表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/119

ホリホック・フレンズ(後)





 「なんだ!?」


 味方を示すグリーンの光は高速で戦闘エリアに侵入してくる。メインモニターに後方カメラのウィンドウを開けるとそこには見知ったシルエットのマシンが地上を高速で“走って”来るのが見えた。


 そう、両脚で陸上選手の如く走っている。『5Fr』の最大戦速を遥かに超えるスピードだ。両手に太く長い板状の何かを抱えながら。


 (『サリューダ』に見えるが……?)


 インフォパネルに機体情報が更新された。『サリューダ+』と表示されている。確かにワタル達の愛機に似ているがそれよりもスリムなシルエットになっている。その手に持った板状の武器?の外周を取り囲むように山型のレーザー刃が大量に出現した。


 「加勢する」


 「あ!?ああ、頼む!」


 スピーカー越しに低いテンションの女の声がした。その走ってくる『サリューダ』からか。疑ってる余裕は無い、とユキオ達は判断し回避行動から反撃の体勢に移る。


 『サリューダ+』の持つ武器のレーザー刃が高速で回転し始めた。


 (チェーンソーか!)


 助っ人の『サリューダ+』が飛びあがり『小クラゲ』に得物を叩きつける。ユキオの見立て通り、レーザー刃のチェーンソーが『小クラゲ』の展開したバリアを食い散らかすように削り抉っていく。


 「すごい……」


 ルミナが呆気にとられるように呟いた。ユキオとソウジロウも一瞬その光景に見とれてしまう。3人の目の前で『小クラゲ』はバリアごと分断され爆散する。


 「やった!」


 「このちっこいのはこっちで掃除する。3人は本体を」


 「了解、助かる!!」


 言っている間にも二機目も真っ二つにしている『サリューダ+』に答えユキオは前進した。動きを見る限りかなりの手練れのようだ。ナルハクラスの腕はあるかもしれない。サポートはいるかもしれないが信頼していいだろう。


 触手から発光。唸りながら迫りくる稲妻をジャンプで避わす。と、着地した足元が脆く崩壊した。落下しそうになるのを慌ててバーニアを吹かし脱出する。灰褐色の石灰岩のような地面が割れて奈落へと消えていくのがモニター越しに見えた。


 「危なかった……」


 「ユキオ君!もう一機!この間のヤツ!!」


 「!!」


 増援。ルミナの警告が鼓膜を震わせた時には、既にレーダーレンジに入ってきている。先日戦ったブルーの『ヘラクレス』、マヤが『ネプチューン』と名付けた近接型のパワーマシンが片手剣を抜きながら猛然と迫ってきていた。


 オリジナル機の『ヘラクレス』の巨大な斧よりは威圧感は無い。が、鋭く、暗殺者のような冷たい殺意が喉下に向けられる感覚に胃の下がグッと握り潰されるような不快さがある。


 ガッ!と突きだされた刃が『ヴァルナ』の中央に突き刺さり、表面を何度も焼かれたシールドに深く長い裂傷が刻まれる。シールド裏から引き抜いたバニティスライサーを投げるも、その光輪すらも横薙ぎに払った剣に両断されてしまった。


 (あの剣、そんなに堅いのかよ!)


 当たり所が悪かったのだと思いたいが、スライサーが破られるとなるとまともにあの剣は防御できそうに無い。スプレッドボムで爆炎を張り牽制を図るが、『ネプチューン』はその爆発のバリケードを無理やりに突破してきた。


 「強引な!」


 一瞬、その強引さに何か既視感を覚える。しかし悠長に別の事を考えている暇は無かった。突き出された一撃を屈んで避けてフルパワーで足払いをかけるが『ネプチューン』はそれをジャンプで回避していた。


 (動きを読まれた?)


 見てからでは避わせないタイミングだった筈だったが……、と『5Fr』をバックダッシュさせている所に『トレバシェット』が低空で接近してきた。


 「受け取れ!」


 装備コンテナが開き、小さな棒状のパーツが投下された。


 「レーザーソードか!」


 空に掲げるように延ばした右手の中に収まったのは『As』や『Rs』でも装備されているレーザー刃発振器だった。助かる!と短く礼を言ってすぐにブルーのレーザーを刃にし、『ネプチューン』の攻撃を受け止める。火花が夏の花火の如く四方八方に散り二機の機影をオレンジ色に染めた。


 (パワーでは負けている……!)


 徐々に押し込まれているのがわかる。四肢の間接モーターに過負荷が掛かりコンディションパネルが赤く点灯し始めるのを見てユキオはリアアーマーに空いた左腕を回した。マニピュレーターがグレネードの一つを掴む。


 (くらえ!)


 ハイパワーボムの強力な爆発が両者の間で広がった。無論『5Fr』もタダでは済まないが、一瞬早く離脱をかけたために稼動には問題ない程度のダメージだけだった。一方マトモに受けた『ネプチューン』は胸部を中心にブルーの艶やかなボディを真っ黒に焦がしよろめいている。


 「そこだ!」

 

 レーザーソードが蒼い軌跡を残しながら『ネプチューン』の顔面右側を切り裂き、そのまま右腕を切り落とす。


 (やった!)


 が、敵も剣を振りぬいた『5Fr』の隙を見逃しはしなかった。強烈な蹴りが脇腹に突き刺さり、そのまま真後ろに吹き飛ばされる。フィードバックしたダメージがユキオの横隔膜を締め付けて呼吸が止まり姿勢制御もできない。シータがオートで辛うじて背中から地面に落着してくれるように補正してくれたようだったが。


 『ネプチューン』が戦場から離脱してゆくのを薄目で見ながら、ユキオの『5Fr』は地表を激しく転がっていった。痛む腹を押さえながら空いている左手でコントロールスティックを握りなおす。


 「くそ、しかしアイツが帰ってくれたなら……」


 あとはクラゲだけだ……と、ようやく暴れていた機体が止まり立ちあがろうとした『5Fr』がグラリと沈み込んだ。


 (!!)


 足元に亀裂が走ったかと思った瞬間、地面はバラバラに崩壊し『5Fr』が奈落に飲み込まれる。ユキオは慌ててペダルを踏むがバーニアの大半が火を吹かず沈黙している。今しがたの地表でのダメージのせいか、おまけにバランサーさえ反応しない。


 「ま、マズイ!」


 「ユキオくん!!」


 ルミナの悲痛な声も空しく、『5Fr』が落下を始めた。恐ろしい速度であっという間に飲み込まれた穴が小さく遠のいてゆく。


 「クソ!」


 レーザーソードを投げ捨て、右腕で崖の壁面を掴もうとした。ガリガリと嫌な音を立てながら鋼鉄の指が大きめの突起を掴み、落下が止まる。が、息つく間も無く戦闘で疲弊した肩関節が音を立てて破断した。


 「ウソだろ!?」


 再び、重力のままにユキオは愛機と共に果ての無い暗黒へ落ちていった。







 

 「ユキオ君!ユキオ君!?」


 ルミナが身を乗り出して呼びかけるも、『5Fr』は漆黒の大穴に呑み込まれあっという間に遠ざかってゆきレーダーからも反応が消えた。元々高低差に強いレーダーシステムではないものの、この速度ではどこまで落ちてゆくか……。


 「ユキオ君、返事をして!」


 パニックを起こしかけるルミナを叱咤するようにソウジロウが注意を飛ばす。


 「奈々瀬さん、前!ビームが!」


 「!!?」


 『クラゲ』が射出した稲妻ビームが地面を跳ねながら『GSt』に迫る。半分はサポートAIに引っ張られるようにしながら、ルミナは間一髪その攻撃を避けた。


 「奈々瀬さん、しっかり!」


 「でも、ユキオ君が!!」


 すっかり冷静さを失ってしまっている。しかし、戦力的に見てもあの助っ人を加えたとは言え残る三人での『クラゲ』の破壊は難しいように思えた。『小クラゲ』のバリアが無くても、その傘の部分の、クリアピンクの外装がスナイパーライフルや『トレバシェット』のレールガンをまるでグミかなにかのように受け止めて無効化してしまうのだ。ミサイル等の爆発の衝撃も本体にダメージを負わせるほどの効果が見られない。


 「クソ!」


 ソウジロウは珍しく粗野な言葉を残し、『トレバシェット』を軽く上昇させると全ての武器コンテナを排除した。


 「宋堂君!?」


 「拾ってくる!奈々瀬さんはあの助っ人と協力して戦線を支えて、決して無理はしないように!!」


 止める間もなく『トレバシェット』が『5Fr』の落ちた穴に飛び込む。ソウジロウがユキオを助けに行くのも意外だったが。


 (二機で抑えろって言ったって!)


 無理があるとは思うが、ユキオとて放って置けない。次善策も無いと判断しソウジロウに託しながらリロードを済ませる。


 「大丈夫?」


 助っ人からの通信。声の低い女のようだが年上だろうか。マヤからは何も聞いていない。


 「あ、はい。何とか!!」


 稲妻と『フライ』からの波状攻撃を避わしながらルミナは応答する。


 「間に合うかどうか知らないけど、ちょっと『フライ』が五月蝿い。できれば排除して欲しい」


 「わかりました!イータ!!」


 サポートAIがルミナの意図を汲み、『ゼルヴィス』を飛ばす。蛍光色のウィング翻し加速した猛禽がビームガトリングを唸らせて『フライ』を次々と食い潰し始めた。


 ありがと、と短く礼を言いながら助っ人の機体、インフォパネルには『サリューダ+』と表示されているマシンがその背丈にも匹敵しそうなチェーンソーを振り回す。あんな重いものを持ちながら速度はハルタの機動型『サリューダ』以上だ。飛べないという事を差し引けば『As』にも匹敵する機動力かもしれない。


 また一機、『小クラゲ』がバリアごと爆発する。薄いライラックカラーの機体に青いレーザー刃の照り返しが揺らめいて、それは戦闘メカでありながら美しく見えた。慈悲も無くただ武器を振るい敵を殲滅する姿は北欧に伝わる伝承の戦乙女のようだ。


 (!)


 稲妻が再びきらめく。見とれているわけにも行かず、ルミナはまたフットペダルを踏んだ。攻撃範囲は広いものの、タイミングさえ掴めば機動力の上がった『GSt』なら回避するのは難しくないようだ。空中から爆装弾を三発、『クラゲ』の傘に発射する。弾頭の爆発が『クラゲ』の進行スピードをまた遅らせた。


 「加速の鈍いあの動きなら、これで侵攻の足は鈍らせられるけど……」


 そう言いながら再び二人が消えた穴を見る。


 (お願い、どうか無事に帰ってきて……!!)












 落下する感覚に慣れる頃には、ユキオにはもう打つ手が無い事が判っていた。両足を含む過半数のスラスターの不具合にバランサーのシステムダウン。現実とは違う電脳空間ではそれこそ無限かもしれないこの穴を、『5Fr』はなす術もなく落ち続ける。


 (やむを得ない……緊急離脱を掛けて一旦支部に戻って『ファランクスRs』……いや、まだアレはダメか。とにかく予備の『バリスタ』でも借りて……)


 思考を巡らせながら離脱ボタンに太い指を伸ばし……そこでユキオは戦場から離れて何も映し出さなくなったはずのレーダーにグリーンの光点が灯るのに気付いた。


 (!?)


 慌てて上を向く。そこには異形の飛行メカ、『トレバシェット』が垂直下降して接近する姿があった。


 「な、何で来たんだ!あの『クラゲ』は二人では抑えきれない!俺は一旦離脱して……」


 怒鳴るように早口でそう言うユキオにソウジロウはあくまで冷静に答えた。


 「戦線を抑えているだけでは永久にこちらに勝ちは無い。あのデカい『クラゲ』を破壊するためにはそのグロウスパイルが要る。『バリスタ』でも『Rs』でもダメだ」


 ユキオは『5Fr』の左手に残る『ヴァルナ』を見た。黒焦げでボロボロになった盾の残骸だが、その中に組み込まれている『5Fr』最強の破壊兵器グロウスパイルはまだ健在だ。


 確かに、これならあの『クラゲ』も破壊できるかもしれない、が。


 「しかし、バーニアもバランサーも死んでいるんだ!その『トレバシェット』に乗る事も出来ない……」


 「そんな事だろうと思って、手動制御リストを作っておいた」


 「はあ!?」


 コンソール上にある半透明のマルチディスプレイが立ち上がり、そこに見たことのないタッチパネルのボタンがずらりと並んだ。20以上はあるか……各関節のサーボモーターの名前がそれぞれに割り振られている。次いで、インフォパネルに長文のマニュアルが流れ始めた。


 「何だよコレ!?」


 「今から『トレバシェット』を『5Fr』の下につける。キミは機体を手動で制御して上手く『トレバシェット』の上に乗る様に動かすんだ。そのマニュアルに沿ってタイミング通りにパネルを押せばいい」


 「簡単に言うけど、これ113も手順が有るじゃねえか!」


 目を見開いて複雑なマニュアルを確認しながらユキオが半狂乱になった。ほぼ1分以内にこの手順を間違いなく操作出来る自信はさすがのユキオにも無い。


 「やるしかないだろう、悠南市の安全は我々にかかっている」


 意外な言葉に、ユキオの目の動きが一瞬止まった。


 「お前は……会社の利益の為に……マシーンの完成度を上げて売り込むためにパンサーチームに入ったんじゃないのか?」


 「そうだ。しかし会社の利益は商品やサービスを求める顧客、市民があってこそだ。それ無くしてボクの目的は成就しない」


 「お前……」


 しばし、言葉を失う。が、モニターの向こうのソウジロウは表情を変えない。


 「何をぼおっとしてるんだ。時間が無い、やるぞ!」


 「……そうそうすんなり成功するなんて思うなよ!」


 年下の新入りにこうまで言われればユキオとて後には引けなかった。マニュアルを下目に見ながらディスプレイのキーに指を伸ばす。


 「タイミング、コチラデ表示シマス。キーガ光ッタ順ニ押シテクダサイ」


 サポートAI、シータがそう申告した。それならばなんとかなるかもしれない。要は反射神経を使う音ゲーのようなものだろう。初見で1ミスも許されないというのはゆとりが無さ過ぎる気もするが。


 「いくぞ!3、2、1!!」


 更に加速を掛けた『トレバシェット』が背中から下へ回り込む間に、ユキオはタッチパネルのキーを必死に叩き続けた。シータのガイドは速く一瞬で次のキーへ移るために瞬き一つ許されない。マニュアルを必死に追いながら10本の指をフルに使って姿勢制御を図る。股関節、膝関節、肩関節が少しずつ調整され、『5Fr』は仰向けからスカイダイビングのようにうつぶせ気味のポーズを取った。


 「ラストデス」


 「……ぅらぁ!!」


 57秒で全ての入力を終える。同時にトレバシェットの背面に『5Fr』が上手く跨った。


 「よし、上出来だ」


 「お前、もう少し俺の苦労を労え……」


 「言ってる暇は無い。エネルギーケーブルをコネクターに挿せ。二機分のエネルギーで一気に上昇する」


 くそったれ……と言いながら『トレバシェット』の背面コンテナから出たケーブルと取りバックパックに挿す。これで『5Fr』のエネルギーが共用できるはずだ。『トレバシェット』の浮遊システムが全力運転を始め予想以上のGがユキオ達の体をシートに沈めてゆく。


 「……ったね!」


 (!?)


 唐突に聞き慣れない調子のAIの声がしたような気がした。AI情報パネルに視線をやると、一瞬だけその上にぼやっと人型の何かが見えた。


 「え?」


 慌てて瞬きして目を擦るが、次の瞬間にはそのようなものはどこにも見えなかった。


 「シータ?」


 「どうかしたのか?」


 「い、いや、今……」


 呼びかけにはシータは答えなかった。ソウジロウに説明しようにも、この違和感をなんと言えばいいのか。ただの気のせいで済まされるだけだろう。


 「もうすぐ地上だ。グロウスパイルの準備をしろ」


 「あ、ああ。シータ?」


 「グロウスパイル、スタンバイシマス」


 今度はいつも通りの反応が返ってきた。『ヴァルナ』のボロボロのシールドパーツが吹き飛び、円形状のガントレットが左腕に残る。サブジェネレーターが起動し、コンデンサにエネルギーが蓄えられてゆく。



























 「帰ってきた!」


 レーダーに二機の反応が戻る。直後、ルミナ達の前に『トレバシェット』に跨った『ファランクス5Fr』が浮上してきた。


 「ルミナさん、大丈夫!?」


 「な、なんとか!」


 左肩や足周りに被弾し装甲を失っているが、『GSt』は五体満足のようだった。助っ人の『サリューダ+』もアーマージャケットを失っていたが本体は健在のようだ。


 「遅れてすみません。玖州、『クラゲ』は『トレバシェット』で押し留める。トドメは任せたぞ」


 「できるのか!?」


 「やるしかないと言った!」


 珍しく感情を露わにしてソウジロウが機体を加速させる。ユキオもその言葉を信じてPMC砲から散弾で対空防御を張った。すでに『小クラゲ』は全滅させたのか見当たらないが、稲妻ビームが発射されれば動きの鈍くなっているユキオ達には避けようもない。


 (と、言ってる傍から!!)


 『クラゲ』の触手が持ち上がり、その先端にスパークが集中する。だがビームが発射される前にその中心を一条の銀光が貫いた。触手全体に小爆発が走りボロボロになる。


 「当たった!」


 前進しながら撃ったルミナのライフル弾だった。ユキオ達はその一撃が生んだ隙を突いて懐に飛び込む。ボロボロになった触手が唸りながら迫りレールガンをもぎ取るが、ソウジロウは構わずもう一本のレールガン付きアームで『クラゲ』に組み付いた。


 「行け!」


 「おう!!」

 

 トレバシェットから伸びるエネルギーケーブルを引きちぎりながら残ったエネルギーで『クラゲ』の真上に飛びあがる。短距離用の対空機銃が『5Fr』の厚い装甲を剥ぎ取るが、それには構わず左拳を思い切り突き立ててユキオはシータに叫ぶように命令した。


 「グロウスパイル!!」


 「レーザーランス、形成」


 ガントレットの先から神々しいほどに光り輝く長大な槍が伸び、巨大な『クラゲ』を串刺しにした。傘の奥にある本体のあちこちからスパークと爆発が生じ、黒煙を吐きながらバラバラに崩壊してゆく。


 「やった……」


 「ああ」


 エネルギーを使い果たし、地上に落下して転がった『5Fr』と『トレバシェット』から、二人のトレーサーは『クラゲ』の巨体が崩れながら粒子になってゆくのを見つめていた。ユキオは、その闇に溶ける粒子のように自分の中のわだかまりが消えるのを感じていた。




更新が遅くなりすみません、今後ペース戻せるよう頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ