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41 元干物のバンパイアロード

「!!!」


 私の目の前で全裸のままの銀髪の美女がいきなり黒髪の美少女にキスをした。

 これは一体どうなっているのだ?


「フフフ、貴女のエネルギー。瑞々しくて美味しいわョ」

「き、貴様ぁ! 拙者に何をした!?」

「フフフ、ちょっと味見させてもらいましたわョ」


 謎の銀髪美女は舌なめずりしていた、その妖艶な唇に見えたのは鋭い牙だった。

 まさか、彼女は。

 私は干物のミイラを沈めていた浴槽を見てみた。

 そこにあったのは脱ぎ捨てられた衣装だけ、まさか彼女は!


「フフフ、(わらわ)の名はエリザベータ。偉大なる夜の支配者にして闇の眷属なり」

「な、何だってぇー!!?」


 し、信じられん。

 この妖艶な美女があのカチカチの干物のミイラだったというのか。

 何たる劇的ビフォーアフター、これ程の美女はかつての私の嫁達の中ですらトップクラスだ。

 しかしよく見ればこの高身長に女性という特徴、あの干物ミイラと同じと言えば同じだ。


「貴様ぁ! よくも拙者の純潔を穢してくれたな。斬り捨ててやる」


 黒髪の鬼娘は激怒しながらカタナでエリザベータを斬った。

 彼女の手がカタナでスッパリ切り落とされ、手首は床に落ちた。


「あら、何するのョ、痛いじゃない」


 エリザベータはきょとんとした顔で斬られた手首の根元を見ていた。

 その斬り捨てられた方の手首は床で粉の様になり消滅し、その灰はお湯に流されていた。


「じゃあ元に戻すわョ」


 エリザベータが少し魔力を使うと斬られたはずの手首は一瞬で元通りに回復していた。


「な……面妖な、このバケモノ」

「あーら、バケモノは無いんじゃないのォ? こんな美しい(わらわ)をバケモノ呼ばわりは悲しいわァ」


 エリザベータは音も無く一瞬で黒髪の美少女の裏に回り込み後ろから彼女を羽交い絞めにした。


「いたずら子猫ちゃんにはオシオキをしてあげないとねェ」

「貴様! 離せっ。拙者をどうする気だ」

「可愛がって ア ゲ ル」

「やめろぉぉぉーーー」


 私の目の前で黒髪の鬼娘は全身をエリザベータに舐めまわされ始めた。

 流石にこれはちょっとヤバいのではないのか?

 そして私は今全裸で風呂場にいる、しかしこの後はこの浴場は女湯の時間

 ここで誰か風呂に入ってきたら私はバーレンヘイムに来て早々破滅確定だ!!


「ちょっと待ってください、お姉さん」

「あら、貴方はァ? (わらわ)をよみがえらせてくれたお方ですねェ」


 エリザベータは黒髪の鬼娘を離し、私にすり寄ってきた。


「あら、いい男じゃない。(わらわ)を蘇らせてくれた事、感謝いたしますわョ」

「わかりましたから早く服を着てください、私もここを出ますから!!」

「えー、これからが楽しい時間のはずなのにィ」


 私はどうにか風呂を出て素早く着替えるとエリザベータを連れて私の部屋に連れて帰った。



「テンタルタルソース、そいつは誰なのだ?」

「……あの干物ミイラが何故かこうなった」

「! 信じられないのだ!?」

「あーら、お嬢ちゃん、可愛いわねェ。お名前は何ていうの?」


 エリザベータの目が光った、どうやら彼女は魔眼の持ち主らしい。


「ハイ。ワシハ、パラケルススナノダ」


 パラケルススの目が虚ろになっている、これはやりすぎだろう。


「あのー、エリザベータさん。ちょっと魔眼は勘弁してもらえますか?」

「えー、この子可愛いから一緒に遊びたかったのにィー」


 ダメだ、コイツは淫魔が服を着て歩いているような物だ。


「ならせめて貴方が(わらわ)の相手をしてくれませんかねェ」


 エリザベータは私の身体に指を沿わせて誘惑してきた。

 ヤメてくれー! そんな事をされたらまたまたまたまたまたアブソリュート様の呪い確定だ!!


「ヤメてください! 私は貴女に手を出すわけにはいかないんです」

「えー、せっかく復活できたのにィ」


 エリザベータは不貞腐れた顔で私を見ていた。

 その直後、私にアブソリュート様の呪いが発動してしまった!!

 今度の呪いは全身に熱い鉄の焼きゴテを押し付けられるような痛みだった。


「ギャアアアアアーーー!!!」


 それを見ていたエリザベータが不思議そうな顔できょとんとしていた。


「ねえ、パラケルススちゃん。アレは一体何なの」

「はあ、それがどうやらテンプラタクスは女にエッチな事をしたりされたりするとあの呪いを受けるらしいのだ」


 それを聞いたエリザベータは苦しんで転がる私を見て大爆笑していた。

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