76 こんな植物食べれるの?
ゲンキニナールグレートXの瓶を飲み干した私に力がみなぎってきた。
「フハハハハハ、これが私の本当の力です!」
「テンタクルルスー、助けてほしいのだー、このままでは食べられてしまうのだー」
「仕方ありませんね!」
私は触手の先端を鋭利な刃物に変化させ、食肉植物の蔓を切り裂いた。
「テンタクルススルー、助かったのだー!」
「ありがとうですブー」
全盛期の力を使えるのは数分間だけ、その間にこの食肉植物を倒さないと。
「あなた達は下がっていなさい、ここは私がかたずけます」
「はうー、やっぱりいい男なのだー、ワシの最愛の人なのだー」
パラケルススが目をハートにしているが、貴女には後でしっかりとオシオキしますからね。
「サウザンドスラッシュ!」
鋭利な刃物と化した私の触手が、食肉植物の花と実をズタズタに斬り裂いた。
しかし食肉植物は切り裂かれた部分を修復させ、更に増殖、分裂を繰り返している。
「何だというのですか!」
そして食肉植物はギザギザの牙の生えた口から臭い息を吐きだしてきた。
「ブブブッブブブヒーーー!!」
「びええええええーー!」
パラケルススとトンソックがあまりの臭いにひっくり返ってのたうち回っている。
しかし、全盛期の私は状態異常完全耐性を持っているので、この臭いは少し不快という程度でしかない。
「その程度、効きませんよ! さあ、覚悟してもらいましょうか!」
私は右手を広げ、地獄の青い炎を手で発動させた。
「我が最強魔法、インフェルノ・ブレイズですよ。サイズは小さくしてありますが威力は変わらないので、どうぞ召し上がってください!」
インフェルノブレイズが食肉植物を包み込む。
地獄の青い炎は、食肉植物の全身を焼き尽くす形で燃え続けた。
そして、火が消えるまでには小一時間後程かかった。
食肉植物だった物は、全身がこんがりと焼けた姿になっていた。
そして辺り一面に、こんがりと香ばしい臭いが漂っていた。
「凄いのだー! テンタクルスっス、カッコいいのだー!!」
だから、いつになったら貴女は私の名前をきちんと覚えてくれるのですか?
私はゲンキニナールグレートXの副作用で、力尽きて倒れていた。
「テンタクルスさん、おかげさまで巨大植物が死にましたブー。そしてこれがとても美味しいですブー」
「え? こんな植物……食べれるの?」
トンソックはこんがり焼けた食肉植物にかぶりついて、美味しそうにガツガツ食べていた。
「これは美味いのだー! ワシもこれならいくらでも食べれるのだー」
いや、とりあえず貴女は後で、オシオキ確定ですから。
「それは……よかったです、ね」
私がまともに動けるようになったのは、それから30分ほど後の事だった。
「ふう……大変な目にあいました」
「テテンタクルスー、これ食べるのだー」
パラケルススが私の前にこんがりと焼けた植物の実を出してきた。
「そこまで言うなら、食べてみますか」
私は植物の実を口に入れてみた。
美味い。
これはお世辞無しに問題なく食べられる。
「テンタクルスー、美味いかー? これ美味いかー?」
「ええ、これは美味しく食べれますよ」
パラケルススが目をシイタケのようにして、喜んでいた。
「ばんざーい、ワシの研究結果が認められたのだー!!」
いや、とりあえず後で、貴女はオシオキ確定ですから。
「テンタクルスさん、確かにひどい目にあいましたが、この植物巨大化液は使い方次第で食糧不足解決に役立ちますブー」
「そうなのだ、ワシを褒めるのだ」
「そうですね、とりあえず皆さんの食糧不足解消のきっかけにはなりそうなので……褒めてあげますよ」
私はパラケルススの頭を撫でてやった。
「わーいわーい、嬉しいのだー」
「ですが、あんな危険な目にあわせてくれたお礼もしないといけませんね……」
「ひええええー、ペンタクルス、目が怖いのだー!!」
その後、パラケルススは、ストレッチ地獄のオシオキフルコースを体験する事になった。