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さよなら栄光の賛歌  作者: 金椎響
第四章 かくてこの世の栄光は
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生まれついての殺し屋《ナチュラルボーンキラー》

 ボクは、ナチュラルボーンキラー――生まれついての殺し屋じゃない。

 だから、罪の意識がしっかりと脳裏に横たわっているし、良心の呵責にだって苛まれている。

 いっそ、殺すために生まれてきた(ボーン・トゥ・キル)んだとしたら、どんなに良かっただろう。

 それは時に悪夢という形で、ボクの安眠を妨害する。

 心穏やかにいることを、決して赦してはくれない。

 ボクが死に追いやった亡者達。

 彼らと彼女らが冥府からボクの脳裏に舞い戻り、元凶となったボクを死へ誘う。

 原罪が、ここにあることを告げていく。

 いつか。

 それは、一八歳の春に大学へ通うことで、ようやく終わるのだと漠然と考えていた。

 けれど、銀行口座に入金される額が増えていけばいくほど、桁が増えれば増えるほど。あまり自覚的ではなかったけれど、ボクは確実に普通さを失っていった。

 戦いに。

 命に奪うことに、命を奪われることに。

 あまりにも、慣れてしまっていた。戦いに身を委ね、戦いと自分を一体化させることに。戦いに自分を最適化し過ぎてしまっていた。脅威を無意識に推し量り、それに身体が備えること。

 それに、あまりにも特化し、また純化し過ぎていた。

 それはきっと、こういうことなのだろう。

 つまり、ボクはとっくの昔に、普通であることをやめていた。

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