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97 小麦という名の巨大バケモノ

「テンタクルスのオッサーン。ワタシ欲しいものあるアルね」

「何ですか? ウー・マイさん」


 彼女は今やバーレンヘイム庁舎の料理長である。

 欲しい物なら何でも手に入れてやるだけの価値は十分にある立場だ。


「ワタシ小麦粉が欲しいアル。ここあまりにも肉、肉、肉で小麦とか無いから栄養偏る一方アル」


 まあそう言えばそうだ。

 パンは国外からの輸入品が大半で、それも高い。


 まあ騎竜戦艦とバッカスの酒代という二大巨頭の金食い虫が解決したので、金という意味では輸入が増えても成り立つが、それでは根本解決にならない。


 今のバーレンヘイムに必要なのは、自国の中での生産力なのだ。

 そういう意味では、パラケルススの巨大食肉植物はバーレンヘイムならではの売り物にはできる

 何故ならここにいる魔物や魔族達は、決して弱くはない。

 単に居場所がなくて追い払われた左遷組が大半で、食事さえまともならどれもが一騎当千の強さを発揮できる連中ばかりだ。


 それなので、今後は食糧問題を解決する事が最優先事項と言えよう。

 

「わかりました、どうせなら小麦粉ではなく、小麦そのものをできるだけ手に入れてみましょう」

「助かったアル、では頼むアル」


 私はオクタヴィアに指示をして、良質の小麦を大量に仕入れる事にした。

 そしてその際の輸送費の事を考え、少しでも安くできるように現地に買いに行く事になった。


「テンタクルルルー。ワシのスーパーウルトラ……」

「わかってますよ、言いたい事は」


 この名前を言わせればそれだけで無駄に時間がかかる。

 それにパラケルススの言いたいのは、ワシのゴーレムくん十号は輸送船ではないのだー。

 に違いない。


「今は戦闘の時じゃあありませんからね。そういう際には別の働き方をしてもらうのが最も賢いやり方だと思うんですよ」

「そうなのだ!! ワシは賢いから賢いやり方が出来るのだ!」


 本当におだてに弱いタイプだ。

 おだてれば木にでも上りそうなくらいだろう。


「そうですね、では小麦の受け取りに向かいましょう」

「わかったのだ! ゴーレムくん十号、全速力で発進なのだ!」


 私達は隣の地域に小麦を仕入れに向かった。



「これはこれはようこそお越しくださいました」

「私はバーレンヘイムの執政官『テンタクルス・ネジレジアス』です」

「ワシは天才錬金術師のパラケルススなのだ!」


 私は隣の国の食料大臣に挨拶をした。


「はて、テンタクルス様といえば、あの魔界大元帥のテンタクルス様ですか? なぜバーレンヘイムなんて僻地に?」


 コイツは嫌味な性格のやつだ。

 私が左遷された事を知った上でわざとマウントを取りに来ている。


「まあ、色々ありまして。でも今はゆっくりしていて楽しいですよ。中央でずっと仕事に追われていた時よりものんびりできますし」


 とりあえずはそういう事にしておこう。


「そうですかそうですか。まあ私どもは金さえしっかり払ってくれれば相手がどこの人でも構わないんですがね」

「そう言ってもらえると助かります。それでは小麦をお願いします」


 隣の国の食料大臣は金貨100万ゴールドと引き換えに小麦を30トンほど引き渡してくれた。


「それではまた金貨を持って来てくださいましたらいつでもお売りしますので、お待ちしておりますよー」


 あの多頭族の魔族、ニコニコ笑った顔の裏側の不愉快な顔見え見えだっつーの。

 まあこれで小麦は確保できた。

 これをいかにどう増やすかが今後の課題だ。



 農水課の畑に来た私は、パラケルススとトンソックと共に小麦を撒いてみた。


「とりあえず、今は武装してますブー」


 トンソックは不慮の事態に備えてフルプレートアーマーで待っていた。


「ではワシのキョダイナールグレートグレートXXを使うのだー」


 オイオイ、名前のグレートとXが何で二つ増えているんだ?

 パラケルススは怪しげな液体を撒いた。


 すると、小麦がどんどん大きくなり、その実一つ一つに巨大な目が出来た。

 そしてその目の下には巨大な牙が生えた。


 やはりこうなったのか。

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