ランウェイの奇跡!
地味子さんいや、湿川穂希はランウェイを歩いた。
煌びやかで少しセクシーな衣装が湿川のスタイルを際立たせる。
スッと背筋を伸ばしウォーキングもバッチリだ。
桐ちゃんとの特訓の賜物だった。
だが、場内は静かだった。
それもそのはずだトリの杏が最後と思っていたその時謎の圧倒的な美少女が現れるのだから杏が普通の女子高生に思えるくらいの存在感を纏っているのだから困惑するのも無理は無い。
「誰あれ?!めーっちゃ可愛いんだけど!」
中島はライトを操作しながら見入っていた。
「ジミーちゃん!綺麗だよ!サイコーだよ!!」
桐ちゃんは興奮を隠せない様子だ。
周りはあの有名なキリ子ちゃんの存在に気づいてしまった。
「キリ子ちゃんだよ!」
「本当だ!ヤバイ!」
「なんでうちの文化祭に!?
「キリ子ちゃんの知り合いなのかな!」
「モデルの人超美人なんだけど!」
「カッコいい!」
「プロのモデル!?」
場内は杏の歓声を遥かに凌ぐ大歓声が沸き起こった。
それはもう地鳴りのようだった。
湿川さんの表情も笑顔で自信に満ち溢れている。
その辺のちょっとしたモデルなんかよりも断然モデルらしい振る舞いを見せた。
俺は奇跡を目の前で見たような気持ちだった
見入ってしまう
言葉が出ない
ライトの熱と興奮で汗が止まらない
杏はさぞ悔しがっていた事だろう。
「誰なのよ!あの女!くそ!」
そして湿川穂希はランウェイを歩ききった。
ライトが消える最後まで笑顔を絶やさなかった
「湿川さんおつかれ!すげーよ!めっちゃカッコ良かった!」
湿川さんは俺に抱きつき泣き崩れてしまった。
「死ぬかと思ったよ…」
湿川さんにとって人前であんなことをするのは初めての経験だ。
ずっと教室の隅で地味に生活をしていたのだから。
緊張や不安は計り知れなかったのだろう。
「頑張ったね。」
「はい。」
そして、ファッションショーは無事閉幕した。
湿川さんは泣き過ぎて化粧が崩れてしまっていた。
「化粧崩れちゃったね化粧落とそうか。」
誰にも見つからないよう美術室へ向かった
「あの、佐久間くん。本当にありがとう…。」
「いやいや、全部湿川さんが頑張ったからだよ」
「ジミーちゃん!あら、ハーデスからジミーちゃんに戻ったのね。」
「師匠〜…」
桐ちゃんを見てまた湿川さんは泣きだした
桐ちゃんは優しく抱きしめてあげていた
「よく頑張ったよね。全部あなたの力よ。これからも自信持ちなさいよ!」
「頑張ります〜…」
「じゃあ今日はウチで祝勝会をしよー!!光、ピザ頼んでおいて!あと、帰りにジュースと美味しい物沢山買って帰って!」
そう言い俺に財布を投げてきた
「はいはい。湿川さん何か食べたい物ある?」
「え…えっと…コンタッキーフライドチキンが食べてみたいです…」
「コンタ良いわね!光、コンタも忘れずに!」
「りょーかい。」
その日の夜はウチでパーティを行ない
桐ちゃんはあのショーをスマホで動画を撮っていた。
それを湿川さんは見入っていた。
「これ、私ですか…??」
「そーよ!カッコ良いじゃん!」
桐ちゃんはコンタは頬張りながら褒め称えている。
「ちょっと恥ずかしい…」
「何言ってんの!?このキリ子ちゃんがプロデュースしてるのよ!?自慢出来るレベルだよ!?」
「実感が湧かなくて…」
「またいつかプロデュースしてあげるわ!今度はギャラが発生するからね!へっへっへっ」
「えー!」
沢山食べて沢山喋った。
今年の文化祭は忘れられないだろう。