修学旅行1日目は災難だ!
あのファッションショーから数日。
ジミヨとジミミは今までと変わらず真面目に図書委員委員を務めていた。
化粧をすると落ち着かないらしい
私達は大学デビューをするから高校生の今はマナーを守り高校生らしく過ごすと言っている。
以前より遥かに明るくなったような気がした。
そして、俺達は修学旅行がある。
行き先は長崎県だ。
俺は行った事が無いから少しウキウキしている。
何が有名なんだっけ?カステラ?チャンポン?
楽しみだ。
クラスではそのグループ分けが行われていた。
俺は中島と古谷の3人グループで行動する事に。
杏は穂希と一緒みたいだ。
「いつものメンツって感じだな。」
「良いじゃん!修学旅行は仲良い奴と周るのが1番だぜ!」
「佐久間くん泉ちゃんは?」
「さーな!あっちのクラスでもグループ分けしてるだろ。」
「そっか!佐久間くんと中島くんのペアで良かったよ!」
最近、古谷はやたらと泉と俺の事を気にしている。
いくら見張り役と言っても気にしすぎ。
こいつは泉の事が好きなんじゃ…
そして修学旅行の日がやって来た。
家を出る前に桐ちゃんにお土産リストを渡された。
忘れたら許さないんだからね!と。
1.カステラ
2.角煮マン
3.からすみ
4.ジミーちゃんとイズミンの写メをいっぱい撮ってくること!
5.出来たらチャンポン
ほとんど食い物じゃねーか。
無事に到着した俺達は団体行動で色々な所を周り長崎の街並みを楽しんだ。
なにか日本と外国を混ぜたようなそんな感じで新鮮だった
「健人!明日、自由時間一緒に周ろうよ!」
「うん!!あ、佐久間はどうするの?地味子ちゃん達と周る?」
「そんな私に気を使わなくても…」
「みんなで周ろうか。こっちは古谷も居るしな!」
「はい…よろしくおねがいします!」
古谷は何故か俺をずっと見ている。
なに?ちょっと怖いんですけど!
泊まる旅館は風情がありゆっくり出来そうだ。
しかも温泉に入り放題だ。
クラスの男子達が俺達の部屋へ集まり、わいわい騒いでいる。
修学旅行ってのは何故こんなにテンションが馬鹿になるのだろう。
すると、クラスの男子の1人が急に真剣になり
「男子諸君。そろそろ行きましょうか。」
「行きましょう!」
全員が声を揃えた。
「どこ行くんだよ?」
「佐久間よ君は旅行のなんたるかを分かっていない!覗きだよ!の、ぞ、き。」
「はぁー?!」
「なんか3組の鮫島って奴が、男風呂で女風呂覗ける穴を発見したとか!これは早急に確認せねばならん!」
「彼女居るくせにとんでもねー奴だな。」
「それとこれは別だよ!男のロマンだ!」
「やめなよ!」
なんと、古谷が声を荒げた。
クラスの男子も場の空気を乱すなよと古谷に色々言っている。
「まぁ古谷、こいつらも寂しいんだソッとしといてやれ。」
「ご、ごめん…怒鳴ったりして…」
「気にするな。風呂に入ろう!」
そして、風呂ではみんなが順番に穴を覗いていた。
「中島!佐久間!やべーぞ!天国だぜ!肝心な所はよく見えねーけどそこがまたイイ!!」
男子の1人が誘ってきた。
仕方無し見てみる
いや、興味が無いなんて僕は言ってませんからね。
健全な男子ですから
普通の高校生ですから
「おぉー!!こりゃ絶景ですな佐久間先輩!」
「えぇ?あんま見えねーよ。あ。」
あれは穂希!?
うわうわうわ。一回少し裸見た事はあるけど…
綺麗な肌だな
そして白い
確かに肝心な所は上手い事見えない!
「楽しんでるかい?お2人さん。」
「ちょっと待ってよ!もう少しなんだ!」
「先生にも見せてくれよ。」
「あと2分待ってよ先生!」
「先生…?!」
俺と中島は先生も風呂に入って来たのを気づかなかった!
「なにしとんじゃお前らは!バカモン!!!」
他の男子はとうに俺たちを裏切っている。
こいつらからしたら先生に生贄を渡したようなものだ。
俺と中島は通路にパンツ一丁で正座をさせられた。
女子の冷たい目線
杏の鬼の形相
穂希の軽蔑の眼差し
道行く人たちの哀れみの声
そして先生の説教。
その後30分はこの状態が続いた。
ようやく解放され俺と中島には早くも変態コンビのレッテルが貼られている。
部屋に戻る前、中島は杏にどこかへ連れて行かれてしまった。
中島よ第2ラウンドご愁傷様です。
「あー参ったぜ。」
「だから言ったじゃないか!やめなって!」
「悪い悪いははは」
コンコン
「はーい」
「ヤッホー!変態ひーくん!」
「うるせー。俺はハメられたんだ。」
「泉ちゃんヤッホー!」
「あ!葵くんも一緒なんだ!ちょっとひーくん借りてくねー!」
俺は泉に無理矢理連れて行かれた。
中島のように恐ろしい展開になるんじゃないかとヒヤヒヤもんだ。
この旅館の庭へと外に出た。
「イイ庭だねぇ!旅館って感じ!」
「旅館だからな。こんな所連れてきてどうした?」
「なんで、覗きなんてしたの?変態ひーくん。」
「いや、あれはハメられたよーなもので…」
「地味子ちゃんやアンちゃんの裸見たんでしょ!」
「い、いや…あれは…よ、よくは見えなかったぞ。まぁ興味本位も多少はあったが…」
「バカ!バカバカ!!どうせ見るなら私が入ってる時にしてよ!バカ。」
「そういう問題じゃねーだろ!」
「そういう問題だよ!私はひーくんと付き合っていたけど裸なんて見られた事も無いし、チューだってした事ないもん…私はいつでも良かったのに…」
「それとこれはまた別の話だろ!」
「別じゃない!!だから明日の自由時間は私とデートして!私も修学旅行ひーくんと居たい!ただでさえクラスが違ってハンデがあるのに…」
「分かったよ。じゃあ明日な?」
「ホントに?絶対の絶対の絶対の絶対の絶対だからね!」
「あぁ約束。」
「やったー!!ひーくんとちゃんとデートするの初めてだからね!」
「そうだっけ?」
「そうだよ!なんか中学生の時は桐姉ちゃんと3人で遊ぶ事多かったし、ちゃんと普通のデートって憧れだったんだ!買物したりウインドウショッピングしたり〜色々!ひーくんと!」
泉は凄く喜んでいる。
確かに中学生の頃は何もしてやれなかった邪魔者も居たし。
2人だけという時間はほとんど無かったような。
明日は古谷達には上手い事言って抜けさせてもらおう。
部屋へ戻ると中島は顔を腫らして帰ってきていた。
「俺はもう悪い事はしません!!何かしそうになったら全力で止めてくれお前ら!!」
「災難だったな。」
「も〜杏ちゃん怒ったら怖いんだもん!何回ビンタされたか…」
「あいつは昔から怒ると怖かった…」
「僕も怒らせないように気をつけるよ。」
部屋の明かりを消し、寝床へついた。
中島はやっぱり定番事が好きみたいだ。
「佐久間〜好きな人居ないの?地味子ちゃん?泉っち?恋バナしよーぜ恋バナ!」
「好きな人なー。俺もよく分からないんだよ。」
「てっきり佐久間くんは泉ちゃんが好きなんだと思ってたよ。」
「元カノってだけで、まぁ嫌いとかそんなんは無いよ。別に悪い別れ方もした訳では無いし…。
古谷お前はどうなんだよ。」
「僕は……ここではちょっと言えないかな。秘密。」
「なんだよー古谷ーそんな言い方したら余計気になるじゃんよ!
好きな人は居るってことなのか?」
「好きというか…気になる存在なのかな?」
「ふーん。まぁみんな幸せになれば良いよね!」
「そ、そうだね…」
そして疲れもあったのか一瞬で眠りにつき修学旅行1日目を終えた。