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セカンド・ジェネレーションズ 〜逆襲の二世男子〜  作者: あゐおゐ ゑゐる
第6章 「罪と罰」

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06-02

 第二の招かれざる訪問者の登場。

 ケンジは一瞬にしてチヒロ、ルイ、シュンサクの注目の的となった。


「おたく、どちら様? 邪魔するなら公務執行妨害でしょっ引きますよ?」


 シュンサクは怪訝な顔で問う。


「渡部ケンジ。公安だ」


 ケンジは上着の内ポケットから警察手帳を取り出して見せつける。

 警察手帳をまじまじと観察するシュンサク。


「これ本物っすか? 俺、中身を見るまでは信じないよ。外見なんていくらでも偽造できるからさ」


 ケンジは器用に片手で警察手帳を開く。

 開かれた手帳の中身を確認するシュンサク。


「うわ、本物だ。公安だ」


 素直に驚くシュンサク。


「この人、公安だって」


 シュンサクは振り返り、笑顔でチヒロとルイに報告する。

 状況が飲み込めないが、やましい所がある二人は互いに目を見合わせた。


「で、その公安様が何の用っすか? こっちはあの二人を連れて帰るところで忙しいんですけど、邪魔しないでもらえます?」


 敵意を露わにし、真顔でケンジに詰め寄るシュンサク。

 反骨精神に火が付いた。


「邪魔なのは君だよ、織田シュンサク君」


「……どうして俺の名前を?」


「この事件を捜査する警察官の中で最も優秀であり、最も厄介そうなのが君だった。藤原ルイを見つけ出し、余計なことをし始めるだろうと思っていたのさ。だからこの一ヶ月、君をずっと尾行していたんだ」


「そっすか。勘弁してほしいなぁ……」


 シュンサクは後頭部を掻きながら顔を歪め、不機嫌を露わにする。


「棚から牡丹餅。本当に見つけ出すとはな。おかげで藤原ルイを探す手間が省けた。感謝するよ」


「公安も本庁と変わらないっすね。手柄の横取りっすよ、これ?」


 部屋の入口を塞ぐようにして仁王立ちをするシュンサクであったが、ふとした疑問が頭をよぎる。


「ん? てゆうか公安が彼らに何の用なんすか? わざわざ人前に姿を現して、初対面の一般人にまで身分を明かすなんて滅多なことじゃない」


 部屋の隅で耳を欹てていたチヒロは心臓の鼓動が早くなる。


「君が彼らを見つけた。そこまでは棚から牡丹餅だ。しかし接触を図ってしまった。だから私が姿を現した。君が彼らを見つけても、それ以上何もしなければ私も何もしなかっただろう」


「何すか、それ? どういう意味っすか? 俺に仕事するなって言いたいんすか?」


「そうだ。本来であれば、黙って何もせず手をこまねいていれば良かったのだ。君は父親から釘を刺されているはずだろう?」


 父親という単語に過剰に反応し、シュンサクはケンジを睨みつける。

 ケンジも負けじと冷たい目線でシュンサク見下ろす。


「はぁ? 喧嘩売ってんすか? 買いますよ?」


「君は普段からそうやって粋がっているようだが、君の父親が偉いかどうかなんて私の知ったことではない。たかが所轄の刑事如きが、我々公安のすることに首を突っ込むな。邪魔をするな。大人しくしていろ」


「親父は関係ないっすよ。俺は俺の正義を貫くだけっす」


 ケンジの胸ぐらを掴むシュンサク。


「その安っぽい正義感が目障りだと言っている」


 シュンサクの胸ぐらを掴み返すケンジ。

 互いに主張を一歩も譲らない。


「とにかく、そこをどいてください。あの二人は俺が連れて帰りますんで」


「いや、こうなってしまった以上、あの二人は我々公安で保護する。現場の刑事がどうこう出来るような問題ではないのでね」


「マジで意味分かんねっす。力ずくでもどいてもらいますから」


「正義の味方が聞いて呆れる。一時の感情に焼かれて身内に暴力とはな」


「権力を楯に偉ぶってる人間なんか身内じゃねぇっすよ。所轄の刑事舐めないでもらえます?」


「父親の権力を楯に偉ぶっているのは君だろう? どの口がほざいているのやら」


「はぁ……、話にならない……」


 溜め息を吐いたシュンサクは勢いよく右手を振り上げる。

 しかし、その握り拳が振り下ろされる前にルイがシュンサクの手首を掴んだ。


「落ち着いてください」


「……落ち着いてるよ。ただの脅しさ」


 シュンサクは振り向き、ルイに向かって笑ってみせる。

 振り上げた右手を下ろすと、掴んでいたケンジの胸ぐらを離した。


「お前も離せよ」


 シュンサクは自分の胸ぐらを掴むケンジの手を振り払う。


「で、公安が介入するような案件って何すか? しかも用件は一般人の保護ときた。ただ事じゃないっすよね?」


「君に話す必要はない」


「イルミンスール記念会館で教祖を殺害し、デカい火事を起こして、最近の政治家やら偉ぶってる金持ち連中やら大企業やらと、イルミンスールのスキャンダルを垂れ流しにしているのが彼らだっていう話なら納得できますけどね」


 ケンジは黙り、僅かに口角を上げて静かに笑う。

 チヒロとルイは一瞬驚きの表情を浮かべたが、すぐにそれを隠した。


「敢えて言わずにいたんだけど、こうなったらしゃあないから全部話しますわ。ま、あくまで俺の推論だから適当に聞き流してもらって結構っすよ」


 シュンサクは後頭部を掻きながら溜め息を吐く。


「二人のうち、どっちが教祖を殺したかは分かりません。何なら他の人間が殺した可能性も無くはないです。が、やっぱこの二人が確率高いんじゃないっすかね。ねぇ?」


 チヒロとルイを交互に見るシュンサク。

 二人は沈黙を貫き、表情を変えずに白を切る。


「そして地元の警察すらも近寄らないメロメ民族の居住区画に身を隠し、イルミンスールが溜め込んでいたスキャンダルを世間に垂れ流す。目的はイルミンスールの崩壊か、自由勤民党の崩壊か、或いはその両方か。概ねこんなところっすかね。当たりでしょ?」


 シュンサクはケンジに視線を戻す。

 するとケンジは微笑み、小さく手を叩いた。

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