プロローグ……じゃなくて説明回に近いわこれ
この作品を読みに来てくださった方々本当にありがとうございます。
楽しんでいってくれれば何よりです。
次の者、前に出なさい!
そんな言葉が聞こえてきた。
今ここで行われていることを考えると普通のことなんだけど俺は1番最初だったから終わるまで待つだけなんだよなぁ。
まぁ、そのせいで周りから蔑みや同情なんかの目を感じるんだけど。
そう、この日は本当に重要で大切な日だった。
この世界では装備適性というものがあり、その適正によりこれからの将来が決まると言ってもいい。
装備適性は王都から寄越された魔術師が行う儀式で、一般的に剣、槍、弓、斧、篭手の5種類の適性がある。
そして装備適性にはランクがあり、EからSまでのランクがあるのだ。王都に行けばとある魔道具を使うことでもっと装備適性の詳細を調べることができ、5種類しかない適正は25種類に増え、ランクもSSSまで分かるようになるのだが、大抵の人間はSまでしかランクが出ないため装備適性を見るぐらいしか活用することがないらしい。
あと金がすごいかかるとか。
まぁ、ここまで話してわかったと思うけど今日はその装備適性の儀式を行う日だったのだが、俺の適性が…その、なんて言うか、オールEだったらしく…まぁ、騎士とか冒険者とか無理だから諦めろ、と魔術師にまで言われるほどで……とにかくそれを知った周りの大人達とか近所の遊び相手とかがね?目線で語ってくんのよ、「うわぁ、こいつまじかぁ」みたいなことをね?オブラートに包んで言えばこんな感じのことをね?目線で言ってくんのよ。やめろ、その目は俺に効く。
まぁ、今のでわかってもらえたと思うけどつまり俺は約立たずになったらしいです。
「よぉ、オールE。こんな所で何してんだァ?アァ?」
「あ、クラスタ。いやなに、俺でもできる仕事探してたんだよ」
あ、どうも。さっき一人語りしてたシアン・リアークです。最近オールEって呼ばれてます。誰もシアンって呼ばないけどオールEってなんかかっこよくない?と思い始めたシアンです。ちなみに15歳です。
そして今話してるのが幼馴染みのクラスタ・ハーベイだ。根はすごく良い奴、口悪いけど。
「はぁぁ?お前にできる仕事なんてあるわけないだろ?お前オールEだぜ?できる仕事なんかないない」
「いや、ほらあるだろ?農業とか、店番とか、装備適性関係ない仕事」
「お前……それ探す前に魔法適性はどうなんだよ…調べたのか…?」
「あ……」
そう言えばそんなのあったね、魔法適性。
まぁ、簡単に言えば装備適性の魔法版だ。魔法には属性があって、水、風、雷、炎、土、闇、光、無の8種類がある。
ちなみに属性同士を合成することで新たな属性が生まれることもあるよ。水と風で氷属性とか、炎と闇で幻属性とかね。伝説の勇者様は全ての属性を合成して時属性と滅属性を作り出したらしいけど今まで勇者様以外にできた人はいないらしいよ。
あー、あと魔法適性には装備適性にはない特徴があるんだ。それが成長と進化。
成長は言葉通り魔法の力が成長する。まぁ要するにランクが上がるんだ。最初はDとかでもその属性の魔法を使い続けることでランクCにあげることが出来たりするんだ。最初はEだった人がAまで上げたって話もあるぐらいだしね。
進化は属性が変化するんだ。水なら水錬みずね属性、水流属性、水界属性と言ったもの。水錬属性は水を使った創造が強くなった進化。水流属性は水魔法が前よりも強化された進化。水界属性は水魔法の力を最大限まで引き出し液体ならあらゆるものを魔法に応用できる進化。
属性の進化はだいたい3つに別れる。水流属性のようなバランスが良い通常進化。水錬属性のようなサポートや創造に特化した上級進化。そして水界属性のような超強力な進化を遂げた超級進化。
このように進化は最初の属性から3つの属性のどれかに進化する。
あ、そうそう、伝説の勇者様が全ての魔法を合成したってさっき言ったよね?それが全部超級進化の属性魔法だから誰にも出来ないんだってさ。
でも進化するには進化前の属性をSランクまで上げないといけないし、進化する条件も通常進化がSランク、上級進化がSSランク、超級進化がSSSランクにする必要があるらしい。Sランクまで上げるのに1000万ポイントいるなら上級進化は1億、超級進化は1兆ポイントがいると言っているようなもの。ははっ、無理ゲー乙。
だから大抵のものは通常進化にするし良くても上級進化をする人間が数名いるくらいなのだ。
そんなこんなで魔法適性とかいうものが存在する訳だが……
「そっかー、店番とか農業するにしても魔道具使えないと意味ないのかー」
「いや、それくらい覚えてろよお前……さっさと魔法適性調べてもらってどの魔道具使えるか見てこいよ」
「魔法適性ならすぐにでも調べられるけど……でも魔法適性を調べるには長老の許可がいるんだぞ?あの長老が俺に許可なんて与えてくれるわけが無い」
「あー、お前オールEだもんなー」
そう、魔法適性を調べる方法はとても簡単だ、しかしそれには長老の許可がいる。何故って?その調べる方法を持っているのが長老だからだ。
代々村の長老になるものは魔法適性を調べることの出来る魔法具なるものを受け継いでいて、長老の許可を貰えればすぐにでも調べることが出来る…のだけど俺はその長老から嫌われている。
理由は簡単、俺がオールEだから。前の長老は本当に優しい人で、言ったら簡単に調べてくれたのだが…今の長老は調べるために白銅貨を1枚要求してくる。しかも装備適性を調べた後に魔法適性を調べることっていう規約があって、それのせいで装備適性が低い者は魔法適性を調べる許可を下ろしてくれないのだ。あのハゲ覚えてろよ……
あ、この世界の金は1番小さいので鉄貨、銅貨、白銅貨、銀貨、白銀貨、金貨、白金貨、聖金貨の8枚で、10鉄貨で1銅貨、10銅貨で1白銅貨、といった具合に増えていく。と言っても白金貨や聖金貨は王族のような人達しか使わないし、金貨、白銀貨も貴族の人達が使うことが多い。
一般的に普及してるのは鉄貨、銅貨、白銅貨、銀貨でたまに白銀貨、冒険者とかがやる高難易度クエストの成功報酬で金貨が見れるレベル。
そして1日暮らすだけなら銅貨1、2枚程度あれば十分なのだ。それをあのハゲ白銅貨1枚とか……やはりハゲはハゲということか。
ふぅ、頭髪力…たったの5か…ハゲめ…(落ち着いた)
「じゃあお前本当に何も出来ねぇじゃねぇか……」
「うーん、どうしようか……あ、家事は出来るぞ」
「お前の家事は既にSを越えて規格外EXTRAだ……」
「え?どういう意味……?」
ちょっと待って俺の家事ってそんなにおかしいの?普通のことしてるだけだよね?部屋片付けたり、皿洗ったり、洗濯干したり。
「普通の家事は箒を掃いただけでその場所がピッカピカにはならないし、皿を水で浸けただけで洗剤を付けたように綺麗にはならないし、洗濯干しただけで乾いたりしない。つか、もはや家事の領域超えてんだろ、どうなってんだお前」
「えぇー……あ、料理は「頼むからやめてくださいお願いします」あっはい」
そんなに嫌なのか……そうか……口からうーまーいーぞーって言いながら光線出したり服が破けたり、筋肉が膨張したり、もはやリアクションっていう次元を超えたパン職人の黒〇のお兄さんみたいなことになるのがそんなに嫌なのか…そうか……
「ったく、しょーがない。俺様が荷物運びの仕事を手伝わせてやる、金は山分けだ。光栄に思えよ?」
「え?いいの?」
「ふん、俺が仕事を与えてやるなんて滅多にないからな?」
「いや、小さい頃から親の仕事手伝うの嫌で良く俺に持ってきたじゃん」
「う、うう、うっさい!いいから黙ってついてこい!」
ほんとにクラスタは素直じゃないなぁ……根はいい奴だから口が悪くてもみんなクラスタのことを慕ってる。素直じゃないけど。
これはオールEの俺がとある出来事に巻き込まれオールSを目指すことになる物語……だといいな。
あーそうそう、ひとつだけ言えるのはさ。
この人生ゲーム、クソだクソだと思ってたけどついにバグが起きやがった。
あ、一応転生者、やってます。
世界観としては普通の異世界と思って頂いて構いません。
魔王と勇者が現れたり、異世界特有の学校があったり冒険者ギルドとかあったり、そんな世界に異世界転生したのが今作の主人公です。
ただこの世界では装備適性や魔法適性が全てを決めると言っても過言ではありません。
そのためランクが低いものは色々とされることがあります。胸糞悪い展開もあると思うのでご了承ください。
お金の概念ですが日本で言えば鉄貨が10円、銅貨が100円、白銅貨が1000円、銀貨が1万、白銀貨が10万円、金貨が100万円、白金貨が1000万円、聖金貨が1億円といった形になっております。
つまりこの世界、1日銅貨1、2枚で暮らせるということは100円か200円で1日過ごせる世界です。
自分で考えててあれですがすごいなこの世界。
とりあえずはこんなところです。これからよろしくお願いします。