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女子より女子な男達。

今日は修学旅行最終日だ。


旅館を出たらすぐに帰る事になる

それまで少し時間があったので俺と古谷はみんなを呼び出していた。


古谷はみんなに知ってもらっておきたいと言うことで、みんなにもカミングアウトを決意したのだ。



「佐久間ー古谷ーなんだよみんな呼びだしてさ!」


「古谷から少し話がある。驚かずに聞いてあげてくれ。」


「みんなゴメンね…」



そして、古谷は全部話た。

自分は女の子になりたいと言う事

男が好きになること

イジメに遭っていたこと

今が凄く楽しいこと

この話をしたらみんなが変わるんじゃないかってこと



古谷は泣かずによく頑張った。


「そーなんだ!でもさ、私は薄々気づいてたけど。古谷くんなんか女の子っぽいなーって思ってたんだよね!時々仕草とか可愛いかったし!」

「そうですね。古谷くんとても話しやすかったです!」

「分かる!葵くんなんか男って感じしなかったもん!女子会しよーよ!」

意外にも女子たちはすんなり受け入れてた。


「え!?マジ!?」


中島だけ驚いていた。

分かるよ。ビックリするよね!俺もしたから!



「みんな本当にありがとう…」


安心したのか古谷は泣き出してしまった。

みんなで優しく抱きしめた。


「古谷くん、辛かったですよね…。」

「葵くん大丈夫だよ!私達はいつでも力になるからね!」


「古谷!旅行終わったら遊ぶぞ!」

「私達は仲間だよ!」



「ありがとう…ありがとう…」


俺たちの友情は更に深まった。





そして、旅行も終わり無事地元へ到着した。


「お前らー家に帰るまでが修学旅行だからなー」







「ただいまー。」


「おー帰ったか!我が弟よ!」


「はい、土産。」


「ヒャッハー!!待ってましたー!!」


「泉が選んでくれたよ。」


「イズミンは分かってるねー!うまそー!」



家はいつもと変わらなかった。

旅行から帰ったあとのこの消失感みたいなのはなんなのだろう。



それから桐ちゃんと旅行の話などで盛り上がった。


「いいなー私ももう一回修学旅行してー!」


「金持ってんだから旅行行けば?」


「そうだな!行こうかな!」



桐ちゃんは相変わらず桐ちゃんだ。





数日後、修学旅行気分も抜け古谷と遊ぶ約束をしていた。


「よぉ、古谷!」


「え!?佐久間くん!?どーしたの!?」


俺は女装して現れたのだ。

思った通り古谷も女の子みたいな格好をしている。


「秘密教えてやるって言ったろ?」

俺は桐ちゃんの事やメイクの練習台で時々女装している事を教えた。


「でもなんか嫉妬しちゃうなー!佐久間くん可愛い過ぎでしょ!化粧上手いし!」



「俺の場合は半強制的だけどな。」



「おーい!」

「あれ?杏さんと穂希さん?」

俺が呼び出していたのだ。


「古谷くんめっちゃ可愛いじゃん!あ、お友達ですか?こんにちは。」


「杏ちゃん、光くんですよ!」


「うぇー!?なにしてんのあんた!!穂希よく分かったわね!」

「私は何回か見てるから…」


「どうだ?可愛いだろ!」


「悔しいけど可愛いわ。あんた達私らより女の子らしいわね!」

「今日はー広瀬すず子ちゃん風でーす!」


「むかつく」



そして4人でカフェに入った。

周りから見たら相当にレベルが高いグループに違いないだろう。


俺と古谷はパンケーキを頼み、映える写真を撮りまくっていた。

それをコーヒーを飲みながら見守る女子の目。子供を見守る親のようだ。


「これからどうしよっか?」

「私、お洋服見に行きたいなー!」


古谷は普段「私」って言うのな。

こっちの古谷が嘘偽りの無い姿なんだろう。


「じゃあ買い物に行きましょうか!」



俺たちは服屋などをブラブラしショッピングを楽しんでいた。


「光くんと買い物するの師匠に服選んでもらった時以来ですね!」

「そう言えばそんな事もあったな!」


「そのときも光くん女装してて。うふふ」

「な、なんだよ。」

「可愛いと思って…!古谷くん凄く楽しそうですね。杏ちゃんと気が合ってるみたい!」


「学校じゃあんな姿見せれねーからな。俺も今日女装してきたのはこの方が古谷も安心出来るかなって思ったんだ。」


「本当優しいですね…。尊敬です!」

「尊敬なんてされる程じゃないよ!あははは」


「光くん…次は2人ですよ。」

「ん?」

「約束…デートするって…」

「お、おう。そーだな。」

お互い少し顔を赤らめ顔を合わせた。


俺はトイレへ行ったがここで問題が発生する。



しまったー!俺はどっちへ入るべきなんだ!

男だし、男子トイレか?

今は広瀬すず子ちゃんだから女子トイレなのか!


究極の選択だ。


結局女子トイレを選んだ。

ラッキーな事に誰も居ない。


はぁ…物凄い悪い事してる気分…




トイレを出てすぐ、見知らぬ男に声を掛けられた。


「お姉さん!めっちゃ可愛いね!広瀬すず子ちゃんに似てるって言われない?」


「あ、はぁ。」


「そんな警戒しないでよ!遊ばない?奢るよ!」


こ、これはナンパと言う奴!!!

すげー!人生で男にナンパされる日が来ようとは!



「えーちょっとぉ友達待たせてるしぃ」

「その友達も誘ってさー!」


「知らない人にはついて行ったらダメってママに言われてるからなぁ」



「おぉっ!めっちゃ可愛いじゃん!」


もう1人居るんかいっ!


「お姉ちゃん行こうや!」

「ダメですぅ!私こういうの慣れてないですからぁ」

俺は無理矢理腕を掴まれた。


「キャーン!!お、おい!ちょっちょっと!」



「佐久間くん!」


古谷達がちょうど来た。

「すみません。その子私達の友達なんで離してもらえますか。」


「他の子もレベルたけーじゃん!遊び行こうよ!」


「行きません。警察呼びますよ。」


「ちょっと可愛いからっていい気になってんじゃねーぞ!」


やっと手離しやがった。いてーな力一杯握りやがって。



「古谷!」「古谷くん!」

その男は古谷の胸ぐらを掴んでいた。

騒ぎに気づき人が集まって来たようだ


「お前連れて遊んでやるよ」


「そちらが先に手を出して来ましたよね?これは正当防衛です。」

「は?」

それはもう目には見えない程の手捌きでその大男を軽々背負い投げをして見せた。

受け身を取れない男はもがき苦しんでいる。



周りからは拍手が巻き起こった。


かっけー古谷!勇者かよ!



「古谷くん大丈夫?」


「いやぁちょっと怖かったよ。」

古谷は小刻みに震えていた。


杏は古谷の手を握り「光、穂希!行くよ!」




外へ出て人気のない場所へと移動した。

穂希がジュースをみんなに買ってきてくれた。



「光、あんたが調子に乗り過ぎよ!」


「見てたの?ごめんなさい…」

うわっ恥ずかティー!!


「みんな無事で良かったよ。」

「古谷くんすごかったですね!」


古谷は小さい頃から親に柔道をさせられていたらしい。

本当は柔道も好きでは無く無理矢理やらされていた。



「役に立つ時が来るなんてね!」

「めちゃくちゃカッコ良かったぞ!俺も惚れたね!」

「え!!ホント!?」


「あ、いやそう言う意味じゃないからな。」


「分かってるよ!はははは!」




それからゲーセンへ行ったり映画見たり女子会を楽しんだ。

「あーマジ今日楽しかったー!光と古谷くんかなり親しみやすかったわ!」


「本当ですよね。私達より女の子らしいと言うか…私も女子力身につけなきゃ!」



女子と普通に遊ぶのも男子だけとは違いなかなか良いもんだ。


「みんな良かったらまた遊んでもらえるかな?」

「もちろん!!」


古谷は最高の笑顔を出した。

イジメられていた過去もあり、不安な部分はまだあったのだろう。


絶対俺たちはお前を傷つけない。

それが仲間、友達だ。

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