた。

 私の計画に乗ってくれたみんなへの報酬も兼ねて、ご馳走させてもらった。

 みんなも満足してくれたようで良かった。



 満腹感と満足感を抱えたまま家に着き、自室に戻った私は早速トークアプリの履歴から直接通話ボタンを押した。

 待ち構えていたわけではないだろうけど、すぐに繋がった。


 挨拶もそこそこに、メッセージで送っていた一報を少し補足しながら、今日の成果について話した。

 ハルは適宜相槌の反応を返しながら話を聴いていた。



「……全体的な流れはそんな感じで、まあ細かいところではイレギュラーもあったけど、大筋は予定通り。イレギュラーはむしろ、良い方向に転じたんじゃないかと」



「提案内容やコンテンツへの理解を得るのは大事だが、サンバそのものの持つ、資料では表せないエネルギーや勢い、プレイヤーの情熱や熱情が伝えられたとしたら、望外の結果と言って良いのだろうな。がんこやひいのような、青く熱い魂たちは適任だったというわけだ」



 ハルの感心したような声色に、誇らしい気持ちになる。

 ハルはこれまでの準備や段取り、またはそれに関する相談の場などで、しきりに私を認めてくれるような発言や、感心をストレートに伝えてくれた。無論そのときも嬉しかったが、その比ではない。

 がんちゃんとひいが褒められるのは、我がこと以上に嬉しいものだった。



「まさに。整え、土台を作ったのは私やほづみだったかもしれないけど、あの場を創り上げたのは間違いなくがんことひいでした」



「頼もしいな」



 同感だった。

 日に日に成長する若者たち。目に見えての成長は驚きを伴う感動を与えてくれる。


 もっとも、ハルの感じた若者への頼もしさは、いくらも歳の変わらないほづみや私も含めているのだろうけれど。



「それほど期間は空けずに結果の連絡はもらえそうだったよ。感覚としては、阿波ゼルコーバへの改まったプレゼンは無くて大丈夫そう。姫田への感触は良かったし、とりあえずは落ち着けるかなぁ」



「本当にお疲れ様。場を創ったのは高校生たちだったとはいえ、整えが成否の、そして手筈の八割九割を担っていたのは事実だろう。若者に助けられてばかりだな。大人にも頼ってくれよ」



「もちろん! 取れたら具体的な構成とか練習とか、徳島のチームとの調整やら打合せやら、諸々お任せするので! 私はちょっと楽させてもらうね」



「ああ、是非そうしてくれ」

 ハルは少し笑った。



「あー、ちょっとほっとしたぁ。やー、この前倒れちゃってさー、さすがにびっくりしたよ~」



「倒れた?」

 さっきまで笑いを帯びていた声が、硬質的なものに変わった。



 あ。失言したかも。ちょっと気が緩んでたかな。


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