54 触手VS最強ドラゴン
「信じられん! 我のブレスを無傷だと!?」
「ふう、どうやら私の炎耐性無効は健在のようですね」
ドラゴンは私が高温のブレスの中で無傷だった事を驚いていた。
「歓迎の挨拶はいただきましたので、今度はこちらから行きますよ!」
私は高速で空中を滑降しながらドラゴンにパンチとキックの連打を叩き込んだ。
だがドラゴンはケロリとしていた。
「なんだそれは? それで攻撃のつもりか?」
しまった! 今の私はレベル30程度、ハッキリ言ってクソザコだ。
そのレベルでの攻撃なんて倒せるのはアダマンタイトの鎧を着た人間程度だ。
これが人間でもオリハルコン装備になると、手も足も出ない程度だ。
「仕方ないですね、では魔法で勝負しましょう」
「フン、面白い」
私は得意技のインフェルノブレイズで焼き尽くす事にした。
この魔法はかつて私がオクタヴィアの祖国を一瞬で焼き尽くした最強魔法だ。
「食らいなさい、インフェルノ……ブレイズ!」
轟炎がドラゴンを包み込んだ。
私の炎は地獄の炎、相手を完全に焼き尽くすまで決して消えない青い炎だ。
これを喰らえばいくらドラゴンでも無傷ではいられまい。
「クックック、心地よいわ。このそよ風がキサマの最強魔法か」
「おっと、炎の魔法は効果が無かったようですね」
ドラゴンは私の地獄の炎で気持ちよさそうにしていた。
どうやら炎の魔法は相性が悪いようだ。
「まあよい、我を相手にこれだけ長時間生きているとは……死ぬ前にキサマの名前を聞いておこうか」
「失礼ですが、人に名前を尋ねるなら先に自分から名乗る物ではありませんか?」
「ふざけた奴だ、まあよい。我はファーフニル、最強のドラゴンだ」
「ファーフニルさんですね、私はテンタクルス・ネジレジアスと申します」
「テンタクルス、その名前覚えておこう。墓標は用意できんが悪く思うな」
そして私達は再び戦う事になった。
しかしファーフニルは間違いなくレベル70近くはある。
いくら再生能力を持つとはいえ、今の私では苦戦必須である。
「このままでは良くないですね、決定打に欠ける」
「チョコマカチョコマカと……これを喰らうがよい!」
ファーフニルは今度は猛毒の息を吐いてきた、低レベルの相手なら即死確定だ。
だが、私は毒耐性も持っている。
レベルが下がっているので少し気分は悪くなったが、これくらいなら大したことはない。
「その動き、遮らせてもらいますよ!」
私は触手を伸ばし、ファーフニルの尻尾を縛り付けた。
「!!」
私の触手は斬撃以外にはほぼ全耐性持ちだ。
そのカギ爪で引っかき切らないと解く事は出来ない。
特に粘性、弾性に優れているので振りほどくのは至難の業、ファーフニルの短い前脚では尻尾まで届かないのでほぼ振りほどくのは不可能だ。
「どうやらアナタはこの攻撃に弱いようですね」
「この……卑怯者が……」
「次に塞ぐのはその口のようですね!」
私は別の触手を伸ばし、ファーフニルの口を触手で縛った。
「ではその体の動き、封じさせていただきますよ!」
私の触手がファーフニルの全身を縛った。
ファーフニルは触手を振りほどこうと魔力を全身にたぎらせた。
だが、それだけ振りほどこうとすればするほど触手は深く食い込み魔力を吸収した。
「グッグググムウムウウウ」
ファーフニルが声にならない声を上げている。
私は話せる程度に口の縛りを緩くした。
「さて、これでも戦いを続けますか?」
「我の、我の負けだ、まいった……我の完全な負けだあああああああ」
「そうですか、ではこれを解いてあげますよ」
しかしファーフニルはそれを嫌がった。
「嫌、解かないでくれ、いや、解かないで下さああああああい!!」
「へ?」
「最高の気分なんです、もう少しこの気持ちいい縛られた痛みをつづけてくださああああい!!」
私はこのファーフニルの状況に物凄く嫌な予感がした。
「なんでもします、我を……貴方様のペットにしてくださああああああい!! ご主人様ぁぁぁぁー」
ひょっとして、このドラゴン……変態!?