第4話 限界と再起 (颯)
土曜の午後。
駒沢公園のジョギングコース。
俺は、3周目の途中で足が止まった。
「…くそ、重い」
太ももが鉛みたいに動かない。
呼吸は浅く、胸が詰まる。
腕の振りもバラバラで、フォームが崩れてるのが自分でもわかる。
「心拍数…165。オーバーしてる」
風は吹いてるのに、涼しくない。
汗が目に入って、視界がぼやける。
コース脇で待っていた葵が、麦茶のボトルを差し出してくれた。
「お疲れ。今日は、ちょっとキツかったね」
「…俺、やっぱ向いてないかも。走るの」
「でも、挑戦してる颯は、すごくかっこいいよ。私は、そういう颯が好き」
「…急にそういうこと言うなよ。照れるだろ」
「照れてる颯も好きだけど?」
俺は麦茶を一口飲んで、深呼吸した。
風が、少しだけ涼しく感じた。
「…じゃあ、もうちょっとだけ走ってみるか」
---
月曜の昼休み。
教室の空気は、いつも通りほんわかしてる。
俺は、葵の弁当を開けた。
「今日は、鶏の照り焼きと、もち麦ごはん。あと、ひじきの煮物とキウイ」
「…なんか、俺より弁当の方が回復してない?」
「うるさい。昨日の心拍数、165だったでしょ?疲労回復メニューにしてるの」
周囲の席から、いろんな声が飛んでくる。
「葵の弁当、リカバリーまで考えてるのか」
「颯って、ああ見えて根性あるよな」
「葵って、料理部の中でも“スポーツ栄養士”みたいになってる」
陽太が笑いながら言った。
「お前、次は何メニュー?“限界突破弁当”とか?」
「いや、今日は“再起弁当”だって」
翔太が分析口調で言う。
「でもさ、限界感じたあとにもう一回走るって、普通できないよ。俺、ちょっと尊敬した」
結衣が葵に話しかける。
「弁当、ほんとに毎回違うんだね。すごいなあ」
「うん。颯の様子に合わせて、栄養も変えてるから」
俺たちは気にしない。
でも、少しずつ“本気”になっていくのは、確かだった。
その夜、颯は科学ノートにこう書いた。
《第4回:3周ジョグ(約6.4km)。途中で停止。心拍数165。再起動完了。》
葵は、レシピ帳に「限界→再起弁当・第2週」を記録していた。
---
トレーニング豆知識
限界を感じた時の対処法
→水分補給、深呼吸、フォームの見直しが基本。無理せず歩いてOK。心拍数が170を超えたら、必ず休憩!
アスリート弁当豆知識
疲労回復弁当って?
→鶏肉(タンパク質+ビタミンB6)、もち麦(食物繊維+ミネラル)、ひじき(鉄分+カルシウム)、キウイ(ビタミンC+酵素)。翌日の回復力を高める!




