枕木夢子とメイド冒険者学園について
学校の教室のような部屋の中で、高校生くらいの生徒達が席に座っている。
それだけを聞くと、それは平凡な日本の授業風景に思えるかもしれない。
しかしながら、不思議なことに教室にいる生徒達は全員、メイド服か執事服を着ているのだ。
メイド服と執事服の生徒が席に並び授業を受けている光景は、メイドカフェでも見られない異様な光景であった。
そんな教室の最前列では、生徒達と相対するように教壇を前にして、教師らしき女性が立っていた。
そして、その教師もまたメイド服を着ている。生徒達の簡素なメイド服とは異なり、豪華なメイド服に身を包んだその教師は、隙のない直立した姿勢をとり、ベテランメイドのみに備わった気品と気迫を体の内側から放っているようだった。
周囲を威圧するような女性の姿は、まるで先生というより軍隊の教官のようであった。
「メイドとは何か、答えなさい。」
気迫と張りのある声で、教師の質問が生徒に飛ぶ。
その問いに弾かれるように、メイドの一人が勢いよく手を上げた。
「はい!メイドとは奉仕を行う者のことです。」
「よろしい。では、奉仕を行うメイドにとって最も大切なことは何か。」
再びの質問だ。それに対して、先ほどの生徒とは別の生徒が手を上げて答える。
「はい!それは主人に対する忠誠心です。」
「違うわ、たわけどもがっ!!!」
突如として教師が大きく叫び、声とともに拳が上段から振り下ろされる。と、教師の前にあった木製の教壇が拳により真っ二つにへし折られる。
ベキベキと大きな音を立てて床に散らばった教壇の残骸を見て、生徒達に緊張が走る。とくに、この場所の文化に詳しくない枕木夢子にとっては、その緊張は一層のものであった。
「メイドに最も必要なものは、主人や自分の敵を倒す圧倒的な力である!わかったか!」
「「「はいっっっ!!!かしこまりましたっっっ!!!」
教師の喝に対して、生徒達が背を伸ばして一斉に返答する。そこにはメイド喫茶のようなかわいらしい空間はまったくなく、監獄のような空気が張り詰めていた。
(ひええ~。これじゃあメイドじゃなくて軍隊じゃないか?こんなの聞いてないよお。)
周りの生徒に形だけ合わせるように口パクをしながら、枕木夢子は心の中で泣き言をいった。
そう、「メイドたるもの冒険者たるべし」が常識のこの世界で、枕木夢子は現代日本から異世界転生をしてきた普通の一般人だったのである。
少しずつしか書けなくてすいませんが、よろしくお願いします。




