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魂魄機動 霊魂騎士ーソウルナイトー  作者: ワンサイドマウンテン
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力を合わせて

「行って、二人とも!」


 ヤマトの駆る真・素戔嗚が天帝黒陽孁に向かって突っ込む。


「おおらぁぁぁぁぁぁ!」


 作戦のために皆の攻撃は一時止んでいる。

 お婆様とヤマトの一対一の状況だ。

 この一時だけ、数の優位は失われる。

 それでも、今のヤマトなら大丈夫だ。

 回避はさせずに防御をさせるようになっているからだ。


「この状況、何かを企んでいるようじゃが……なにをしようとも無駄じゃ!」


「状況正しく見えてねぇんじゃねぇの? 追い詰められてたのは誰だよ!」


 大振りに振りかぶった矛を縦に振り下ろした。

 そんな直線的な攻撃は、簡単に回避――されたかのように見えた。


「これで終わりじゃねぇぜぇ!」


 紙一重で横に逸れて回避したお婆様に向かって、空ぶったはずの矛が命中した。


「くっ、そこから、じゃと⁉」


「はっはぁ! どぉだ! まだまだ行くぞぉ!」


 なんて技量だ。いや、技量と言うよりすごい無茶だ。

 初撃はその一撃で仕留めようしていた。それほどの一撃を空ぶってすぐ、叩き込んだ。

 その勢いを超えるほどの出力をスラスターで出して、そうして次に強引につないだ。

 叩き込むために機体の姿勢もスラスターの噴出で強引に、器用に細かく調整していた。


 強引に繋げた分、威力はかなり落ちていたし防がれたけど、一度捉えたら止まらない。

 全力でアメノハバキリを打ち込んでいく。

 そこからは回避されることはなく、お婆様は全て防いでいる。


「人間が、調子に……」


「乗らせてもらうぜ!」


 ドガガッとクサナギノツルギの防御を激しく打った。

 その衝撃で天帝黒陽孁は仰け反らされた。


「私の出番ね!」


 ここでサクヤが九本の帯で追撃を仕掛ける。

 どうやったって、九本同時には受け切れない。


「ぐううっ」


 それでも六本をクサナギノツルギで払ったのは流石の性能だ。残りの三本が命中する。


「じゃが、まだ墜ちぬ!」


 体勢を立て直し、今度はお婆様が攻撃に移る。


「へっ、そんな太刀筋!」


 速度はあるが、それだけだ。悠々とヤマトは受け止め、押し返す。


「今です!」


 一対一と言う状況になり、自然とお婆様の注意は目の前のヤマトに向かう。

 他へのマークが疎かになった。

 サルタヒコの狙い通りだ。すかさず、アンカーを射出する。

 それと同時に皆が一斉に動き出す。

 元々、注意がほとんどヤマトに向けられていた中でのアンカーに加え、神々の一斉攻撃。


「――ッ⁉ 貴様ら⁉」


 立て続けに起こったために、アンカーへの対応が遅れてしまい、捕まった。

 よし! 次だ。

 掴まってしまったことに対処する間もなく神々が押し寄せる。


「援護するわ!」


 サクヤが帯で天帝黒陽孁の四肢を攻撃しダメージを与える。


「押さえろ! 動きを封じるんだ!」


 神々が叫びながら次々と漆黒の霊魂騎士に取り付いていく。


「下賤の輩どもが! 触れるなぁ!」


 ここで、また一つお婆様の判断ミスだ。

 機体性能、出力に任せて振り払おうとしたけど、サクヤの攻撃で四肢は損傷している。

 そしてそれはまだ復元させていない。振り払おうとする前に復元させておくべきだった。

 機能が低下している状態じゃあ、複数の霊魂騎士は振り払えない。


「振り払えぬ、じゃと⁉ くっ!」


 慌てて復元させたようだけど、もう遅いよ。

 今の間にも数十機は取り付いた。元に戻っても、その物量は無理だ。


「ニニギ様、完了しました」


 アンカーを強く握りながらサルタヒコが言った。

 四肢を拘束され、身動き一つできなくなっている。あとは、僕がコックピット目掛けてフツノミタマを振るうだけだ。


「ぬるい! これで勝ったと思っておるのか!」


「動けねぇでどの口が言ってんだよ。諦めろ、バアさん」


「ほざけ、消し飛ばしてくれる!」


 ――まさか⁉ いや、そのまさかだ!


 押しに押されていたから、回避と防御に集中していて能力を使う暇がなかった。

 けど、今は動けないでいる。だから、割けなかった意識を存分に向けることができる。

 至近距離で放たれたら皆は全滅だ。

 今から散開させても間に合わない。

 その前に倒すしか手段がない。


 十次元の能力を使うには神力が足りないし、球を作っている間にやられる。

 作戦通りにフツノミタマを届かせる、それだけだ。

 間に合うか?


 いや、ダメだ。お婆様の方が若干速い。

 最大、いや、限界出力なら届く。けど、神力の残量的に届かない可能性の方が高い。

 届かなければ、そこで金閃公機能停止だ。そして、それは敗北になる。

 やらなければ、皆が死ぬ。

 なら、答えは決まっている。


「限界出力!」


 超加速。

 ここまでの連戦で、神力の消耗に加え、疲労が溜まっている。

 限界出力の超加速でかかる負担に、操縦舵のレバーを握る手が震えている。

 けど、負けるわけにはいかない!


「消えろ!」


「届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! ああああああああ!」


 真っ直ぐにフツノミタマを突き出す。

 突き技と突進の相性は抜群だ。

 残り、数メートル。行ける――


 ガシャンッ――


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