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クラスの片隅の地味子さん

今年も無事に進級出来た。


高校2年生になり新しいクラスにも慣れつつある。


俺は佐久間光(さくまひかる)

特に部活などはしていない

友達も少なからずは居る


どこにでも居る普通の学生だ。




クラスは今日も賑わっている。

最近、流行りのMeTubeの話で女子は盛り上がっている。


「昨日のキリチャンネル見た?」

「見た見た!やっぱすごいよね!私あんな風に出来たらモテモテなのになぁー」


女子高生の間でブームとなっているのがミーチューバーのキリ子ちゃんのキリチャンネルという、化粧をし芸能人や有名人に似せてメイクする動画だ。



そのキリ子ちゃんは俺の姉である。

何が面白いのかわからないが今や超人気者なのだ。


俺は毎晩のようにメイクの練習台にさせられている。

いい加減にやめて頂きたいのだが姉の権力には逆らえず今に至る。


動画に映らないだけマシと思わなければいけないな。




そして今日は待ちに待った席替え。


俺はまさかの教壇の目の前という最悪な席からおさらば出来る!この上なくテンションが上がっていた。


くじ引きが用意され、引き当てたのは28番。

1番後ろの廊下側から2番目の席だ。


「よし!よしよし!」

「佐久間ー変えてよー!」

「絶対ムリ!」


こいつは中島健人(なかじまけんと)。クラスのお調子者だ。

「ケチだなー。まぁ俺の隣には杏ちゃんだし!譲ってやらないんだからね!」


杏とはこのクラスのマドンナ的存在の水城杏(みずしろあんず)

誰もが認める美少女だ。

容姿端麗、スポーツ万能。なにをするも完璧。


俺は完璧過ぎる女はあまり好きじゃない。

可愛いに越した事はないけれど。


「どうぞご自由に。」

「お前の横なんか地味子さんじゃん!ぷぷぷ。呪われんなよ!」


地味子さんとはその名の通り地味な子だ。

名前は…なんだっけ。そう、湿川穂希(しめかわほまれ)

この学校でも3本の指には入るほどの地味さだ。地味というのか暗い。


割とみんなからはその地味暗さ故に怖がられている。

おさげ髪で前髪は目が見えているのかってくらい長く大きめな眼鏡を掛けている。


「大丈夫だよ。そんな恐い人じゃないって!」

別に俺はみんなが言うほど恐れてはいなかった。


地味子さんは美術部でかなり絵が上手いのを覚えている。



そして、新しい席になり初めての授業が始まる。

やっぱり後ろの席は最高だな。

堂々と寝ててもバレにくい!昨日、桐ちゃんに遅くまでメイクされてたから眠いんだよ〜


トントンと肩を叩かれた

地味子さんだ。

「あの落ちました。」

そう言い消しゴムを渡してくれた。

「あ、悪い。」


初めて地味子さんと喋った。

意外と可愛い声をしている手も小さく普通の女の子じゃないか。


俺はふと中島の呪われんなよと言う言葉を思い出し条件反射的に消しゴムをチェックしていた。


なにもあるはずがない。


すると、ジッと地味子さんが睨んでいた。


「ひっ!あぁ…消しゴムにゴミが付いてた!そんななんか調べてたとかじゃないから!」


「すみません…最近眼鏡の度が合わなくて、目つき悪かったなら謝ります。」


「全然!大丈夫だから!気にしないで!」


ふぅ…焦ったぜ。

中島の奴が余計な事言うから。

失礼な事しちゃったじゃん!




そんなこんなで今日も無事学校も終わり、家で漫画を読んでいた。


ガチャ


「やるぞー光ー!」


「桐ちゃん今日も!?それにノックくらいしろよ!」


「当たり前じゃん!今ね登録者数ハンパない事になってんだよ?!今稼がずいつ稼ぐのよ!今でしょ!!」


桐ちゃんはMeTubeで割とイイ額の収入を得ている。それはここでは言えない。


「じゃあバイト代くれよ!」

「あんたの働き次第で考えてやるわ!今日は〜深田淳子ちゃん風にしてみよーかなー!」


今日もまた顔をイジくり回された。


「やば!クリソツ!やっぱあんたはやりやすいわ!ちょっとこれ着て!」


「ヤダよ!」

「着ろ。」


俺は脅されるように女装までさせられた。

まぁよくある事ではあるんだがやはり気は引ける。


「完璧よ!もうやっぱり私天才!!」


確かに自分が自分ではないようだ

その辺の女子よりは遥かに可愛いぞ。


ピンポーン


「誰か来た。光出て。」

「うん。」

俺は女装中なのをすっかり忘れていた。



「はーい、どちら様で…うおっ」

ドアを開けるとそこには地味子さんが立っていた。

あまりに暗闇と同化していたので思わず声が出てしまった


「あの…佐久間くんはいらっしゃいますか?」

「え?お…」


しまったー!俺、今深田淳子ちゃんになってたー!

俺だけどって言いかけた!あぶねー!

でも一体全体どう言う事だ!?

あの地味子さんが何故うちに?

やはり呪いなのか?もしかしてメリーさん的なやつなの?!

さすがに俺もキョドるぜー


「お…おつかいに行ってて今光居ないんですよ〜」

「そうですか…あの、これ渡しておいて下さい。夜分遅くにすみませんでした失礼します。」


「あ、あぁ…」

ふぅ…なんとか乗り切ったぞ。


地味子さんは俺に生徒手帳を渡していた。


「落としてたのか!なんか悪い事しちゃったなぁー明日お礼言っておこ。」

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