49 ドラゴンさんいらっしゃい
この山マジでなんもないアル
お昼はよく分からん虫を食べたけど、今は食べる物が無いアル。
ワタシとブブカはこの山をずっと歩いていたアル。
「姐さん、オレっち姐さんと一緒に入れてよかったっす」
「ふぇ? いきなり何アルか?」
「オレっちあの山でずっと住んでたけど、あんな美味いもん食ったの初めてっす! 姐さんさすがっす!!」
「そうアルか、でもあんなの下の下、下下下の下アルよ」
「姐さん? 世の中アレよりもっと美味い物あるって言うんすか??」
ワタシ、このブブカがちょっとかわいそうになってきたアル。
きっと生まれてこのかたロクな食いもん食ってこなかったアルね。
「ブブカ、お前普段どんなもん食べてたアル?」
「えっと、エサの取れた時は虫、それと草、それに土っすかね」
ロクなもんないアル! これマジでかわいそうすぎるアル。
ワタシ料理人、料理人のプライドでコイツには美味い物食わせてやらないと気が済まないアル。
「ブブカ、もっと美味いもん食いたいアルか?」
「えっ!? マジで食えるんすか??」
「まあ材料次第アル」
とにかくこの山を下りないと美味い食い物なんて見つかるわけがないアル。
さっきから変な虫と変な生き物なら見つかるけど、どう見ても毒ありますと体に書いてそうな奴ばかりアルね。
「姐さん、オレっちまたエサ探してくるっす!!」
「ブブカ、虫以外でも頼むある」
「わかりました、オレっちに任せるっす」
ブブカは走って食材探しに行ってくれたアル。
ワタシは今晩ここで泊まる為の準備をしたアル。
岩場がゴツゴツしていて上がちょっと飛び出した洞窟みたいな穴があったアル。
ここで今晩は寝るアル。
でも父さん言ってた、洞窟で火をつける時は外の風の通る場所でやらないと空気が毒になるから気をつけろ、なのでワタシ火を使う時は非常に気をつけるアル。
そういえばなんでこの洞窟こんなに上の部分が大きいアルか?
ワタシは洞窟の中を少し調べてみたアル。
洞窟の中はとてもムシムシしていてめっちゃ熱い場所だったアル。
まるで風呂の中アル、ワタシ暑かったので上の服を一枚脱いだアル。
これで少しは動きやすくなったアル。
動きやすくなったワタシは洞窟の中のちょっと高くなってた平らなトコを見つけたアル。
「凄いアル! これは玉子アル!!」
ワタシの目の前にあったのはとても大きな金色の玉子だったアル。
これ一つあればとても美味い料理作れるアル。
ワタシは玉子を一つ取ったアル、これでブブカに美味い物作ってやるアル。
ワタシが玉子を持って戻ってくると丁度ブブカが帰ってきたアル。
「姐さん、キノコとトカゲ捕まえてきました」
「ブブカ、お手柄アル」
ワタシは早速キノコを下茹でし、トカゲの鱗を全部そぎ落とした上で皮をむいたアル。
トカゲは鳥やワニみたいな肉になったアル。
それを包丁で一口大に切り、それに特製のキノコソースを作ったアル。
めいんでぃっしゅは玉子アル、この『めいんでぃっしゅ』なる言葉は崑と違った国のメチャクチャおいしい食事を意味する言葉アル。
ワタシは玉子を使って特製のふわふわ半熟玉子焼きを作ったアル。
「ヨシ、これで完成アル!」
「姐さん、すごいっす! 尊敬するっす!!」
ブブカとワタシはトカゲのキノコソース、ウー・マイ風とふわふわ玉子の半熟玉子焼きと焼き平饅頭を食べたアル。
「うめぇえええ!! こんな食い物が世の中にあったのかあぁあああ!!」
「ブブカ、大袈裟アル」
「でも姐さん、玉子なんてどこにあったっすか?」
「この奥のとこに玉子あったアルよ」
「……ひょっとして、この玉子。めちゃくちゃデカい金色じゃなかったっすか?」
「そうアル、それがどうしたアル?」
「……それ、ドラゴンの玉子っす」
食事をしていたワタシ達は後ろに食事の匂いで起きた後にこちらを睨んでいるドラゴンの存在に気が付かなかったアル。