エピローグ2 その後のガイア王国
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一気に完結まで更新してます。
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よろしくお願いします!
私の素朴な疑問に、ユリウスがいつもの綺麗な顔で頷いた。
「ああ、確かエルルの前に3人いた。だが、戦時中ということもあり。あまり相手ができなかった。そのため子供が産まれないまま規則の婚約期間が過ぎたので別れたことがある」
と、なんの悪ぶることもなく素直に話すユリウスに思わず私は睨みつけた。
なにこれ、めっちゃ腹立つ!
すると私の憤怒のオーラに気づいたらしいユリウスが、少しばかり目を泳がせてから口を開いた。
「というのは、嘘、ということにしたら、君は機嫌を直してくれるだろうか?」
「直らないわよ! ユリウスのバカ! ハレンチ! 不潔! 手! 離して! 手!」
と言って私は、ユリウスとつないでいた手を振り払った。
するとユリウスが、この世の終わりみたいな顔をした。
「エルル、なんでもする。なんでもするからそんなことを言わないでくれ」
と言うユリウスの言葉に顔を背ける。
いや、別にさ、ユリウスが悪いわけじゃないって分かってるけど、でも、なんか嫌なんだもん!
だって……。
「だって、私は、初めてなのに……」
それなのに、ユリウスにはすでに元カノが3人もいるなんて、なんか、嫌だ……。
私が、そう思わずこぼすと、ゆらりとユリウスが後ずさった。
「なんだこれは、新しい精神感応魔法の類か? エルルが、可愛すぎて、心臓がもたない……」
そう呟いたユリウスの言葉に今度は、私の顔が真っ赤になる。
だって、可愛いとか、可愛いとか言うんだもの!
「か、可愛いとか、そんなこと言って私が簡単に機嫌が治るだなんて、思わないでよね!」
「いや、あれは私の本心だが……。だが、エルルに嫌われるのは、困る。その、あれだ、私だって精神的には初めてだから、問題ない」
精神的に初めてって何。
……まあ、いっか。
過去のことなんていくら言ってもしょうがないし。可愛いって言ってくれたし。
さっきはちょっと突然の話でショックだったけど、まあ、しょうがないことだもんね。
これから私以外の人に手を出したら許さないけど。
でも……やっぱり、悔しい。だから、ちょっとぐらい意地悪してもいいはずだ。
「別にユリウスの事、嫌いになったわけじゃないけど、でも、今日はもう手を繋がないから!」
「どうしてもか!?」
「どうしても!」
私が断固としてそう宣言すると、ユリウスが悲しみの表情を浮かべ、そしてすぐにレグリスを睨みつけた。
「レグリス、貴様のせいでエルルがご機嫌斜めだ。なんとかしろ」
「ユリウス、おぬし、もうちょっと、年上を敬う気持ちをだな」
「そうよー。そんな態度でいいの? 貴方、将来私達の義理の息子になりたいんでしょう?」
とユリウスとレグリスの言い合いに、割って入ったセレニエールがそう言った。
ん? 義理の息子?
どういう意味?
私がそう疑問に思っていると、ユリウスも同じように怪訝な顔をする。
でも、ユリウスは一つ思い当たる節があったようだ。
「まさか、さっき話していたレグリスとセレニエールの子供というのは……」
と言ったユリウスが、私の方を見た。
セレニエールもレグリスも私を見ている。
え、何?
「そう言う事! なんで気づかないのかしら? 珍しい真っ赤な髪はレグリス譲り。その勝気な性格は、私似でしょう? エルルはね、あたしとレグリスの子供よ。きゃ、言っちゃった! 本来は、子供の前で、親であると伝えるのは、アナアリアではご法度だったけど、もう魔王いないし!」
「ええ!? ええっ! えーーーーー!?」
まさかの突然の生みの親宣言に、アナアリアの王都の中心で、私の驚愕の声がこだました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
セレニエールとレグリスが、私のママパパと言う衝撃の事実に震えていると、セレニエールが「こんなところで立ち話もなんだし、私たちの新居に行きましょ!」と明るく言って、とりあえず移動することになった。
呆然とする私はセレニエールに引っ張られる形で、元魔王城があった場所に建てられた新しい屋敷の客間に案内された。
そしてその部屋に、知っている顔ぶれが、3人いる。
え、あれって……。
「アエラ? それにグイードに、ゴレアムも! 3人も、来てたの?」
なんとガイア王国の聖女御一行がすでにいた。
「エルルさん! お久しぶりです! お会いしたかった!」
と素直に喜んでくれたアエラと私で、キャッキャと再会を喜ぶと、ユリウスとグイードたちで、「久しぶりだな」「うむ」みたいな感じで軽く挨拶してた。
あの人達、ドライだね。
「やっぱりこうやってあの時のメンバーが揃うと、懐かしい気持ちになるわね」
「そうじゃのう」
とセレニエールとレグリスが、しみじみと言っているので、私はその二人に顔を向けた。
「なに、セレニエール達、アエラも呼んでたの?」
とセレニエールに尋ねた私の疑問にグイード王子が反応して、苦笑いのような笑みを浮かべた。
「いや、私達は、呼ばれたのではなく、助力を請いに自ら出向いたんだ」
助力?
どう言うことだと思って、目の前のアエラの方を見ると、悲しそうに微笑んでいる。
「何かあったの?」
「はい、実は、ガイア王国の王位継承問題で、色々ありまして……」
とアエラが言いにくそうに言うと、グイードが後を続けた。
「ガイア王国の王位継承戦に私も参加することになった。少しでも、継承戦で優位に立つため、私には新生アナアリア王国と太いパイプがあることを示しておきたいんだ」
少しばかり覚悟を固めた男の顔をしたグイード王子である。
でも、意外、グイード王子ってあんまり王位とかに興味ないイメージっていうか。
実際漫画でも、そういう感じだったし。
「意外だな。お前が、そこまで王位にこだわる男だとは思っていなかった」
ユリウスも同じ疑問を持ったようでそう呟くと、ゴレアムが低く唸った。
「アエラ様のためです。グイード殿下以外の候補者は、戦争を終結に導いたアエラ様の影響力を恐れている。他の王族が王位に就けば、アエラ様は、おそらく魔女という汚名を着せられ、最悪の場合は処刑されるかもしれないお立場なのです」
ゴレアムの口から漏れた衝撃の話に、目が点になった。
え、マジで!?
マジなの!?
そう思ってアエラの方を見ると、悲しそうにシュンと視線を下に向けている。
「何よ、それ! 利用するだけ利用して、それはないんじゃないの! そんな奴ら、私の爆裂魔法で燃やし尽くしてあげるわよ!」
「そう熱くなるな、エルル。それに、君は、もう前のように魔法を使えないだろう?」
ユリウスにそう言われて、私は唇を尖らせた。
そうなんだよね。
あの時、アエラの力を私の魔力で増やした時、一度私の魔力がすっからかんになった。
いつもは、無意識のうちに自分の魔力で自分の魔力を増やすという芸当をしてたようなのだけど、あの時は、全力でアエラの魔力を増幅させることだけに集中したために、自分の魔力を増やすという芸当ができなかった。
それで魔力が底を尽いてしまったのだ。
そして、魔力が一度底を尽いた私は、何故かそれからというもの魔力を増やすという謎の力が使えなくなってしまった。
まあ、普通に魔法は使えるんだけど、前みたいに得意だった大規模魔法を使うためには魔力が足りない。
その分今まで苦手だった細かい魔法が無難に使えるようにはなったんだけどね。
「大丈夫よ。爆裂魔法の1発ぐらい、余裕よ! 多分」
私は心配するユリウスにそう言うけれど、ユリウスは首を横に振った。
「エルルが無茶をする必要はない。私の力は君のものだ。君が望めば、エルルを不快にさせる奴ら全員氷漬けにしてやってもいい。……だが、これは、彼らの問題だ」
と言ってユリウスがグイード王子に視線を向けた。
「その通りだ。エルル嬢の気持ちは嬉しいけれど、私達の試練でもある。私達の力でなんとかしてみせる」
と言うグイード王子の言葉に、ちょっとばかり熱くなっていた気持ちが冷静になった。
よく考えれば、これはガイア王国の、グイード達の戦いなんだから、私たちが簡単な気持ちでしゃしゃり出ることじゃないよね。
でも……。
「分かったわ。でも、私達は、結構貴方達のことを気に入ってるというか、エルル村の名誉村民の称号を与えてもいいと思ってるっていうか……やっぱり魔王を倒してくれた仲間だって、思ってるから。だから、本当に困った時は、必ず言ってね!」
私がそう言うとアエラが笑顔を見せてくれた。
「はいっ! ありがとうございます!」
へへ、アエラの笑顔はやっぱり可愛い。
なにせ、私漫画の時からファンだったしね!
「と言うことで、まずは私とレグリスが、新生アナアリアの代表として、名前を貸すだけ貸したげる。今は、戦争も終わって、同盟国関係になってるけれど、あんた達に何かあったら、また暴れちゃうかもって脅してやってもいいわよ。ま、ちゃんと有効利用して、お姫様も守ってあげなさい」
とセレニエールが言うと、グイード王子にとある紙切れを渡した。
グイード王子は、それを受け取って、感謝しますと深々と頭を下げた。
どうやら、アエラ達の波乱万丈な物語は、まだまだ続くみたいだ。








