表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/169

99 酒の魔神とコメ、ダイズ

 巨大小麦のおかげで、バーレンヘイムの食糧事情は改善しそうである。

 しかしやはり目玉が沢山ついていて、こちらが食われそうになるのはいただけない。


 それでもバーレンヘイムの魔族はそこそこ強いので、食肉小麦にやられるようなクソザコは私くらいのものだ。

 そう考えると自分の立ち位置が情けなくなってくる。


「テテンクルルスー、何を考えているのだー?」

「い、いやですね。食糧事情が少しずつ良くなってきたなーと思いまして」

「フッフッフー、ワシのおかげなのだ。感謝するのだ!」


 まあそれは否定しないが、あの巨大食肉植物はちょっとどうすればいいもんだか。


「てんたくるす様―。おられますかー?」


 トモエが何やら袋に入れて持ってきた。


「これ、実家から送られてきた食べ物なのですが、皆様に如何かと思いまして」


 トモエが持ってきたのは大量の豆だった。


「ありがとうございます。それでこれは?」

「これはダイズと申します。拙者のいたヤマトクニではこれを食します」


 どうやらこれはウー・マイに見せた方が良いようだ。



「アイヤー、コレは良質の大豆アルね」

「ウー・マイさん。これをご存じなのですか?」

「当然アル。料理人たるもの洋の東西全ての食材に精通しているものアル」


 流石は一流料理人だ。


「そしてこれは、色々な形に加工できるものアル」

「いろいろな形というと?」

「ミソ、ショーユ、ナット―、トーフ、何でも作れるアル」


 ショーユって確か、トモエの飲んでいたクソ不味い飲み物ではないか。


「ショーユ……ですか?」

「そう、ショーユアル。アレは最高の調味料アルよ」


 オイオイオイオイ、トモエは調味料を飲み物だと思って飲んでいたというのか?


「ウー・マイ殿。ショーユってのは辛くて旨い飲み物では無いのか?」


 トモエが狼狽えたように質問していた。


「あんなもんそのまま飲む奴は頭イカれてるアホ丸出しアル」

「ガーン……拙者、間違っていたというのか」


 まあおかしいなとは思ってはいた。

 あのショーユって液体、飲んだら辛すぎてとても飲みきれるもんじゃない。


「では、あのショーユってのは何なのですか?」

「ショーユは東方の調味料で大豆から作る黒い液体アル。これ料理に使うととても美味い物作れるアル」

「それはダイズから作れるのですか?」

「そうアル。でも他にもコメとか塩もいるアル」


 トモエがそれを聞いて反応した。


「あの……ミソ、コメなら……拙者の実家に頼めばヤマトクニの物が用意できますが」

「トモエさん、それではぜひお願いします」

「はい、承知致しました」


 トモエは実家に手紙を書き、それを煉獄鳥に持たせて送った。


「これで一週間ほどで届きますよ」


 そして一週間がたった。


「てんたくるす様、実家からコメとミソが届きました。良質のコージもあります」

「コージ? 何ですかそれ?」

「てんたくるすのオッサン、コージを知らないアルか。コージはカビの一種。これが酒やショーユを作るのに役立つものアル」


 酒といえば、魔神バッカスがいたな。

 バッカスに話を聞いてみるか。



「おう、おどれらよう来たのう」

「こんにちは、バッカスさん。今日はちょっと変わった物を持ってきました」

「ほう、変わったもんなあ、何持ってきたんじゃい」


 私達はコメとダイズとミソを魔神バッカスに見せてみた。


「ほう、コレは変わっとるのう。ちょっと舐めてみてええか?」


 魔神バッカスはミソを舐めてからコメとダイズを噛み砕いた。


「これはうまぁあい!! これを使えばいい酒が作れそうじゃい!!」

「あの、酒ではなくショーユという調味料を作ってほしいんですが……」

「任せんかい、醸造ってのはどれも同じじゃい」


 そう言うとバッカスは大鍋にコメとダイズを入れて煮だした。


「一週間ほど待っとれ、ええもんよういしておいたるわい」


 魔神バッカスは上機嫌で作業に取り掛かった。

 今下手に作業をジャマしたら、機嫌が悪くなるのでまた出直そう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白いと思ってくれましたらブクマ・☆☆☆☆☆ポイント評価お願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

<運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

元ゲームクリエイターが転生して救世主になるファンタジーです

『転生クリエイターのマップチェンジャー』圧倒的な魔力でチート能力を使い一瞬で天変地異を巻き起こす元ゲームクリエイターの転生者はハズレスキルの地面作成(マップチェンジ)を使いこなし救世主となる!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ