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第五話 初めての街

不定期更新過ぎてすみません。

今日は俺の誕生日だ。俺は家族と街に行くことになっている。


 馬車に乗り、揺られていると道の奥に壁が見えてきた。あの奥が街なのだろう。


 大きな壁に囲われ、大きな門があり、大きな塔の顔が壁からこちらを覗き込んでいる。俺はその景色に興奮を隠しきれずに


「わぁ…!」


 と白いネズミのような見た目の声を出してしまった。


門に差し掛かると、門番らしき人が居て検問された。


「荷物と誰が乗っているかを見せてもらうぞ」


と門番の声が聞こえた。検問があるということだけでも興奮してしまう。


「おいおい、誰が乗ってるかと思えばディルハじゃねぇか!久しぶりだなぁ!」


ん?門番は父さんと知り合いなのか?


「お、ベンか!お前少し太ったか?」


知り合いだな。これは。


「太ってねぇよ!ま、ディルハが乗ってるなら検問は別に良いか。通って良いぞ」


なぜか顔パスで通してもらえた。友達が多いメリットとはこれか…


 そうして馬車置き場で馬車から降りて、俺は街に入れたわけなのだが、街には"The 異世界"という感じの中世ヨーロッパみたいな建物が並んでいた。


 しかし、いつもは2次元や想像の中で収まっていた建物たちが、目の前にあるという興奮はもうしばらく収まることは無さそうだ。


 「街に着いた訳だが…レミアルは欲しいものはあるか?今日はお前の誕生日だからな。なるべくレミアルの希望に沿ったことをしよう。」


父さんはそう聞いてきたが、子供心がわかっていないな。


 「美味しいご飯が食べたい!!!」


 異世界の料理に興味がない訳が無かった。人間だから三代欲求の食欲にも勝てるわけが無い。


 「そうだよな、腹が減ってくる頃合いだよな。なら、冒険者の時によく行ってたところがあるから、そこで食うか!」


 歩いてそこに向かっている道中にもいろいろな面白そうなものが売ってある店があった。

 剣や杖、ローブや本、宝石なんかもあったし、ただ歩いているだけでも1日は過ごせるだろう。


「店長ー!久しぶりにきたぞー!」


 父さんが声を大きく出すと奥から人が出てきた。


「ディルハ、お前は全く変わってねぇな!ま、久々にきてくれて嬉しいよ。注文はいつものやつで良いのか?」


出た!行きつけの店でいつもの頼むやつ!


「あぁ、それを3人前だな。」


「お前の息子は初めましてだな。大きくなるのが楽しみだ。すぐ作ってくるから待ってな!」


 しばらくすると、料理が運ばれてきた。良い匂いがする。

 

 見るとそれはステーキらしきものが一皿、汁が一皿、クロワッサンのようなパンが一つだった。


「レミアル、これがオーク肉だぞ。めちゃくちゃ美味そうだろ?」


 俺はコクコクと頷いた。よだれが溜まっていて、口を開けたら滝が出来そうだったからな。


「「「いただきます」」」


「レミアル、味はどうだ?」


「うん、美味しい!」


 一口噛んだだけで肉汁が溢れてきて大変なことになっている。


「ファリア、良い加減機嫌直せよ…」


「え、お父さん喧嘩してたの?」


初耳すぎる。気付かなかった。


「朝ね、家を出る前にあなたのお父さんは私に対して『お前とよく行っていた店に行く』と言っていたけれど私はここに来たことが無いわ。」


 あ、これはまずい。


「あなたのお父さんは元パーティーの女の人と私を間違えたの。」


「すまなかったって!許してくれよ…!」


「まぁ良いわ。冒険者だったのは何年も前のことだし忘れていても仕方ないわね。それより早く食べましょ、料理が冷めちゃうわ。」


・・・気まずくて会話の無い食事の時間が続いたが、美味しかったからいいや。


 2人ともしゃべらなかったけどきっと父さんも母さんも肉汁が口の中に溢れて喋れなかったんだよな。そうに違いない。


 食べ終わったんだが、料理が美味しかったらしくて母は機嫌を直していた。

 良かった。気まずいお出かけになるところだった。

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