初めて妹より私を信じてくれた人
「君ってなんでそんなに自分を傷つけるの?」
そう言ってゴーチエ様は、私の手に持つ毒を奪い取った。
「ゴーチエ様…」
「エロイーズ。俺のこと信じられない?」
「そんなことは」
「なら、あんなふしだらな妹は放っておいて俺のところにおいで」
「でも」
両親は、妹ばかりを愛する。友達も、妹の言葉を信じた。元婚約者は、妹に心を奪われた。
妹は私のモノを奪うのが好きだ。なにもかも奪われた。祖母が私にくれた形見のペンダントだって。祖父が買ってくれたぬいぐるみだってそう。
唯一私の身の上話を信じてくれたのは、ゴーチエ様だけ。私はそんなゴーチエ様に心を惹かれてしまった。だからこそ、迷惑をかけたくない。
「迷惑なんかじゃないよ」
「え」
「むしろ、俺の目の届かない場所で消えそうになる方が迷惑」
そう言いながらゴーチエ様は私から奪った毒を丁寧に捨てた。
「俺が守ってあげる。だから、あの世に救いを求めるのはやめな。俺に救いを求めるといいよ」
「ゴーチエ様、私…」
「俺のモノになりな、エロイーズ。俺が全力で守ってあげる」
弱い私は、結局ゴーチエ様の手を取った。ゴーチエ様は一日で私の両親と話をつけて、私を自分の屋敷に招いてくれた。必要なモノも全部揃えてくれた。
「なんでお姉様なんかがゴーチエ様に選ばれるのよ!ゴーチエ様みたいな上位貴族のイケメンに相応しいのは私の方だわ!」
ゴーチエ様の屋敷に引き取られてしばらくして、やはりあの妹は押しかけてきた。そして暴れ出した。しかしゴーチエ様は相手にもしない。
「エロイーズ。あの害獣とは話などしなくていいから。お前たち、さっさと追い出せ」
「はい!…申し訳ありませんが、お引き取りを」
「ちょっと!離しなさいよ!ゴーチエ様、騙されてます!お姉様は酷い人なんです!ゴーチエ様に相応しくありません!」
「うるさいなぁ」
ゴーチエ様は、妹に近づいた。妹は期待した顔でゴーチエ様を見つめたけど、ゴーチエ様が耳元で何かを囁くと一転して青ざめた。逃げ帰る妹。私は訳がわからない。
「ゴーチエ様、妹になにを…?」
「なに。あの子は君の元婚約者と婚約したのはいいけど、前の男との間の子供がお腹にいるらしいからさ?バラしていいのか聞いただけだよ」
「え」
色々衝撃。
「これからはあちらも積極的には絡んでこないだろうし、安心おし。それと、そろそろ俺たちの結婚も進めないとね。楽しみだね」
ゴーチエ様は時々強引。だけど、そういうところも大好きだ。




