ひとつの祝福と呪い (LINK:primeira desejo 序1)
私は生まれたときに背負ったひとつの宿命がある。
それは祝福であり、呪いだ。
選べない両親、そのルーツ。
家柄によっては代を重ねるごとに重くなったそれを、生まれながらに背負わされる子はどれくらいいるのだろうか。
私の家系は幸いそれほどのものではなかったが、選べないもののひとつである母がそこに拘った。
母が拘る、家系というものを重んじた家で、同じく選べなかった長子という立場を得て生まれた私は、母の過剰な想いと、父のそれなりの期待を一身に受けて育った。
母からは家柄に見合う人間に育つよう躾けられたが、言うほどたいした家柄ではないのだ。
それほど折り目正しく育つ必要は無かったのかもしれないが、私は、凡そ母が納得できる程度の品格は身に着けたのだろう。母は私に対して満足そうな様子でいることが多かった。
三年後、妹ができた。
当時三歳であった私に今に残る記憶など殆どないが、とにかく妹が可愛かったし、妹を可愛がったという、具体的な事柄ではなく、当時抱えた感覚に関しての記憶が残っていた。
当時の写真や、同時を知る大人たちの話からも、その記憶に間違いはないと思われた。
妹の面倒をよく見ていた私を、母も父も喜んだ。
私も好きでやっていたことだから、負荷など感じず、それが当たり前のように過ごし、時を重ね、成長してきた。
そうして出来上がったのが、今の私である。