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82 悪魔の契約書?

 どうやら彼女は私の事を覚えていたようだ。


「私はこのバーレンヘイムの執政官『テンタクルス・ネジレジアス』と申します。よろしく、お嬢さん」

「ふぇ……。ワタシ崑帝国皇帝専属宮廷特級厨師の『ウー・マイ』アルね」

「オレっちはブブカ。姐さんの子分っす!」


 ブブカはともかく、ウー・マイの肩書にある皇帝だの特級だのってはのすごい能力と考えていいのだろうか。

 厨師という言葉は聞いた事がないが、料理人の意味で良いのだろう。

 そうでなければあれだけの魔神にも等しい技は説明がつかない。


「貴女達はどこから来たのかまでは問いません、ここは流刑地バーレンヘイムです。ですが、今後この国で生きていくためには色々と手続きが必要でしてね。このお昼が終わった後、私についてきてくれますか?」

「ふぇ? わ、わかったアル」

「了解っすー!」


 二人共、素直に私の言う事を聞いてくれたようだ。


 そして戦場のような昼休憩が終わった。



「あら。ロリコン変態触手ヘタレ最低悪趣味魔族さん、今度はどこの女の子をひっかけてきたんですか?」


 オクタヴィアの私に対する別称がまた変わっている。


「そんな事はどうでもいいです、それよりも住民申請の書類と新規採用手続きの書類はどこですか!?

「そ……それでしたらその奥の箱に入ってます……よ」


 オクタヴィアは私がいきなり高圧的に出た事にビックリしたようだ。

 しかし今はすぐにでも彼女達の書類を完成させる方が先だ。

 これは今後のこの国の士気に係るレベルの問題だ。


「これですね、とりあえず一通り取りますよ」


 ここで私はウー・マイとブブカの二人分の新規採用書類を用意した。


「とりあえず、名前を書いてください。すると盟約が発揮され、この書類が効果を発揮します」

「ふぇっ!? 何アル? それ怖いアル!」

「オ……オレっち、取って食われたりしないっすよね!?」


 まあ初めての事だ、何をしていいかわからないし、この後どうなるかわからないのも気持ちはわからないでもない。


「大丈夫ですよ、これは死んだ後に魂を受け取る悪魔の契約書とは別の書類ですから」

「別のって事はそういう怖い書類も存在するアル! やはりここは地獄アル!!」

「姐さんー!! オレっちどこまでも姐さんについていくっすー!!」


 この連中はやかましい、そこまで大声を出さなくてもいいのに……。


「だからそういう契約書は本人が望まない限りは出しませんって。本人が望んだ場合は別ですが」


 それが聞こえていたオクタヴィアが複雑な表情をしていた。

 彼女は実際、人間だった昔にその悪魔の契約書を交わした張本人だ。


 その書類は真っ赤な紙であり、呪いのインクで自身の名前を記入する事で効果を発揮する。

 だがその契約書はここには数枚しかなく、普段どれだけ需要がないものなのかを物語っている。


「とにかく名前を書けばいいアルね。ウー・マイ、と」

「オレっちは、ブブカ、と書いたっす」


 これでとりあえずの雇用契約書類は完成だ。


「これで貴女は正式にこのバーレンヘイム庁舎食堂スタッフ、それも料理長待遇で採用されました」

「ふぇ!? ワタシが料理長アルか?」


 ウー・マイは突然の料理長就任に驚いていた。

 しかし、あのメシマズサイクロプスよりよほど適材適所といえるだろう。


「そして、そこのブブカさん」

「オレっちは?」

「あなたには農水課からの荷物の獣車の積み下ろしの仕事をしてもらう事になります」

「どういう事っすか?」

「そうですね。食堂に運び込む食べ物の積み下ろしをやってもらう形です。それと厨房の中の雑用ですね」

「了解っす、姐さんの為なら頑張るっす」

 

 農水課では今パラケルススが巨大植物の研究をしている。

 それだけのデカいものを下すにはそこそこの体力が必要だという事だ。


「以上で契約は終了です。後は住居手続き等の書類の記入をお願いします」

「えー。まだ続くアルか?」


 すみません、役所ってこんなもんなんです。

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