古谷葵の告白。
修学旅行2日目。
今日はほとんど自由時間だ。
中島と杏はとっくにどこかへ行ってしまっていた
俺は古谷と穂希達の所へ合流しに行った。
「よぉ穂希!杏達はさっさとどっか行っちゃったよ!」
「光くん古谷くん。どこ行こうか?私達はどこでも良いよ!」
「定番だけどハウステンボスとかどうかな?ここからそんなに離れてないし。」
「古谷ナイスだ。」
俺達はハウステンボスへ観光しに行った
花も沢山咲いてて綺麗だ。
アトラクションも楽しみ、みんなご満悦だ!
携帯が鳴っているのに気づいていたが少し無視をしていた。楽しすぎて。
「光くんハウステンボスって楽しいね!」
「うん。マジで楽しい!」
「次あれやってみない?」
穂希は珍しくはしゃいでいた。
さすがに俺はそろそろ携帯を無視は出来ない
見てみるとかなりメールが入っている
まだ?
めっちゃ待ってるよー
時間無くなっちゃう
「穂希、悪い。ちょっと俺先生に呼ばれて行かないといけない。」
「え、そうなの?なら仕方ないね。」
「古谷!ちょっと先生の所行ってくるから少し頼むわ!」
「うん。分かった!」
俺は別に嘘を付かなくても良かった。
なぜか嘘を言ってしまった。
やはり、後ろめたさがあるのだろうか?
そして泉の所へ向かった。
「悪い!遅れた。」
「おそーい!待ちくたびれたー!」
「なんか奢ってやるよ!」
泉は楽しそうに腕を組んでくる。
「ちょっと一緒に写メ撮らせてー!」
「えー。」
カシャ
「いい感じ!桐姉ちゃんに送ってみよっと!」
泉が送った瞬間に電話がかかってきた
「もしもーし!」
「イズミン楽しそうね!羨ましすぎて嫉妬するわ!」
「今ひーくんとデートしてるんだよー!」
「何するの?光にお土産忘れんなって言っておいて。私これから仕事だからまた電話するねー!」
「ひーくん。お土産忘れんなって!」
「うるせー奴だぜ。じゃあついでだけど買い物でも行くか。」
「行くーーー!!!」
泉とお土産を買うついでに色々周り、泉は凄く楽しそうだ。
俺も少し前に戻ったような気持ちになる。
こういうのも悪くない。
むしろ楽しい。
「桐姉ちゃんのお土産いっぱい買えたねー!」
「あいつだけに買い過ぎだけどな。」
「私なんか幸せ〜。ひーくんとこうやってデート出来るなんて!」
「俺も楽しいよ。」
「ひーくん手繋ごう!」
手を繋ぎ歩いていたら泉と同じクラスの子と遭遇してしまった
「泉、彼氏居たの!?」
「違うよー!罰ゲームだよこれ!」
罰ゲーム?おい。
まぁ彼氏では無いんだけどね。
「ごめーん!罰ゲームとか言って!」
「いや、イイ。変態ひーくんだからな」
「あははは!なにそれ!
あっ葵くーん地味子ちゃーん!」
まさかこんな所で出会うとは…
嘘をついてしまった事で少し気まずい。
「泉ちゃん!2人で居たんだね!」
「ちょっと出会ってな。」
「古谷くん行こう。」
穂希さん何か冷たくはないですか?
「行っちゃったね。」
「だなぁ〜。」
嘘をついたからだろうか。
泉と一緒に居たからだろうか。
俺はなんとなく感じとっていた。
「ひーくん?」
「あ、あぁ俺らも行こうか!」
泉は楽しそうにしてくれている。
とりあえず今は泉と楽しもう。
「ひーくん!今日はありがとね!一生の思い出になりました!」
「泉もありがとな。桐ちゃんの土産まで付き合わせて。」
「楽しかったからイイよ!私も選んだってちゃんと言っておいてよね!じゃあクラスの子待ってるから私行くね!」
「おう!夜更かしすんなよ〜」
俺も部屋へ戻ったがまだ誰も戻っていない。
少し横になりうたた寝をしていた。
「佐久間くん少し良いかな?」
戻ってきた古谷に呼び出された。
「どうしたんだ?」
「穂希さんの事なんだけれど、あの後凄く悲しそうにしてて…」
「あー悪い。なんか古谷に押し付けるよーな形になって。後から謝っておくよ」
「ハッキリさせてあげたらどうかな?多分、穂希さんは佐久間くんの事好きなんだと思う。
泉ちゃんと嘘をついてまであんな楽しそうにしていたらそりゃ傷つくよ!」
「でもお前には関係ねーだろ。放っておいてくれ!古谷も俺の事気にかけづに自分の気になるって言う人の事頑張れよ!」
「それは無理なんだ。絶対叶わない事だから。」
「はー?意味分からん!じゃあなんだ、それを俺に押し付けてくんな。」
「僕は……君の事が好きなんだ…はは。変だろ?男が男を好きになるなんて。」
は?え?んー!?
「え?どゆこと??」
「僕の気になっている人って佐久間くんなんだ。
ごめん…本当は言いたくなかったんだけど。
困惑するのは分かるよ。
僕は小さい頃から男の子が好きになるんだ。
それで前の学校では気持ち悪いとイジメられてこの学校に転校してきたんだ。」
古谷は泣きながら自分自身の事を語ってくれた。
男が好きになる。
女になりたい。
そういう事みたいだ。
「ちょっ、急過ぎて頭が回らん!!」
「だよね。これは嘘でもなんでもないから。
それに佐久間くんとどうこうなりたいって言う訳じゃないから!
みんな優しくてこんなに学校が楽しかったのは初めてだよ。
まぁ僕の事を知ったらみんな変わるんだろうけど。
キモいとか触んな近寄るなって…」
「悪い古谷…お前の気持ちには答えられないが、俺達は友達だ。
絶対にそんな事はしない!中島も杏も穂希も泉も!
現に俺はお前の正体を知った。
正直、は?ってなったよ
いや、誰だってなると思う
むしろカミングアウトしてくれてありがとな。
お前も隠し続けるのは辛いだろ。
俺はお前の味方だ!なんかあったら俺達を頼れ!」
「ありがとう…本当は辛かった…誰にも言えない…やっぱり女の子の泉ちゃんや穂希さんの事を見ているのも辛かった…」
俺は古谷の肩に手を置いた。
「まぁ誰にも秘密はあるから。俺も別に誰かに言わないし、もしみんなに知っていてほしいと思うなら俺も協力するから。」
「わかった…ありがとう。やっぱり佐久間くんは優しい!」
そういい古谷は抱きついた
「やめろ!!苦しい!」
「ごめん、嬉しくって。心の中が少しスッキリしたよ。」
「んじゃまぁ修学旅行終わったらどっか遊び行くか!」
「うん!行きたい!オシャレして行くね!」
「そんな気合い入れなくて良いから。まぁ俺にも秘密はあるからな。その時教えてやるよ!」
こうして俺と古谷の仲は少し深まったようだ。
正直ビビった。
こんな事テレビでしか見た事なかったから案外人ごとでは無いと痛感。
どうして良いかなんて分かる訳がない
身近には知らない事も沢山あるし
知らなくて良い事もある
古谷の事は知れて良かったと思う。
あいつがなぜジッと俺を見ていたのか
なんかわかった気がした。
叶わない恋ってのはやっぱりある。
古谷にはこれから頑張ってほしいな
これから先どうしていくのか俺には分からないが
あいつは良い奴なんだ友達である以上協力はしていきたい。