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【コミカライズ配信開始!】魔王軍四天王の最弱令嬢は自由に生きたい!  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ


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招かれざる訪問者②

 生意気な使者が、ぶるぶる震えて狼狽えた姿を見て、私はよし! と拳を握りしめた。


 でかしたローラン!

 君のギラギラハートは、あのイヤーな使者をビビらすという素晴らしい仕事を成し遂げたみたいね!

 というか、あんなにビビるなら、使者も挑発みたいなこと言わなきゃいいのに。愚かなるガイアの使者め! 


「もうやめておけ。魔法はそういう風に使うものではない」


 私がローランにこっそり称賛を送っていると、フードのうちの長身の人がそう声をかける。

 なんだか、その声、威厳があるというか、人に命令をすることに慣れているような、そういう圧力を感じる声だった。

 あのフード、何者なんだろう。

 使者は雇った流れの魔術師みたいなことを言っていたけれど……。


 そんな気になるフードの人に声をかけられたローランは、眉を顰めつつも大人しく魔力を落ち着かせた。

 先ほどからブイブイ言わせていた風が止む。


「俺はこの前、17歳になった。大人だ」


 ローランは再度念を押すようにそう言った。

 さすがに気にし過ぎなんじゃ……いや、ローラン思春期だからね、そういうのは敏感だから周りが気を付けていかないとね……。


「ええい! うるさい! 閣下の信頼厚いこの私を魔法で脅そうとは不届きなやつ! 取り押さえろ! 早くしろ!」」

 使者の方が、なんかさっきまでのねっとりとした口調を放り出して荒ぶり始めた。

 フードの人の後ろに隠れながら、ローランを指さして、わめいている。


 荒ぶる使者を前に、フードのお二人は、お互い目を合わせた。

 そして呆れたように女性の方が、口を開く。


「特別危害を加えてきたわけではありません。感情で魔力が動くのは若い魔術師にはよくあることです。それよりも、使者様はこの村の件について、村長と話し合いをするおつもりだったのではありませんか?」


「話し合いの必要などない! 危険な魔術師がいるのだぞ……!」


 と言って、訴えかける使者だけれども、フードの二人が取り合う様子がないのを見て、噴火したように顔を真っ赤にさせた!


「この役立たずが! お前らのような薄汚い流れの魔術師を雇ってやった恩を忘れおって!」


 そう憤怒の表情で言い捨てた使者だったけれども、フードの二人は取り合う様子もなく、ただ黙って使者を見下ろしていた。


「くそが! もういい! お前らには頼まん!」

 使者はそう言い捨てて、今度は鎧を着こんだ人たちに体を向けて、怒り顔で何かしら言おうとしたタイミングで、口を止める。


 どうしたんだと思ったら、使者の人はカンナの方に視線を向けて止まっていた。

 そして、何事かを思案するように 目を細めると、だらしない顔になった。


 ゴホンと咳ばらいをした使者は、ゆっくりとジャスパーさんに向き直った。


「いやー、少し取り乱してしまいましたねぇ。失敬失敬。少し話をすれば、この村が、どんな村かわかりますからねぇ。そこは閣下より使者の役目を負った私におまかせ下さい。ジャスパーさん、あなたが、この村の代表ということは間違いないのですよねぇ?」

 

 と、使者は突然、気味の悪い口調に戻ってそう告げた。突然の豹変がなんだか本当にすごく気持ち悪い。

 ジャスパーさんも訝し気な顔をしながらも、「そうだが」と答えた。


「なら、魔術師抜きで、この村の行く末を話し合いましょう。どちらにしろ、この領地に村を作るとなるのなら、納税の義務が発生しますからねぇ。今まで未納の分もありますから、そのあたりを決めていかないといけませんよ」


 使者は、またニタニタとした顔でそういう。

 まあ、言っていることは分かる。

 ガイア王国で暮らすとなれば、年貢とかいって、作物だったりお金だったりを納めなくちゃいけないってジャスパーさん達から聞いてたからね。

 なんかちゃんと税を納めないと、領主とかいう偉い人が村を滅ぼしに来たりするらしいから、エルル村の安全のためには、ガイア王国の法に沿うのが一番だとは思う。


 でも、催促してきた相手がこの使者ってなると、なんか納めたくないんだけど。

 それに、この人、感情の起伏が激しいし、嫌な感じするし……。


 私が注意深く観察していると、使者はフードの二人に向き直った。


「旅の魔術師先生は使えないと分かりましたので、一緒に来てもらわなくて結構ですよ。まあ、あの生意気な魔術師をここで見張っていてください。それと先程のように私に逆らうような態度を取ると、この地を治める偉大なる閣下にお伝えしてキツイお仕置きを受けてもらうことになるでしょうから、気を付けてくださいねぇ」


 そう言って、使者はフードの二人組を忌々しそうに見た。

 フードの長身の方が肩を竦めると、「了解した」と一言発した。


 ジャスパーが、少し眉を寄せ、わざとらしくない動作でユリウスを見る。

 ユリウスが頷くと、ジャスパーさんは改めて使者に向き合った。


「わかりました。なら、一度私の屋敷においで下さい。そこで、お話を伺いましょう」





区切り的にちょっと短くなりましたので、今日中に次の話を更新予定です。

はやく使者をどうにか……

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acca先生のエルルが可愛すぎる上に、ユリウスもカッコ良いので是非見てください!

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