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66 一方その頃

 ワタシはブブカと一緒にこのばーれんへいむとかいう地獄を歩いてたアル。


「姐さん、そろそろ腹減ったっすー」

「ブブカ、ではまた食材探してくるよろし」

「了解っすー!」


 ブブカはワタシのいい子分アル。

 アイツ最初は変な豚みたいなやつだと思ってたが、性格は素直でいう事をきちんと聞いてくれる助手になるアル。

 もしアイツが料理を教えて欲しいと言ったらきちんと教えてやるアル。

 多分才能はあんまりないけど人並み以上の料理を作るだけのやり方はワタシに任せれば大体の奴が作れるようになるアル。


「姐さんー、トカゲとその辺りの草とちょっと溶けかけた木の実見つけてきたっすー」

「えー、また前と同じのアルか」


 ここはトカゲと草と変な木の実しか取れないアルか?

 まあないよりはマシなので今回は前と違った料理を作ってやるアル。


「ブブカ、それ寄こすアル」

「了解っす!」


 アタシはまずトカゲを包丁で徹底的に叩き潰してひき肉を自作したアル。

 そしてブブカに石を使って木の実をドロドロになるまですり潰させた後、草をみじん切りにしてお湯の中に入れたアル。


「まずはこの草の灰汁をしっかりと抜いて、下茹でをするアルね」

「姐さん、火はもっと強い方が良いっすか?」

「いや、これで十分アル、後はその強さを保てば良いアルね。


 そしてトカゲのひき肉とすり潰した木の実を混ぜて伸ばした後それを麺に仕立て上げたアル。


 辺りにいいにおいが立ち込めてきたアル、しかしその臭いに釣られてトンデモない奴が出てきたアル。


「ガオオオオオ!」

「ふえぇえええ!! アレは何アルか!?」

「姐さん、あれはデビルベアっすー! かなり強いモンスターっすー!!」


 私達の前にでっかい熊が現れたアル、でも熊くらいならワタシ倒した事あるので問題ないアル。


「伝説の厨具、流星包丁の切れ味を見るアル!」


 流星包丁、それは空より落ちてきた小さな星から作られた伝説の包丁、この包丁で切れない食材は存在しないアル。

 熊は高級食材、飛んで火にいる夏の虫ならぬ、鍋に迷い込んできた高級食材アル。


「アイヤァアア! 流星……短冊切り!」


 ワタシは目の前の熊を横になぎ払い、その後縦に素早く何十回と切りつけたアル。

 熊は何もできずにそのまま食材の切り分けた肉になったアル。


「姐さん、凄いっすー! まさかあのデビルベアを一瞬で倒すなんて!!」

「あの程度朝飯前アルねっ」

「オレっち、下手に姐さんと戦ってたらああなってたのか……」

「まあブブカは多分美味しい豚骨スープになってたアル」


 流石にこれはハッタリアル、あの時は心はぐちゃぐちゃ、お腹はペコペコ、襲われてたら間違いなくワタシの方が美味しく料理されてたアル。

 まあブブカはそれに気が付いていないので良しとするアル。


「ブブカ、そこの熊肉を持ってくるアル」

「了解っす、ちょっと待って下さいっす」


 ブブカが持ってきた熊肉は獣臭く、そのままでは間違いなく食えたものではなかったアル。


「ではこの毛皮をはいでから肉を取り出すアル」


 熊の右手はハチミツを取るので甘くなるというが、この熊もその例に漏れず手から甘い匂いがしたアル。

 熊肉はそのまま火を通すと獣臭くて食えない物になるので細かく切り分けた後、しっかりと茹でて灰汁を取りまくったアル、量が多いのでブブカにも手伝わせたアル。


「姐さん、いつまでこの鍋の上の上の変なもの取り続けなけりゃいけないっすか?」

「黙って取るよろし、これきちんとしないと美味い物食えないアル」


 ワタシとブブカがしばらく灰汁取りを続けたのでゆで汁がようやく澄んだいい色になったアル。


「ヨシ、ブブカ、今日は良い物食わせてやるアル」

「本当っすか! オレっち楽しみにしてるっす」


 下ごしらえをした熊肉はさっと湯通しをし、その後油でカラッと揚げてから木の実のすり潰しソースをかけたアル。


「完成! トカゲと木の実の麺入りスープと熊肉の素揚げ木の実ソースアル!」


 今回出来上がったこの料理はこの地獄に来て一番いい出来になったアル!

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