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夢子の未来と眼鏡メイドのアルルについて

(魔物を倒すのはこれくらいでいいか、もう疲れてるし。)


 枕木夢子は魔犬を倒して魔石を手に入れていた。


 そしてその後、何匹かのスライムを倒したところで体力が尽きたため、夢子は森からメイド冒険者学園へ帰る道をノソノソと歩いているところだった。


(訓練のとき毎回スライムだけ倒してたらメイド女教師に怒られたけど、今日はスライムだけじゃないから怒られないですむかな。)


 夢子が歩きながら考えていたことは、今回の戦利品を見てメイド女教師に何を言われるかであった。


 メイドたちは訓練で魔物を倒しているので、当然、その成果について評価を受けることになる。


 そして、この森は魔物が出る森ではあるが、危険な魔物はほとんど出ない。


 それこそ一般的なメイド冒険者学園の生徒なら、一年生でもそれほど危険がなく、魔物を倒した成果として魔石を見せることで問題なく評価を得られるものだった。


 しかしながら、夢子にとっては話が異なる。


 普通の一般人程度の力しか持たない夢子には、初心者向けの森がハードモードと同様なのだ。


 このため、夢子は魔物を避けつつスライムだけ倒していたのである。


 そして、メイド女教師も夢子の実力を察しているためか、それでも特に何も言われなかったのだが、数ヶ月した時点でついに、


「お前、スライム以外の魔物も倒してこい。」


 と言われてしまったのだった。


(そんなこと無理ですう。)と泣き言を言いたかったところだが、メイド女教師のこちらを見る目は冷たい。


 冷たいというか圧があって怖い。おそらく土下座をして頼み込んでも、「関係ない、行け。」と無表情で言われるだろう。


 もしくは言い訳をしようとした瞬間に殴られそうな気がする。


 そんな気配を察していた夢子は、メイド女教師の命令に「はい!よろこんで!」と返事をせざるを得なかったのだった。


(今のところは魔犬を1匹倒したらセーフになってるけど、これからさらに要求が高くなっていったらどうしよう。)


 夢子の武器はナイフだけだが、催眠魔法が使えるため、魔犬を相手にするならそれほどの危険はない。


 けれど、ナイフでは歯が立たないような魔物を倒してこいと言われたらどうするか。


 銃や爆弾でもあったら話がかわるかもしれないが、夢子にそんな武器を手に入れるお金はない。


(はぁ。催眠魔法を使えるようになったときみたいに、いつのまにか力に目覚めたりできればいいのに。)


 夢子は心の中でため息をついた。


(本格的についていけなくなったら学園を辞めるしかないよなあ。)


 メイド冒険者学園では衣食住が提供されているため、夢子としては学園を卒業するまでの3年間、学園に居座り続けたいところだったが、命には代えられない。


 まだ会ったことはないけれど、ミノタウロスとかドラゴンとかと戦ってこいと言われたら潔く辞めよう。もしくは逃げよう。


 それが夢子の考えであった。


(そのときに備えて、できる限り準備をしておかないと。)


 夢子はだいぶ後ろ向きな考えをしながらも、しぶとく自分が生き残る方法を探していたのだった。




 そんなことを考えて森を歩いていると、夢子は見知った顔が前を歩いていることに気づく。


 それは夢子の数少ない友人、ペパー・ミントだった。


 ミントの隣にはもう1人メイドがいて、ミントの友人なのか2人で話をしながら歩いているようだったが、話をしているためかその足取りはゆっくりとしていた。


(ミントちゃんの側にいれば帰り道で何かあっても安心だ。)


 そんな打算をしつつ、気安い相手を見つけた夢子はガサガサと慌ただしく地面を踏みながらミントに近づいていく。


 その音に気づいたのか、ミントは立ち止まって夢子の方へ振り返っていた。


「や、やあミントちゃん。調子はどう?」


 息を切らせながら夢子が話しかけると、ミントは明るい笑顔を見せた。


「夢子さん、こんにちは。調子ですか?もちろんいいですよ!」


「そ、そうなんだ。いつもながらすごいね〜。」


 自信のある笑顔に押されながら夢子は陰気な笑顔を作る。


 夢子がミントの腰あたりを見つめると、ミントが腰に付けている魔石入れの袋が膨らんでいる。


 おそらく魔犬やそれ以上の魔物を何体も倒しているのだろう。調子がいいというのは本当のようだ。


「夢子さんはどうですか?」


 夢子がじっとりとミントを見ていると、ミントからも質問がきた。


「いやあ、ぼちぼちかなあ。」


 夢子は頭をかきながら苦笑いを浮かべた。


 正直なところ自分の調子は良い方なのだが、ミントと比べて魔犬を1匹倒しただけの自分の調子が良いとは言いづらい。


 夢子は「ふへへ。」と曖昧な笑い方をしてその場を乗り切ろうとしていた。


「なによ、ぼちぼちって。」


 そんなとき、ミントの横から声が入ってきた。


 それは、ミントの横に立っていたもう1人の女の子のものだった。


 その女の子は眼鏡を掛けていて線が細い。一見すると夢子以上に繊細に見えるメイドの女の子だった。


 彼女の名前はアルル・レモングラスといった。

読んでいただきありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

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