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絶対に元の世界には帰らない!  作者: 401
第IF章 番外編
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魔人ルート:ある日の女子会(偽)

短めですが、書きかけだった話を。

 一口、酒を飲んだ。

 リセプとシエディアが心配そうな目で見つめてくる。


「注いでおいてなんだけど、カゲヤちゃん本当に大丈夫? めちゃくちゃ弱いのにお酒飲んで」

「多分ダメね。インヤさんは陽気になるぐらいだけど、カゲヤちゃんはもう弱いってレベルじゃないわ」

「いや、一口ぐらいなら大丈夫だろう。せっかくリセプが勧めてくれたのだから、断るのも悪いし――あ、このお酒美味しい……リセプさんありがと、えへ……」

「ほら、私の言った通りでしょ?」


 なんだか失礼なことを言われている気がするが、いまいち頭に入ってこない。お酒美味しいし許しちゃおう。


「魔王討伐祝賀会……というにはだいぶ時間空いたけど。まあ、とりあえず乾杯」

「コウヤ君が戻ってきたり、カゲヤちゃんが魔界に来たり、色々あったからねえ」

「……というか、何故シエディアさんがここに? コウヤ様から死んだと聞いたのですが」


 イティーがシエディアに訝しげな目を向ける。


「え? んー……カゲヤちゃん、どうしよ。ママのことなんて説明する?」

「イティーさんのジト目可愛い……」

「どうにもならないわねこれ」


 だって、クール系美人メイドさんのジト目だ。最高だ。……ううむ、なんだか語彙が浮かんでこない。参ったな。


「とりあえず酒飲も……んぅ、美味い……」

「……まあ、カゲヤさんもイーヤも実は生きていたんだから、今更ですね」


 イティーがため息をついた。

 どうにも疑問を抑えきれない様子のリセプが、改めて俺に問いかける。が、俺の頭の中はもうぐにゃぐにゃだ。


「結局、カゲヤちゃんはシエディアさんとどういう関係なの?」

「んー……? えっと、シエディアは……ママ?で……料理が得意で……強くて……魔法で、カゲヤをいい感じにしてくれて……大好き大好きって言ってくれるから、実は……ちょっとすき……ふへ」

「ちょっとどうすればいいのこれ」

「ね、ねえカゲヤちゃん! もっかい、もっかい言って!?」

「え〜? 恥ずかしいから、ダメ……」

「これ本当にカゲヤさんなんですか?」


 シエディアがぎゅっと俺を抱き締めてくる。柔らかくて気持ちいいが、ちょっと苦しい。


「離してぇ……」

「ダメ! 今日はもうずっと抱っこしてるから! ふへへへへ、やっぱりカゲヤちゃんは私のもの……! 帰還ルートなんてなかった……!」


 俺を抱くシエディアの腕がさわさわと動き、胸元を撫でる。


「んぅ……!? や……!」

「ぐはぁっ!?」


 腕を振り払いながら魔力を放出する。シエディアは回転しながら吹き飛んでいった。


「くっ……! やっぱり夜想曲じゃないとこれ以上はダメね……!」

「何の話してるんですか……」


 イティーが再度呆れたようにため息をつく。何か困っていることでもあるのだろうか。


「イティーさん……大丈夫……?」

「え、ええ、大丈夫ですよ」

「そうですか……? よかった……」


 安心した俺は、残りの酒を飲んでいく。……ああ、なんだかフラフラしてきた。


「……カゲヤさんの上目遣い、なんて言うか、凄いですね」

「カゲヤちゃん! 私にも! 私にもやって!」


 シエディアが何か言っているが、よくわからない。まあどうせ大したことじゃないだろうし、気にせずに酒を飲み干していく。


 そんな俺に、リセプが不安気に近づいてきた。


「か、カゲヤちゃん……これ以上はやめた方が……」

「にぁー……? にゃんでぇ……」

「猫語になってる……ほら、酒瓶離して!」

「だいじょぶぅ……いつもはロング缶開けても平気だしぃ……」

「ロング缶……? ほら、いいから離してってば。まだ十七なんだからあんまり飲んだら良くないよ。いくら星王国じゃ年齢制限がないからって」

「本当はいい大人だもん……」

「いい大人が『だもん』なんて言わないでしょ」


 これぐらいじゃ全然酔わないのに、リセプは大袈裟だ、全く。そんなに言うなら改造魔法で酔いを覚ましてしまえばいい。……ええっと、どうやるんだっけか。なんか、頭の中がぐるぐるになってるから、それを綺麗にさせるためにばーっと……。


「あ、カゲヤちゃんそれダメなやつ……」

「ふにゃんっ!?」


 紫電を手に纏わせ自分の頭に触れた瞬間、何かが吹き飛んだ。


「にゃ、にゃぁあ……ここどこぉ……?」

「こ、これ大丈夫なんですか?」

「まあその内戻るでしょ」

「そんな適当な……。あ、今の内に酒瓶没収ね」



 目の前にばちりと青い雷が走って、俺は目を覚ました。

 いつの間にか家のソファで、シエディアの膝の上に乗せられている。頭はまだフラフラとして、夢見心地だ。


「とりあえず記憶だけ戻したからね。あ、お風呂と着替えはちゃんと堪能させてもらったから安心して」

「うー……シエディアぁ……」


 酒の匂いは薄れて、石鹸の匂いと、わずかにシエディアの香りがした。


「シエディア……」

「どうしたの? 改変魔法でアルコールも抜く? けど、アレはあんまり身体に良くないから――」

「好き」

「へ?」

「話してると楽しいし、意外と優しくしてくれるし……ちょっと迷惑もかけられるけど、でも、そんなに嫌じゃないし……出来たら、俺、もっと……」

「ちょ、ちょっとカゲヤちゃん?! あ、寝ちゃダメ! もっかい、もう一回ちゃんと聞かせて!」


 ゆさゆさと揺さぶられるのが心地よくて、俺はそのまま眠りに落ちていった。

解放条件:魔人ルート

・本編終了後、魔界への逃亡に成功する

・シエディアとインヤ&カゲヤの関係が本編終了時の三倍以上

・インヤ、カゲヤ、両方の状態でデートイベントを発生させている

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― 新着の感想 ―
[一言] とても面白かったです! ありがとうございました
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