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47 闇鍋ごった煮カオス鍋

「それではアタシは失礼しますっ!!」

「ちょっと待つのだ!」


 オクタヴィアを引き留めたのはパラケルススだった。

 本音はオクタヴィアを引き留めたかったわけではなく、持ってきた食べ物を持って帰られたくないのだろう。


「そなた、何か誤解しておらんか?」

「トモエさん、誤解って何でしょうか?」

「拙者は断じて不純な関係ではなく純粋にテンタクルス様を夫として慕っておるのだ」


 あー、トモエの馬鹿! 火に油を注いでどうするんだっ!!


「そう……そうなのですね、このバーレンヘイムでは別に婚姻届けは重婚でも特に問題ありませんので、提出は決定から10日以内にお願い致しますっ!!」


 だから誤解なんだってば、私はここではだれとも結婚なんてしていないんだって。


「承知致した、近いうちに婚姻届けをテンタクルス様と二人で提出に行きますぞ」

「あ……あのー、トモエさん」

「何であるか? 我が夫よ」


 ダメだ、コイツ早く止めないとこのまま既成事実を作られてしまう。


「いいんだ、いいんだーァ。どーせ(わらわ)は誰も身内一人もいないまま一人寂しく老いさらばえて寂しく死んでいくんだーァ」


 だからアンタ不老不死のバンパイアロードだろうにっ!!


「テンブラククス―、ワシ腹減ったのだー、何か食いたいのだー!」

「だからもう少し待ちなさいって!」

「……テンタクルスさん、まだ皆さん食事はしていないのですか?」

「まあ、そうなります」

「……アタシが用意しますから皆さんどうぞ食べてください」


 オクタヴィアのこの態度は何なんだ? 何を考えているかまるで見えない。

 だがオクタヴィアはキッチンに立ち、何か用意を始めた。

 そしてオクタヴィアが用意したものは、鍋だった。

 鍋の中には新鮮な蛇やカエル、ブタの臓物などが入っている。

 臭いは悪くない、このバーレンヘイムでも一応食材は用意できるようだ。


「な……なんと、拙者、こんな立派な肉を見るのは久方ぶりだ!」

「え……トモエさん、普段は何を食べてるんですか?」

「草。それとその辺の土とか」


 それは食い物と言っていいのか?


「あの……トモエさん? 給料もらってるんですよね、なのになぜ食べ物がそんなに」

「拙者の給料は全額カタナにつぎ込んでおる!」


 あ……これ、ダメな奴のパターンだ。


「あのー……それで、カタナってどれくらいあるんですか?」

「1000本だ!」


 もうあえて何も言うまい……。

 今は目の前の鍋が煮えるのを待つことにしよう。


「妾はもっと血のような真っ赤な色がいいのョ」

「あー! 貴女何入れるんですか!?」


 エリザベータが煮える前の鍋に真っ赤な酒を大量に注ぎ込んだ。


「ワシのおすすめはこれなのだ!」

「それどう考えても食い物に見えないんですが……」


 今度はパラケルススが鍋に謎の物体を投入した!

 鍋の中の色が真っ赤になった後、真っ青になり、そして黒っぽい紫になった。


「拙者もっとコクがある方が好きなんだが」

「やめてー!!」


 トモエが謎の黒瓶を大量に注ぎ込んだ。


「あの……トモエさん? その真っ黒な液体何ですか?」

「これはヤマトクニの実家から送られてくるショーユなる飲み物だ。一気飲みすると辛くて旨いぞ」

「あーあ、何ですかこの色は……」

「お、忘れておった、これも入れなくては」


 そう言うとトモエは魔獣の糞のような茶色い塊を鍋の中に入れてしまった!!


「わーっ!! それはどう考えても食いもんじゃないでしょ! 魔獣の糞入れてどうするんですか!!」

「テンタクルス様、これは魔獣の糞ではなくミソなるものです」


 ミソって何だ? 魔獣の糞……クソと同じではないのか??


 このポンコツ達が鍋に何でもかんでも好き放題に放り込んだので、鍋の中身はすさまじい色と臭いになってしまっている。


 オクタヴィアは鍋に見向きもせず持参した栄養ドリンクを飲んでいる始末だ。

 出来上がった鍋は見た目も色も臭いもすさまじくドローリとしたものだった。

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