表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ配信開始!】魔王軍四天王の最弱令嬢は自由に生きたい!  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/71

聖女ご一行との話し合い②


「こちらのお嬢さんは、いったい、なんだ……?」


 ゴレアムが訝しげに私を見たあとに、ユリウスにそう尋ねた。


 立派な淑女に対して『いったいなんだ』っていうのも失礼な話だけど、でも、いいわよ。

 いったいなんだと聞かれたら答えてあげるのが世の情けだもの!


 私は大きく息を吸い込んで、我こそがエルル村を最も愛し、エルル村に愛されたエルル村の頂点エルル様だと答えてあげようとしたら、口の前にユリウスの手が伸ばされた。

 勢い込んで吸い込んだ息が、ユリウスの手に邪魔されて、うまく吐き出せない。

 フガフガいう私の横で、当のユリウスは涼しげな顔で口を開いた。


「彼女のことは後回しだ。その前に君たちの考えを聞きたい。私に手を貸してくれるのかどうかだ」


 ちょっと、なんで私のことは後回しなのよ!

 名乗らせてよ! 我こそは! って言わせてよ!


「なにをぬけぬけと! お前に協力などするものか!」


 ゴレアムがユリウスに食って掛かる勢いでそう言うと、不快気な様子でユリウスが口を開いた。


「なるほど。ならば安心しろ。私が欲しいのは、私の術を見破ることができたアエラとかいう女だけでいい」


 ドキッとした。

 『私が欲しいのはアエラだけ』

 そのセリフには覚えがあった。

 漫画の中でユリウスがアエラに言うのだ。魔王国を裏切り、仲間であったはずの四天王を倒し、心を痛めていないか問いかけたアエラに、ユリウスがそう答えた。

 やっぱり、ユリウス、アエラに惹かれ始めてたりするのかな……。

 

 なんだかもやもやしながらユリウスのアエラを見る瞳を見ていると、ユリウスの視線が少し下がった。

 アエラの肩に乗っている妖精に視線を移したようだ。


「それと、その肩に乗っている妖精も使える。まさか、異界に隠れ暮らしているはずの妖精に会えるとは。妖精族は人間よりも魔術師としての素養が高いと聞く。元々魔術を人間界に広めたのも妖精だという話もあるしな。ゴレアムと言ったか、嫌ならば別に貴方の助力は不要だ」


 ユリウスがそう言い放つと、ゴレアムが顔を真っ赤にして「こやつ……!」と言って殴り掛からんばかりだったけれど、隣の王子がそんな荒ぶるゴレアムの肩を抑えた。


「ゴレアム、大丈夫だ。冷静になれ。……ユリウス、あまり私たちを刺激しないでくれ。貴方が今までガイア王国にしてきたことを思えば、冷静で居られる方が難しい。私とて、本当は今すぐ貴方を殺してしまいたいぐらいなのだから」

 そう言って、王子は底冷えするような視線をユリウスに向けた。


 私なんかは、正直ゾクッて、ちょっと、怖気づいてしまいそうだったけれども、さすがに四天王最強のユリウスはその視線をいつもの無表情で受け止めている。


 流石ユリウスさん。四天王最強はやっぱり違うのね。


 と思ったけれど、しばらくしてユリウスの目が少し伏せられた。


「……そうだな、すまない。刺激するつもりはなかった」


 ああああ、あ、謝った! ユリウスが謝ったーーー!

 思わぬユリウスの言動に、私含むユリウス以外の全員が、ビックリした顔でユリウスを見た。

 皆の視線を独り占め中のユリウスは、目を伏せたまま話続ける。


「私は、正直、このように誰かに助力を乞うことに慣れていない。どう接すればいいのか分からないのだ。だが、それでも、力を貸してもらいたいとは思っている」


 なんとも殊勝なユリウスに、王子を始め、聖女ご一行は驚きを隠せない表情をする。


 私だって、ちょっとユリウスの態度には戸惑ってる。

 だって、ユリウスは、エルル村の人たちには比較的穏やかではあるけれど、なんというか、外部の人には厳しいというかなんというか。

 なにせ元魔王軍四天王ですからね。

 さっきまでだって、聖女ご一行にはどちらかと言えば、まるで悪役四天王みたいな態度だったし。


 しばらく絶句していた聖女ご一行だったけれど、比較的驚きが少ない聖女が口を開いた。


「それほどお困りのことがあるのですね。一体どのようなことにお困りなのですか?」


 そうそれ! それよ!

 私もそれが気になったの。


 私ね、実はよくわからないままこの皆さんの会合に村長として参加していたわけだけれども、いったいユリウスがそうまでして、聖女ご一行にお願いしたいことってなんなのだろう。


 静まり返るお食事会で、先ほどからずっとみんなの視線を独り占めのユリウスは、ゆっくりと口を開いた。


「私と一緒に、魔王を倒しに行ってもらいたい」

 え? 魔王を倒しに行く?

 ユリウスの予想外の一言に、再びお食事会に緊張が走るのが分かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔王軍四天王の最弱令嬢は自由に生きたい!のコミカライズがCOMICスピア(Renta!)さん にて8月23日配信開始

acca先生のエルルが可愛すぎる上に、ユリウスもカッコ良いので是非見てください!

転生少女の履歴書12巻発売しました!
転生少女の履歴書12巻


転生少女の履歴書コミカライズスタート!!

転生少女の履歴書コミカライズ


『後宮の生贄妃と鳳凰神の契り』(スターツ出版文庫)は2022年7月28日発売!

後宮妃は龍神の生贄花嫁-五神山物語


『嘘憑き狐の巫女様は後宮で謎を占う』コミックス全4巻発売中!

嘘憑き狐の巫女様は後宮で謎を占う


後宮茶妃伝第二巻も発売中です!!
後宮茶妃伝 寵妃は愛より茶が欲しい



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ