働く願子
がんこがバイトしている様子を見たい。
だからと言って直接見に行くのは避けた方が良い。
昔のフィクションなんかでたまに見る、変装って手段は、実際は簡単にばれてしまうだろう。
そんなリスクなど負わなくても、感覚を延ばせば良い。
感覚を延ばす。
別に超能力の類の話ではない。外付けによる機能拡張の話だ。
私が妹を心配し、でも家族に来られるのは嫌がられていて、困っているという話をすれば、様子を見に行ってくれる親切な友だちは何人か居る。
事実のみで構成された話だ。何ら後ろ暗いことは無い。
食事代に交通費程度の色を付けて、お願いすれば精密ながんちゃんお仕事レポートが得られるだろう。
私の目と耳の代わりを買って出てくれたのは総勢五名。高くついたが価格以上のフィーが手に入った。
なんと、がんちゃんのお仕事動画と画像データをいただけたのだ。
勿論盗撮ではない。
五人の中に誕生月の者がいた。
店舗では予約時に誕生月であることを伝えると、簡単なケーキが振舞われるサービスを提供していた。
パチパチと弾ける花火が刺さったケーキを持ったがんちゃん。
店内の音響はスティービーワンダーの「happy birthday」に切り替わり、照明もやや落とされた。
がんちゃんはさすがに歌っていなかったが、笑顔で「おめでとうございます」と、ケーキを提供している。
そんな一連を、潜入友だちは動画で撮影していた。
ファミレスの制服を着ているがんちゃん。かわいい。
ちゃんと仕事しているがんちゃん。ああ、かわいい。
その後、記念写真の撮影をお願いされたがんちゃんは、一度潜入友だちのスマホを渡され、撮影しようとしたが、別の潜入友だちが、「店員さんも入っちゃってよ!」と、スマホを取り上げ、がんちゃんを無理やりメンバーの内側に入れ、自撮りカメラで撮影した。
私はその機転を利かせた友だちに、特別な賞をあげなくてはならないと思っている。
ちょっと困りながらも、撮影の瞬間は空気を読みやや引きつりながら笑顔を見せて写真に写っているがんちゃん。
待ち受けにしよう。
ありがとう。
このファミレスには料理の他にもごちそうがあった。




