6 横取りこそが楽しみという奴
考えがあるだと……。ポリコールの事だ、どうせ高次元の者とやらに泣きついて外部圧力で嫌がらせをするだけの事だろう。
『ダブル・スタンダード』の結界の中で動けないままの私は魔鋼の鎖で後ろ手に縛られたまま寝転がされた。
「テメェの心をバキバキにへし折ってやるからな! これを見ろ!」
ポリコールはそう言うと私のGEBOKU48を全員連れてこさせた。
「どうだ、お前が手塩にかけて育てた女共だ、触りたくても触れまい……だが!」
おかしい……私の嫁達が誰一人として言葉を発しなかった。
中には屈服前から屈服後に至るまでずっと話し続けるような口から生まれてきたような女神もいたのだが、それも何も言葉を発しない。
「オレだけはこの女共を触る事を許されるのだ!」
そう言うとヤツは私の嫁の一人の胸をいきなりわしづかみにした。
元アマゾネスの女王だった彼女はムードやシチュエーションが違うと機嫌を損ねるので屈服後も丁寧に扱ってあげた女性だ。
ポリコールには女性に対する心遣いも何もあったものではない。
私には絶対に自身で守る誓いがあった、それは決して魔法や薬、脅迫では女性を屈服させない事だ!
そう、私の数多くの嫁はあくまでも全部実力、つまりは私の触手とテクニックだけで相手自ら屈服するまで攻めた成果なのだ!
「オイ! 俺が触ったら何か反応しろよ! このボケ!」
ボカッ!
ポリコールは事もあろうか私の嫁を殴ったのだ! 女性に手をあげる事は私には絶対に許せない事だった!
私にとって女性は絶対に快楽と幸福を与えた上で自らの力で庇護する者だと考えていた。
ハーレムと呼ばれるものは本来そういうものだ!
だが、ポリコールはそんな女性の意思を魔法や薬や恐怖で意思を奪い踏みにじっているのだ!
「やめろ……!」
「はぁ? 何か言ったかよ!」
「やめろと言っているのだ! 何故女性に手をあげる!? 貴様には誇りはないのか!」
「プッ……古いんだよね、そういうの」
「何だと!?」
「このメス共はオラオラ系のオレみたいなイケメンがする事は何でも許すんだよ! それが高次元の方々からオレだけに許された特権だからな!!」
私は奴が許せなかった、女性の事をメス扱いするコイツの態度……そしてそれを野放しにする高次元の者とやらの存在。その全てが許せなかった。
「オラァ、何つっ立ってんだよ! オレ様に奉仕するのがメスの立場だろうが!」
ポリコールは私の嫁達を殴ったり首を絞めたりしてからわざとらしく頭をなでる事で自らの身体を愛撫させたり胸や尻に触らせたりして私に見せつけてきた。
「どうだ、悔しいか? オレは努力したやつの手にしたものを横取りして踏みにじるのが何よりも最高の楽しみなんでな! テンタクルス、テメェが少しでも反抗的な態度を見せればこいつら全てメチャクチャにしてやるよ!!」
……私が生まれて初めて敗北を感じた瞬間だった。私の事はいい、それよりも私の嫁達を不幸にするというコイツのやり方から嫁を守ってやりたい……それだけだった。
「わかった……私の負けを認めよう。だが一つだけ頼みがある!」
「はぁ? 負け犬の頼みを聞くわけないだろうが! それにテメェの言おうとしている事は分かってるからな! ダメだ!」
「何だと!」
「おい、メス共! 全員で今からコイツをズタボロになるまで痛めつけろ! 一番できの悪かった奴は……メチャクチャにしてるからな!!」
何だと!! 私の嫁達はみんな目が全く生気を感じない物になっていた。まるで自身の意思を持たない人形だ。
……それからどれだけの時間が過ぎたのだろうか……私は翼、角、腕、足といった全てをまともに立つこともできない程長い間、数多くの嫁達に痛めつけられ、財産と地位といった全てをポリコールに奪われ、ボロボロの着の身着のまま魔界のゴミ捨て場に捨てられたのだ。