地味子さんのイメチェン!
学校は文化祭での謎の美女の話題で大盛り上がりしていた。
「見た!?あれはヤバイ!」
「芸能人かなにかなのかな??」
「アンスタやフェイスノートとかにも結構アップされてたよ!」
SNSにもアップされてるようなので俺も少し見てみた。
#文化祭
#ちょーかわいい
#謎の美女現る
#キリ子ちゃん発見
#ファッションショー
などなど、かなりの数がアップされている。
地味子さん大丈夫なんだろうか?
ちょうど地味子さんが登校してきた。
やっぱり地味子さんだった。
そりゃ誰も気づく訳がないこの謎の美女が地味子さんだと。
地味子さんに俺は小声で話し掛けた。
「湿川さん大丈夫?」
「おはよう。大丈夫だけど?」
「アンスタとかフェイスノートに結構アップされていたんだけど…」
俺はスマホをみせる。
地味子さんはアワアワしている。
「私ですって言った方が良いのかな…」
「いや、言わない方が…」
仮に言ったとしても誰も信じないだろう。
もし、信じたとしても地味子さんが耐えられるかどうか…
「佐久間ー文化祭のあれ誰よ???」
「中島おはよ。え…あれはー。そう!なんか姉ちゃんのモデルの知り合いらしくて!サプライズになるかなーって思って!」
「姉ちゃん顔広いんだっけ?いやぁでもあれはマジにサプライズだったわ!あんな可愛い子を生で見れるなんてなー!姉ちゃん感謝!!」
地味子さんを見てみると、顔を真っ赤にしカチンコチンになっている。
やっぱりバラすのはやめておこう。
「光ー健人ー!私見てくれてた??良かったでしょ?」
「良かったよ!でもその後が更にすごかったねー!」
中島よ空気を読め。杏すげー顔になってっから。
「なによ!あんな意味分かんない女!部外者が私達の文化祭に乱入して来ただけじゃない!今度見つけたら絶対言ってやる!」
全然部外者では無いですよ?
杏はかなりご立腹だった。
中島は少し焦っているし。
そんなこんなで一日中その話題で尽きなかった。
日曜、俺は久しぶりにゆっくり一日を過ごそうとしていた。
「光!やるよ!」
「は?今日は勘弁してくれ!日曜の朝っぱらから…」
「そんな事どうでも良いから!」
どうでもよくねーよ。
そして逆らえない俺はいつものように無理矢理練習台…
「今日は長澤あさみちゃん風にしてみましたー!似てるー!やっぱ天才!じゃあ早く着替えて!」
「もういいじゃん!今日はゆっくりしたいんだよ!」
「は?駄目よ。これからデートするんだから。」
「はい!?」
俺は言われるがままに着替えを済ませ桐ちゃんと外へ出かけた。
まぢ落ち着かん!女装で外に出るとか、この女頭おかしいだろ!人の目が気になるー
「何キョロキョロしてんのよ!誰もあんたって分かんないわよ!あ、おーい!」
「師匠!」
地味子さん!?
なぜ?これは一体…
「あ、こんにちは。」
「なにかしこまってんの?これ光よ?」
「えーー!全然分かりませんでした!すごい可愛いです!」
「いや、あんま嬉しくないから。」
桐ちゃんは三人で買い物へ行こうとしていたらしい。
先に言えよ!
以前に地味子さんからどんな服を着たら良いのか分からないと相談されていたみたいだ。
「ジミーちゃん。あんたダサすぎよ!私が恥ずかしくなるわ!」
「え、ごめんなさい!私なりにおめかししたんですけど…」
おめかして!
「ダメダメ!そんなの裸で居たほうがよっぽどマシよ!」
「そんなに!?」
そして、桐ちゃんのオススメの店へ3人で行く事に。
店内にはお洒落な服がズラーッと並べられている。地味子さんは桐ちゃんの出す服を次々と試着していく。
「んーなんかぁ。なんだろ。やっぱり顔?そのおさげとメガネが駄目ね。」
「服全部かわいいですけど…」
「もうそういう問題じゃない!美容院行きましょ!そしてコンタクトにする!化粧は任せなさい!イメチェンよ!」
果たして俺が居る意味はあるのだろうか?
そして地味子さんは美容院へ行きカリスマ的な人にカットしてもらい化粧も桐ちゃんが済ませた。
「おぉー!すげー!」
俺はこの変わりようには絶対に驚いてしまう。
「どう…ですか?」
「いや、可愛い過ぎるわ。女から見ても嫉妬するわ。悔しい!」
「し、師匠!?」
「冗談よ!完璧だから服もいっぱい買っちゃおー!」
多分、冗談では無いだろう。かなり嫉妬しているはずだ。かわいいもん
「ジミーちゃん、それで学校行ったら?」
「え、いやぁ〜…」
「間違いなくモテるわよ?さっきもスカウトマンから声かけられたしさ!」
「学校ではちょっと…目立ちたくないというか…」
「そっかーもったいないなー!今青春しなきゃいつするのよ?今でしょ!」
ちょいちょいネタが少し古いんだよなこの人。
「あの、荷物すげー重たいんですけど。」
そういう事か俺はただの荷物持ちで連れて来られたのか。
女装も化粧も全く必要ねーじゃん。
「ちょっと私仕事あるから帰るから!光、ジミーちゃん送ってあげてね!バイバーイ!」
俺は地味子さんを家へ送り届ける事となった。
「佐久間くん今日はありがとうございました。」
「全然。桐ちゃんがああいう性格でごめんね?参るよね!」
「師匠には感謝しかないです。こんな私に優しくしてくれて。師匠大好きです!」
俺がなぜかドキっとしてしまう。
「なんか佐久間くん女装していると話しやすいです!」
「俺は未だにこの格好落ち着かないけどな!」
「ふふふ。佐久間姉弟大好きです。」
俺は更にドキドキしてしまった。
なんだなんだ?やめろ!俺落ち着け!俺は長澤あさみちゃんだぞ!相手は地味子さんだぞ!今はかわいいけど!
「化粧して学校来てみたら?」
「んー…ちょっとなぁ…佐久間くんがそう言うなら少し頑張ってみようかな…」
どういう意味ですか!?
気になっちゃうよ俺!
ちょっとキュンとした自分がここにいるよ!
「私家ここなんで。送ってくれてありがとう!荷物も重いのにごめんなさい。」
「お、おう!じゃあ!」
「またね!」
ヤバイぞ。なんだなんだ。かわいい地味子さんには調子が狂うぞ。
帰って風呂入ろ。