生まれついての殺し屋《ナチュラルボーンキラー》
ボクは、ナチュラルボーンキラー――生まれついての殺し屋じゃない。
だから、罪の意識がしっかりと脳裏に横たわっているし、良心の呵責にだって苛まれている。
いっそ、殺すために生まれてきたんだとしたら、どんなに良かっただろう。
それは時に悪夢という形で、ボクの安眠を妨害する。
心穏やかにいることを、決して赦してはくれない。
ボクが死に追いやった亡者達。
彼らと彼女らが冥府からボクの脳裏に舞い戻り、元凶となったボクを死へ誘う。
原罪が、ここにあることを告げていく。
いつか。
それは、一八歳の春に大学へ通うことで、ようやく終わるのだと漠然と考えていた。
けれど、銀行口座に入金される額が増えていけばいくほど、桁が増えれば増えるほど。あまり自覚的ではなかったけれど、ボクは確実に普通さを失っていった。
戦いに。
命に奪うことに、命を奪われることに。
あまりにも、慣れてしまっていた。戦いに身を委ね、戦いと自分を一体化させることに。戦いに自分を最適化し過ぎてしまっていた。脅威を無意識に推し量り、それに身体が備えること。
それに、あまりにも特化し、また純化し過ぎていた。
それはきっと、こういうことなのだろう。
つまり、ボクはとっくの昔に、普通であることをやめていた。




