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美少女なんかに負けない男。

「見たところ、ウィンドライツ様に対する風当たりは優しいとは言いがたいですが――」


 とはいえ、露骨な差別や嫌がらせがあるわけではないらしい。

 好奇の視線を向けられることや眉をひそめられることはあれど、直接なにかあるというわけではない、とのこと。

 遠巻きに眺められていると言う点では、まあ、ほとんど俺と同じような感じか。


「アンブレラ様の想定通り、アルくんの存在が一定の抑止効果をもたらしているのかもしれません」


 それが本当かどうかは分からないが、俺にとってはどちらでもいい話だ。

 俺はただ、言われたことをやるだけで――。


「――それと、親しくしている女生徒がいるようです」


「何ィーーーーッ!!!」


 今日イチでかい声が出たよ。


 ……できとる。

 女が………………できとる!!

 全然俺と同じ感じじゃねえ!


「私は思いました。

 “ウィンドライツ様には彼女ができそうなのに、アルくんときたら……”と」


「おい」


 むっとしてみたけど本当にそうだよ。それは思ったよ。


「……けどま、良い兆候じゃないか? もともと、セロくんへの偏見蔑視をなくそうキャンペーンなわけだしな」


「その通りですが、自分に言い聞かせてませんか?」


「うるせえなあ」


 事実を指摘され、今度こそ本当にむっとしてみると、ルネリアは目をぱちくりと瞬かせた。


「……少し、意外です。アルくんはあまり女性に興味がないと思っていたので」


「いやそんなことは……」


 ……あるかもしれない。

 もちろん女体が嫌いなわけはないが、「女性」と何か親密な関係になるというのはあまり考えられないのだ。

 このアルター=ダークフォルトという名がある限り、まともな出会いなどなさそうだしなあ。


「そういった形跡も今まで特に見当たらなかったですし」


「それは………………ちょっとまって形跡ってどういう意味?」


 何のことか分からないが《《何かの形跡》》を探そうとするのをやめてもらえるか? ……何を言っているのか分からないが! とにかくやめてよね!


「? 特定の女性に好意を抱いているような形跡という意味ですが」


「お、おう……。そ、そうか……そうだよな……」


 セクハラしてきたのかと勘違いして危うくカウンターセクハラするところだった。あぶねぇー。

 ルネリアは首を傾げている。


「なぜそれほどの安堵を――」


「セロくんの! 親しくしてる女性ってのは! どんな人なのかなあ!?」


 全然興味がない話題を広げるしかなかったので、全然興味がない情報を聞かされるハメになった。

 ――名前は、ロミリア=クレスト。

 古いが小さい貴族家の息女で、二人の出会いは例の“入学式イベント”の直後らしい。


 感心の一言である。

 偏見を持たず人と付き合える、真っ直ぐで良い奴という印象だ。“アルター=ダークフォルト”のちょうど真逆じゃん。泣けてくらぁ。


「ところで、その」


 死んだ目で話に相づちを打っていると、ルネリアが話題を変えてきた。

 目を瞑って、少し息を吸う。よほど言いにくいことなのかと思いきや、


「…………アイナ=リヴィエット様は、どのような方なのでしょうか」


「え? ……うーん」


 どのような、と言われると困る。


「剣さばきが……凄い。やっぱり強いよ」


「それは分かっています」


「ええー……」


 もっと言え、みたいなカオをしているので絞りだす。


「そうだなあ。……度胸があって、自信がある。……けど、なんだろうな。ちょっと“自分というものがない”感じがしたな。芯がないってわけじゃないけど……」


 うまく言えない。

 衆目の前で堂々と俺と対決するあたり、意思は強そうに見える。

 それでも、アンブレラに言われた通り俺に稽古を付けたり、“契約学”を取ることになった際も文句一つ言わずに受け入れたり……そのあたりがチグハグな感じがしたのだ。


 しかしまあ、まだ出会って半日の付き合いだしよく分からないというのが本音である。


 ……なあ、だからその「もっと寄越せ」みたいな目やめない? もうねえんだよな本当に。


「他に何が知りたいんだ? あとはもう性別くらいしか知らないぞ」


「容姿などです」


「容姿の説明を!?!?!? 口頭で!?!?!?」


 結構な難題である。というか、ルネリアも今朝会ってるじゃん……。


 ええと髪はアッシュブロンドで……鼻は顔の中心にあり、それより上に二つの目があり……とジェスチャーを交えて一生懸命やってみたが、ルネリアはこっちを見ちゃいなかった。なんでだよ。せめて見てよ。


 その後、彼女は食器を下げて帰って行った。なんだったんだ一体。


 ……いや、なんかちょっと機嫌を損ねたのかもしれない。

 そういう機微には流石に長年一緒なだけに気がつくことができるものの、なんでだかはさっぱり分からん。

 こういうとき、ルネリアも年頃の女の子なんだと実感する。難しいもんだ。

 

「もしかすると……」


 アイナの容姿をやたら気にしていたあたり、俺が鼻の下を伸ばして特訓にならないことを心配しているのか?


 …………俺ってそんな女好きに見えるってこと? ちょっとショックだ。

 だがまあ、心配は無用である。

 

 見てろよルネリア……俺は美少女なんかにデレデレしたりしない!

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