エピローグ――未来へ
短い期間でしたが、読んで下さった方々ありがとうございます。
これで、この物語は最後となります。
僕は久しぶりに人間界を訪れていた。
神と人間との戦いの中で、僕たちが起こしたクーデターが成功したあとはしばしば訪れていたけど、正式に大神になった後は訪れる頻度が減っていた。
前回、訪れたのは三年ほど前だったはずだ。クーデターからは、実に七年が経過していた。
あの事件から神と人間は良好な関係を築き、それが今も続いている。
元々、人間好きな神なんかは、高天原を出て人間界で暮らしているほどだ。
その逆は今のところないみたいだ。
今回僕が人間界を訪れたのは完全にプライベートな用事だ。
「わりぃ、待たせたな。サクヤの準備が遅くてよぉ」
「さりげなく私に擦り付けないでよ! ヤマトのせいでしょ!」
待ち合わせ場所である高台の一本の木の下に二人がやってきた。
そう、用事というのは二人に会うことだ。
「いいよ、気にしないで。サクヤは大変でしょ? お腹の子。まぁ、ヤマトは気にした方がいいと思うけどね」
「そ、そうだな」
「まったくよ」
二人に会うのも三年ぶりだ。
知らせは聞いていたけど、まさか結婚していたとは。少し驚いたよ。
不自然じゃあないけど。驚いたというよりかは、ビッグニュース?
今は二人の間に子供までいる。
悠久の時を生きる僕からすると毎日がとてもゆっくりだけど、そういうのを聞くと時が進んだなぁって思う。
「しかしあれだな、神様だからかニニギはそんなに変わってねぇな」
「そう?」
確かに、僕たち神は劇的に変わるなんてことはそうそうないけど。
「ほんとね、羨ましいわ」
「サクヤも変わったけど、それはそれでいいと思うよ」
「ありがと」
サクヤはスサノオ様の遺志が消えてから、時が経つごとに髪の毛の色が黒くなっていった。今では元々の髪色はなく綺麗な黒髪だ。
「俺らはちょいちょい変わったとこあるけど、ここからの眺めはそんなに変わんねぇな」
大げさに見渡す素振りをしてヤマトが言った。
「確かに、この七年で色々と変わったけど、ここはほとんど学生時代のままって感じだね」
眼下に見通せる学校も、周りの住宅地もほとんど変わっていない。流石に遠くに見える街並みは変わっているけど。ざっと見渡せる範囲では大きな変化はない。他は戦災からの復興で大きく変わってしまったけど。
まぁ、ここは元々被害を受けていないから、というのが大きいかな。
「変化もいいけど、こうして変わってほしくない、残っていてほしいところもあるわよね」
感慨深くサクヤが言った
僕もそう思う。
僕にとってはこの場所は特別な場所だから。もちろん、ヤマトやサクヤにとっても、そうだと思う。
なにせこの場所は、僕が大神になるって誓った始まりの場所だからね。
もう八年も前のことだ。あの時は人と神とが共存する世の中にする、っていうのも言ってたっけ。
なら、今のこの世の中なら合格をもらってもいいのかな。
折角この場所にいるんだ。そろそろ、次の目標を立てよう。
次は何がいいかな。
何となく視線がサクヤのお腹に止まった。
そうだ、これがいい。
「当たり前だけど、この今の平和な世の中を未来永劫続けよう。それが僕の新たな目標だ」
「いいんじゃない?」
「ああ。けど、そういうのが案外、一番難しいぜ?」
「だからこそだよ。だから、ここで誓うんだ」
僕とヤマトたちでは過ごす時間が違う。
いずれは消えてしまうもの。それはとても悲しいことだけど、どうしようもない。
だから、僕たちにとって大切なこの場所で誓うことに大きな意味がある。
「二人とも、手を」
「な、なんかこういうの、恥ずいな」
「いいじゃない」
前に出した僕の手に二人の手が重なる。
「僕はここに新たに誓うよ、この時を未来永劫守り抜くって」
明確な形なんて存在しない。
けど、それはこの瞬間、僕の心に深く刻み込まれた。
――仲間との絆。
これがあれば、僕は大丈夫だ。
なんとなく書きたかったので書いてみたのですが、ロボものは難しいですね。
次はファンタジーか現実世界かどっちかで書くと思います。
その際には是非とも読んでいただけると幸いです。




