コミカライズ配信記念後日談:偉大なるエルル村村長は、ガイア王国で暴れたい!3
【!宣伝!】
毎回毎回宣伝で申し訳ありません。
ですが、本当に、acca先生のコミカライズ面白いので見て欲しいのです…!
そして、Renta!さんにて配信開始後、なんと少女漫画部門で第6位を頂きました!
みなさま応援、本当にありがとうございます!!(感涙)
「なんであんな話受けちゃったの!?」
私は、他エルル村の皆が使者の見送りのために部屋から出て言った後、プンスカとユリウスに詰め寄った。
エルル村にやってきた使者は、「魔女と第三王子の暗殺に成功すれば、エルル村の税を免除する」といってきたのである。
魔女と呼び名が変わっているけれど、アエラのことだ。つまりこれはグイードとアエラのピンチ!
私は言われた瞬間、今度こそあの使者をボコボコのボコにせんと一歩踏み出したけれど、ユリウスに止められた。しかもユリウスはなんとその話を受けるようにジャスパーに指示を出したのだ。
「私達が断れば、また違う手でグイード達を葬ろうとするだろう。ならば、こちらで引き受けた方がいい」
「そうかもしれないけど! 私はあの使者をぼこぼこのボコボコのボコンボコンにしたかったのよ!」
と怒れる私は余裕の笑みのユリウスを恨めしく睨みつけて頬を膨らませる。
だって、だって、ボコボコのボコにしたかった!
とはいえ、ユリウスのいうことも一理あるのは事実。あそこで断っていたら、また別の誰かにアエラ達の暗殺を依頼する可能性が高い。
「そう怒るな。ボコボコのボコにする機会は必ず訪れる。それに、あの使者には感謝するべきかもしれないぞ。グイード達の戦いに加担する口実ができた」
「口実……?」
ユリウスにそう言われて私は目を丸くする。
「エルル村としては公正な領主であるグイードにそのまま務めてもらいたい。そのために、エルル村の村民として私達が力を貸すのは当然のことだと思わないか?」
確かに……。
アエラ達が今大変な状況であることは知っているけれど、アエラ達は私たちの助力を拒否した。これはこちら側の戦いだからと言って。
でも今のこの状況なら、アエラ達に堂々と手を貸せる。
だって、これはアエラ達の戦いだけじゃなくて、エルル村を守るための戦いでもあるのだもの!
「ふん、確かに、言われてみればそうね。アエラ達に敵対する勢力をボコボコのボコにする絶好の機会」
ふふんと私は得意げに微笑み、胸を張った。
「このエルル様が、性悪っぽい貴族の奴らをぺコンペコンにしてあげるわ! なにせ私は! エルル村を愛し、エルル村に最も……」
といつもの口上を言おうとしたのだけど、一つ気がかりがあって私は言葉を止めた。
「でも、私も一緒にアエラのところに行っていいの?」
使者の話では、今度行われる貴族達の夜会でグイード達を襲ってほしいということだった。
つまり、直接王都に乗り込むわけで、いわば敵地ど真ん中。危険もある。
「エルルは大人しくお留守番ができるのか?」
「……頑張ればできなくもないわ」
私が顔を伏せてそういった。
復活の大魔法をアエラと行ったあの一件以来、私は魔法が使えなくなった。いや、全く使えないわけじゃないけど、得意だった大魔法は打てなくて……戦力にはならない。
性悪貴族をボコボコのボコにしたい気持ちは誰にも負けないけれど、それをするための魔力が少な過ぎて、正直足手まといだ。
悔しいけど……。
そんなことを思っていると、上からフッとユリウスが柔らかく笑う声が聞こえた。
そして頭に手を乗せて撫でられる感覚。
「我慢しなくていい。一緒に行こう」
優しげなユリウスの言葉に私は希望を見つけて顔を上げた。
「一緒に、行っていいの?私も?……私、その、あんまり魔法使えないけど、いい……?」
「構わない。私もエルルと離れたくはない」
いいの!? やったー! これで私もアエラを助けにいける!
「ありがとうユリウス! 大好き!」
そう言って抱きしめると、ユリウスもぎゅっと私を抱きしめ返してくれた。
なんだか何でもイエスって言ってくれそうなユリウスの雰囲気を敏感に感じ取った私は、さらに思ったことを口にすることにした。
「じゃあじゃあ、一番の見せ場は私にやらせてね! 悪い奴らを懲らしめる時は、私がいつもの口上言うからね! いいよね!?」
相手を追い詰めるのをユリウスにしてもらって、一番美味しいところは私がやるの!
ユリウスの優しさに、ここぞとばかりに要望を伝えると、吹き出すようにユリウスが笑った。
「わがままだな」
「当然よ! だって、私はエルル村を愛し、エルル村に最も愛されてるエルル様なんだから! 見せ場も全部、私のものなのよ!」
はしゃぐ私をみて、優しげな微笑みを浮かべるユリウス。そしてその顔が近くなった。
ユリウスのアイスブルーの瞳に熱がこもる。
思わず息を止めた。だって、そんな瞳に見つめられたら……。
「前から思っていたのだが、その口上に一つ抜けがあるように思える。エルルを愛してるのはエルル村だけではないし、エルルが愛しているのは村だけではないだろう?」
そう言って、ユリウスは私の唇を塞ぐようにキスをした。
柔らかいユリウスの唇の感覚を味わうように、目を閉じたのだった。
あ、あ、あ、あまああああああああああああい!!
砂糖吐きながら書きました。がんばりました。
【宣伝です】
コミカライズ、見て…まだ一話だけなのですが、その一話が既に面白いと言う奇跡なのです…感謝…。








