【オイルショックも?】イスラエルVSイランの構図に対して「中立」であることの重要性【両国共に親日】
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今回はイランがイスラエルに対してミサイルやドローンを撃ったことに対して、
日本は「中立」である必要性があることについて個人的な解説を行っていこうと思います。
質問者:
どうしてそもそもイランはイスラエルに対して攻撃を仕掛けているんでしょうか……。
◇複雑な歴史が絡んでいるためにどちらが悪いと断言することは不可能
筆者:
4月1日にシリアの首都ダマスカスにあるイランの大使館をイスラエルが攻撃し、
司令官の1人と副官を含むあわせて7人が亡くなったという事がきっかけです。
質問者:
イスラエルの行動も国際法違反だからその報復という事ですか……。
※ウィーン条約(1961年)
第31条 在外公館の不可侵権
第79条 領事機関の設置、移動・通信の自由、裁判権からの免除
筆者:
ここからが複雑なのですが、ダマスカスのイラン大使館にはパレスチナのハマスやレバノンのヒズボラなどを後方支援していたイラン司令官がいてその方が亡くなったという事なんですね。
ちょっとこじ付けはあるのですが、イスラエルはかねてから「ハマスの殲滅」「パレスチナをイスラエルに統一」を目標に掲げているので行動原理の一貫性としてはあると言えるんです。
質問者:
なるほど……長年の中東情勢の行きつく先になるかもしれないんですね……。
筆者:
正直なところ中東情勢は一朝一夕に解決できるものではありません。
最早、イスラエルとイランどちらが良い悪いと断言できるレベルではないと思うんです。
ユダヤ教徒イスラム教の「聖地」を巡る宗教観による争い、
イギリスの三枚舌外交、
追い出されたイスラム系住民など、
これまで100年以上蓄積されてきたものが今僕たちの世代で新たなエスカレーションになりつつという事に過ぎないのです。
どちらも国際法違反や戦争犯罪をしているという要素は間違いなくありますからね。
ただここで気になるのは日本の報道や外交が“イスラエル寄り”に偏っているという事です。
質問者:
時事通信などの記事では、
『先進7カ国(G7)首脳は14日、イランによるイスラエル攻撃を受けてテレビ会議を開き、対応を協議したところ、
終了後に発表された首脳声明は「前例なき直接攻撃」を強く非難。中東地域に「制御不能な(戦闘の)拡大を招く危険を冒している」として、イランにこれ以上の攻撃を行わないよう求めた。
G7首脳は声明で、イスラエルに対する「全面的な連帯・支持」と「安全保障への責任ある関与」を表明。地域の不安定化を図る企てには「一段の措置を講じる用意がある」と警告した。よう求めた。』
と確かにこれまでの流れを完全に無視してイラン批難オンリーという感じになっていますね……。
筆者:
確かに今回の紛争はハマスがイスラエルにテロ行為を起こしたことがきっかけになりましたが、その後にイスラエルがパレスチナの民間人に多大な犠牲を及ぼし、
無用なところにも攻撃を加えている事実も否定できないわけです。
平等に公正な立場であるのであれば、イスラエルの非人道的な行動に対しても日本は批難声明などを行うべきです。
しかし、「イランがイスラエルを攻撃するのが悪い! 制裁を!」というG7の主張のみを取り上げ報道し、日本もそれに乗っかっているという状況は大変危険のように感じます。
◇アメリカがイスラエル一辺倒になれない理由
質問者:
どうして、G7はこれまでの歴史を無視してイスラエル一辺倒になっているんでしょうか?
筆者:
やはり「ユダヤ資本」の影響が大きいように思います。
一流の世界的なIT企業はユダヤ人が多く社長になっているところが要素の一つとしてあります。そういった会社から献金を受ければ自然とユダヤ人・イスラエル寄りの政策を取っていくことは致し方ないことだと思います。
そして、ユダヤ資本が直接関わっていないにしても欧米に追随する日本はそれに大きく影響されてしまうという事です。
だから僕は政治が歪んでいくので政治献金などを禁止していくべきだと考えているわけです。
質問者:
なるほど、政治的影響力が欧米では多大なわけなんですね。
しかし一方でアメリカは軍事的支援を続けるもののイランに対する反撃は支持しないという報道もありましたがあれはどういう事なんでしょうか?
筆者:
これはちょっと複雑でして、今アメリカ大統領選挙の事前世論調査でバイデン大統領は苦戦しています。
特にイスラム系統の支持を得られないとスイングステート(民主か共和か選挙によって揺れ動く州)と呼ばれる一部のミシガン州などで不利になっているんです。
民主党大統領候補指名争いでは他に有力候補がいないために「その他」という票がイスラム色が強い州では非常に伸びたことに強い危機感を示しているために、
「イスラエル一辺倒」といった政策をアメリカは取りにくくなっているのです。
質問者:
なるほど、アメリカは大きな流れでイスラエル支援をするしかないものの選挙の都合上、極端にイスラエル支持は難しいという事ですか……。
筆者:
ただ、大きな流れでは日本は欧州に追随してイランを批難し、イスラエルを支持・支援する方向には変わりないでしょうね。
◇「イラン単独」で見た場合には制裁の影響は薄いのだが……
質問者:
このままでは日本はイランとの関係が悪くなることが予想されるんですけど、
そのことに関して日本はどのような影響があるのでしょうか?
筆者:
まず日本とイランは2000年代までは非常に良好な関係で石油などの輸入高は非常に多いものがあり、毎年15%前後でした。
しかし、イランの核開発問題による制裁のために今現在はほとんど貿易をしていない状況になっています。
質問者:
そうなると制裁を加えて完全に貿易をしなくなっても問題は無いという事なんですか?
筆者:
「イラン単独」で見た場合はそうだと思いますが、事は簡単ではありません。
イランは地政学上、「中東の海洋要所」ともいえるホルムズ海峡を持っているんですね。
ホルムズ海峡では日量約2,000万バレルの原油・石油製品が行き交うが、これが止まれば、OPECプラスの原油生産全体の日量4,300万バレルの半分程度の海上輸送がストップしてしまうと言われています。
イスラエルとイランがこのまま紛争や戦争まで直接的にエスカレーションするかどうかは分かりませんが、
イランを極端に批判するようなことがあれば、ホルムズ海峡を日本船が通れなくなると言った恐れがあるんですね。
質問者:
石油が4割以上も届かなくなるだなんて大変じゃないですか……。
筆者:
それに対してEUは中東から海を介さなくても輸入できるので、状況が全く異なるという事を主張する必要があります。
このリスクは”これまで大丈夫だったから大丈夫だろう”という事で片づけてはいけません。エネルギーの問題はそれだけ死活問題だからです。
ただ、仮に封鎖されてますある日突然石油が無くなることはないと思います。
日本国家として石油備蓄は3か月ほどありますし、ホルムズ海峡ではなくアフリカの喜望峰周りなったりすることで時間はかかりますが石油は届きますね。
ただ、輸送距離・時間が長くなればそれだけ価格にも上乗せされますからね。
今のガソリン価格、電気代価格などが1.2倍とかそれ以上になることも覚悟しなくてはいけませんね。
ガソリンの補助金も今のままですと夏ごろに終わるとのことなので、ここからさらに上がったら大変なことだと思います。
質問者:
石油商品が無くなることはないかもしれませんが、値上がりは避けられないという事ですか……。
筆者:
「イラン批難」の裏にはそういったリスクがあるという事をもっと報道して欲しいところですね。
外交を行っている上川外務大臣などの方々も分かってやっている。リスクをどこかでペイできると思いたいところなのですが……。
質問者:
そうなると本来は日本はどうしたら良かったんですか?
筆者:
ウクライナについてもそうなのですが、遠い国のことはどちら側にもつかずに「なぁなぁ」で十分だと思います。
イスラエルとイランについてはどちらを取っても親日国でどちらかの肩を極端に持つことは「マイナスでしかない」という認識が適切だと思います。
どちらかというと中立側に立ち、紛争を仲介するような役割を持てたと思います。
質問者:
ただ、イランがホルムズ海峡を持っていることに関しては理解しているご意見が多いですよね?
筆者:
そうですね。世論に反するような施策をして欲しくないですね。
特に岸田政権は調査によっては10%台、高くても20%台中盤程度ですからね。
2年半前の総裁選に勝った時の「ご祝儀勝利」で国民の信任を得ていると勝手に思い込んで独善的な判断を次々とし続けているのは問題ですね。
どんどん声を上げることによって首相や外務大臣を何とか食い止められればと思いますね。
質問者:
難しそうな場合には石油製品――トイレットペーパーなどは事前に買った方が良いのでしょうか?
筆者:
まだそこまで恐れる心配はないと思いますけど、お金と場所に余裕があるのでしたら検討してみるのもいいのかもしれませんね。
最悪はまた中東戦争になって「オイルショック」が再来する可能性もありますからね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はイスラエルとイランの対立は積年の歴史の流れからどちらに大きく非があるか比べることが出来ないこと。
欧米がイスラエルの肩を持つのは政治献金によって客観的な立場に立てていないこと。
イランにへそを曲げられてしまうと日本は原油輸送に大きく期間と費用がかかってしまうために、本来であれば「なあなあ」ぐらいでいるのが一番適切だという事を述べさせていただきました。
今後もこのような時事問題や政治経済マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。