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友人達 その2

「お待たせしました〜!」


俺と例の3人衆は例のファミレスに来ていた。


「悪いね〜早乙女くん、本当にいいの?」


「う、うん」


本田の目の前に運ばれてくるデザートの数々。それに比べて俺の前には入店した時のお冷やが1つ置いてあった。


「全く、早乙女よぉ〜昨日といい今日といいまた俺のことほっときやがって…魔法研究部の手続き終わった後結構探したんだぞ」


「すまんって長谷部、許してくれよ」


俺は魔法研究同好会から出た後、天野の情報を知っていそうな本田を探して校内を歩いていたが見つからず、長谷部と合流し例のファミレスへ。すると店内には本田と瀬川が居たのだった。


そして天野の情報聞く代わりにデザートを奢ることに…。


「そういえば2人は魔法研究部に入ったんだっけ?」


本田の質問に長谷部が気まずそうに答えた。


「実は入れたのが俺だけでよ、早乙女は魔法が使えないから入部出来ないと言われて、魔法研究同好会に入部したらしい」


「なるほどー、それで天野先輩の情報を教えろってことだね。納得。では教えるね」


昨日情報交換を持ちかけてきただけの事はありそうだ。魔法研究同好会の事すら知っているとは。


瀬川は目の前のデザートに夢中になってる中、俺と長谷部は本田の話に耳を傾けた。ってかお前も聞くならデザート代半分は出せよ…。



「天野先輩は校内では正体不明の謎の人って事で有名らしい。だから自ら彼に近付こうとする人も少ないみたい。勉強とスポーツは出来るみたいだけど魔法実技は平均よりちょい上くらいみたいだよ。魔法研究同好会会長なのに。天然パーマで扇子を持ち歩いているのが特徴。誰が見ても一目でわかるらしい」


本田の説明を静かに聞いている俺達。本田の真横では相変わらず瀬川がデザートを頬張っている。


今の説明では、やはり天野が生徒会長に次ぐ魔法の実力があるというのは嘘なのだろうか。だが植田が嘘を言っているとも信じきれなかった。


「天野会長は魔法使いとして生徒会長の次に優秀だと同好会の先輩は言っていたけど、どっちが本当なんだ?」


「天野先輩については凄い魔法使いだっていう噂もあるみたい。でも現に実技試験では高得点は取ってないみたいだよ。どっちを信じるかはその人次第じゃないかな?」


「でもよー、同好会と言えど会長をやってるんだからやっぱ凄い魔法使いなんじゃね?」


長谷部がボソッと質問する。


「私はどちらかと言うと実力はあまり無いのかと思っちゃうな。実力あるんだったら実技試験で結果出さない意味がわからないし、研究部に入り直して活発に活動したりした方がいいと思うんだよね。でもそうしないから、早乙女くんとしてもこのまま同好会に入ったまんまで良いのかって不安になるよね」


本田の言う通りだ。まさしく俺はその状態に陥っている。そしてデザート代を献上したにもかかわらず、このままではその状態から脱せないのかもしれない。


突如、カランとカラのガラスの容器にスプーンが入る音がした。3人共その音を立てた瀬川の方に注目した。



「柊くんと同じかも」


3人が彼女の発した言葉の意味にピンときてなかった。それを察して彼女は続ける。


「魔法実技試験の時、柊くんは魔法館を埋め尽くしそうな魔法を使ったけど、おそらく彼の本気ではない。まだ余力を残していたはず…。そして天野先輩も人前で魔法を使う時は余力を残している」


「ば、馬鹿な⁉︎あんな魔法使っといて本気じゃないだと?そんな訳あるか!」


真っ先に長谷部が否定した。あの時に柊の魔法を1番間近で見たのは彼だ。柊の圧倒的な魔法に1番驚き恐怖したはずだ。


「確かに信じがたいけど、今回の魔法試験の順位は柊くんが3位だったじゃない。なんで1位じゃなかったんだろう?新入生代表で答辞を読んでいたから、彼が1番優秀だと思ったんだけどね」


本田の最もな意見だが、俺は疑問が浮かび、それをぶつけた。


「優秀と言えば総合で1位だった小鳥遊が優秀だと思うが、彼は新入生代表として壇上に立たせるような人物ではない。それで柊が選ばれたかもしれないだろう?」


結局真相は謎のままで終わりそうな雰囲気だったが、瀬川が一言発した事で急転した。



「3人がなんと言おうとも、私が言った事は本当。あの試験の後も柊くんからは充分な魔力を感じたから」


だがそれと同時に瀬川は自分の秘密もバラしちゃってる事に気づいているのだろうか…。


「えっ⁉︎なになになに?魔力を感じたってどういうこと?」


「あの後も俺は柊の隣に居たけど、魔力はあんまり感じなかったけどなぁ〜」


瀬川はしまったと思っているのか、顔が少し青ざめている。自ら自分は魔力超感覚を持っているのをバラしたようなものだ。まぁこの面子なら話しても何も問題は無さそうではあるが…。瀬川は助けて欲しそうに俺に目を合わせてくる。


本田にしつこく迫られ、瀬川は魔力超感覚の事を話し始めた。もちろん俺と体育館裏で話した内容は話してはいなく、秘密のままだ。


「へぇ〜瀬川さん凄いね、魔力超感覚ってどこまで詳しく分かるものなの?」


「魔力の大きさはもちろん、魔力の属性も分かる。魔法波長までは流石にわからない。あと、魔法を使ってない時でも人は魔力を発しているから、その人の魔力量も分かる」


瀬川同様、俺の魔力超感覚も同じくらいのものだ。けども、魔法波長はわからないにしても、魔力から誰が発したのかぐらいは俺は分かる。


ちょっと場も落ち着いたので、目の前の緩くなったお冷を手に取り口に含む。






「ちなみに早乙女くんも魔力超感覚の持ち主です」



「ブハッ⁉︎…ゴホッゴホッ‼︎」


「ちょっと早乙女くん汚ない!」


「大丈夫か早乙女⁉︎」


全く、汚ないのはどっちだよ!あの女、自分で掘った墓穴に俺まで入れやがった。私を助けなかった罰ね!ざまぁみろと言いたげに俺を見てくる瀬川。こうなったら俺も白状するか。


テーブルの上に散らばった俺の吐き出した水を拭いて、とりあえず周りを綺麗にした。


「えーすまないみんな、俺も魔力超感覚持ってます。はい」


「なんで瀬川さんが早乙女くんが魔力超感覚持ってるの知ってるのは後で聞くとして〜、早乙女くんが魔力超感覚持ってるんだったら話は早いんじゃないの?」


「それが、天野会長からは通常量の魔力しか感じられなかったんだよ。もちろん柊なんかよりもっと少ない量だったな」


柊の魔力量が多いと言っても、あくまで魔力超感覚を持ってる俺達から見ての話だ。長谷部達では、おそらく何も感じないだろう。


「なら、やっぱり天野先輩の状態は一般人ね。それでは〜瀬川さん!なんで早乙女くんが魔力超感覚ってのを持ってる事知ってるのかな〜?」


「それは〜…」


本田は適当に結論を出して、自分の気になる話題へと転換した。困ったように再び俺の事を見てくる瀬川。もちろん助ける気はなく、俺は無視してやり過ごした。



天野については、魔法については特別秀でている点は見つからなかったが、何か隠していそうな気はする。頭にモヤモヤが募るばかりで、せっかく本田に奢ったデザート代も無駄になりそうだ。

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