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これまでのことこれからのこと。


 ……かくして、演技指導の日々は続いたわけである。

 

 とは言っても入学式が始まるたった三日の間だったわけだが、一体なぜ俺がこんな疲れ切った顔をしているかというと――。

 

「ちがう! そこは何も言わずにただ蔑むような目で表現するの!」


 だとか、


「アルター=ダークフォルトはそんなこと言わないッ!」


 であるとか。

 細かい指摘は多岐に渡り、表情から台詞の抑揚に至るまで……ダメ出しを喰らいまくったからである。


「――じゃ、今日はここまで」

 

 ……と、ようやく解放の言葉が出る頃に窓の外を見ると、すでに日が暮れていたりするのだ。

 驚くべきことに、アンブレラによる演技指導は半日に渡る。

 

 半日!


 これのなにが一番驚くべきところかというと、半日も演技指導している学園長の存在そのものだ。

 暇なんか? もっと他にやる業務ないんか?

 

 というところを突っついても仕方がないので、


「おつかれっした!」


 と、逃げるように学園長室を出ていくしかない。

 これ以上ここにいてあれこれ言われたら人格破壊されちまう……という切実な危機感からである。


 その後、再び食堂に引っ張っていこうとするルネリアに抵抗しつつ、自室で夕餉を食い、せめて安眠だけは邪魔されまいと布団を深くかぶって、一日が終わる――。

 

 

 ――これが俺が過ごした三日間の大体の内容である。


 魔術学園ではなく、専門学校俳優コースに間違って進んでしまった可能性を何度も疑ったものだが、そのおかげでキャラ付けはほぼ完璧なものとなったのは間違いない。

 

 ……ないのだが、自分の人格に深刻な悪影響が出そうで本当に嫌だ。

 

 長兄シュトルツみたいな生来の嫌な奴になって戻らなくなったらどうしよう……とシクシク泣く夜もありつつ。

 


 ――俺は、こうして今日という日を迎えたわけである。

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