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65 やはり食い物が不味い

 なんだかんだでお詫び行脚していたらもうすっかりお昼になってしまった。


「お腹すきましたし、みんなで何か食べに行きますか」

「ワシもうお腹ペコペコなのだ」

「我、ご主人様の行く所ならどこでもついて行きますぞ」


 この二人はまあさっきまで一緒にいたからわかる。

 しかし……。


「仕方ありませんね、ここを案内する為について行きましょうか」

「拙者もお相伴させていただく」

(わらわ)だけボッチなんて……いやなのョ」


 何で全員がぞろぞろついて行くスタイルになるのだ???

 周囲の目線が気になる、明らかに私達は浮いているのだ。

 そして何か食べに行くと言っても行ける場所なんてあの不味い食堂しかない。


 ああ胃が痛い、それにあそこにはリオーネがいる、更にこちらにはファーフニルまでいるときたもんだ。

 この二人の仲の悪さは水と油と言えるくらいだ。

 お互いプライドが高い上、相手を認めようとしない。

いつまでたっても平行線だ。


「ご主人様、何を考えておられますか?」

「ファーフニルさん、くれぐれもトラブルを起こさないでくださいよ」


 私は猛烈に嫌な予感がした、最近この嫌な予感が外れたためしが無い。

 どうせこの後もろくでもない事が起きるのだろうな、ああ、胃が痛い。


 そんなこんなで私達は庁舎の食堂に着いた。


 食堂は相変わらずだ、やる気の感じられない庁舎のスタッフに美味しいとはとても言えない食事、ダメダメ+ダメダメ=ダメダメダメダメ


 それでも食べなくては体がもたないので私はどうにか定食を頼んだ。


「A定食6つで」

「あいよぉ……って、テンタクルスじゃねーかよ!」


 やはりここにはリオーネがいる。

 そして獣王剣ビーストカイザーで肉を素早く切り刻んでいた。


 今日のA定食はどうやら揚げ物らしい。

 素揚げされたカエルは黒ずんでいて、骨が多く食べるところが少ない。

 パンは黒く焦げていて固くて苦い。

 そしてスープは何か変なにおいがする上、しょっぱい。


 これで金をとるってレベルじゃねーぞと声を大にして言いたいくらいだ。

 そして案の定オクタヴィアは持参した栄養ドリンクを飲んでお菓子を食べているだけだった

 何のために人数分頼んだんですかと突き詰めたい。


 本来食事はテンションやモチベーションを上げる為の物のはず。

 だがこの目の前の物は明らかにテンションが下がり、モチベーションも下がる味だ。

 つまりは『クソ不味い』

 バーレンヘイムの食糧事情の酷さは士気にもかかわる。

 こんな不味い物食っていたらやる気も出なくなるのも当然だと言えよう。


 ああ、何か美味しい物が食べたい……。


「あの触手料理は美味しかったなぁ」

「え? テンタクルス、触手なんか食ったのか!? お腹壊さなかったのか?」

「我も一緒にいただいたが、アレは至高の味だった。あれ程の物はどこにもあるまい」


 みんなが不味い食事を食べる中、触手を食べた話よりも美味しかったところにみんなが食いついてきた。


「テンプラクス、それってどこで食べれるのだ?」

「それっていつの話ですか?」

「てんたくるす様、触手って食べれるだったのでしょうか?」


 みんなが興味深々で触手料理の話を聞いてきた。


「いや、ファーフニルさんを怒らせた女の子が料理人で凄いのを作ったんですよ」

「えー羨ましいのだー、ワシもうこんな不味いモノ嫌なのだー」


 パラケルススのすぐ横にナイフが飛んできた。


「文句言うなら食わずに帰れ!」

「ひええええ、おっかないのだー!」


 まあリオーネの気持ちもわからないではない。

 不味い不味いを連呼されるとそりゃイラっとするわ。

 しかし本来なら私も声を大にして言いたい。


 これは不味すぎる!!


 このバーレンヘイムの食糧事情の悪さを改善しない限りはこの空気は変わらないのだろうな。


 そう考えると私はまた胃が痛くなってきた。

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