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37 とりあえず仕事しよう

「ビャアアアアアーーーー」


 パラケルススは更に号泣していた。

 何故なら無事だったコレクションも超音波のような泣き声で微細にヒビが入り使い物にならなくなっていたからだ。

 とにかく早く泣き止んでくれ、このままでは私の耳までおかしくなりそうだ。

 何かパラケルススの気を紛らわせる事が出来る物があればいいのだが。


 ……これは出来るだけやりたくなかったが、仕方ない。


「メタモルフォーゼ」


 メタモルフォーゼ、私の持つスキルの一つだ。

 膨大な魔力を使い、姿を変える事が出来る、これでもふもふの生き物になって癒してやるか

 私はほわほわの犬の姿に変わってみた。


「ワウ」

「……ウワーーーー! 犬ゥゥゥゥ―――!!」


 どうやらパラケルススは大の犬嫌いだったらしい、これは失敗だ。


「ワウ……メタモルフォーゼ」


 私は元の姿に戻った。

 パラケルススの超音波泣きはまだ続いている、このままではマジで私の頭が割れる。


「メタモルフォーゼ」


 私は女性の姿に変身して彼女(?)を慰める事にした。


「よしよし、いい子いい子」

「えぐ……えぐっ……おねーちゃん、おねーさまーーー!」


 パラケルススは私の胸に飛び込んできた、今の私は女性の姿なのでこれならアブソリュート様の呪いは受けないだろう……と思ったのだが。


「ああー憧れていた百合なのだー、とりあえず服を脱がすのだー」


 まてまてまてまて、流石にそれはエッチな事になるので勘弁してくれ!

 しかしパラケルススはそんな私にキスをしてきた!


「!!」


 ダメダメダメだっ! 男女とか関係なくこのままでは間違いなく呪い確定だ!

 危険を感じた私はパラケルススを突き放した。


「まままままて、私はこんな姿だがテンタクルスだ!」

「テンタクックス様―、ワシ……オマエが男でも女の姿でもどっちでも愛せるのだ、だから問題ないのだー」


 マジで勘弁してくれ!

 と思っていると……やはり呪いが発動してしまった。


「ギャアアア痛い痛い痛いー」


 今回の呪いは何度も上から大きな重い物を落とされて全身の骨が砕けたような痛みが延々と続いた。

 痛みでのたうち回る私をパラケルススはジーっと見ていた。


「苦悶の表情のおねーさまも素敵なのだ」


 コイツ、マジで一度シメてやる。

 呪いの痛みが落ち着いた私は変身を解いて元の姿に戻った。


「あーひどい目にあった。パラケルススさん、時間大幅に遅れたので一緒に庁舎行きますよ」

「わかった、ついて行くのだ」



「あらテンタクルスさん、今度はどこで可愛い女の子をひっかけてきたのでしょうか?」


 案の定オクタヴィアは私に辛辣な第一声をかけてきた。


「パラケルススさんの所に行ってきたんです、それでパラケルススさんを連れてきました」

「ふざけないでください、パラケルススさんは初老の男性です!」

「本当なのだ、ワシがパラケルススなのだ」


 オクタヴィアが美少女を見てきょとんとしていた。


「あの、お嬢さん。パラケルススさんのお孫さんですか?」

「違うのだ、ワシがパラケルスス本人なのだ」

「あのー、オクタヴィアさん。パラケルススさんはホムンクルスになってしまったんです」


 オクタヴィアにこの少女がパラケルススだと説明するのに私達はかなりの時間を要した。

 そして研究室は大爆発を起こし、書類も何もかもが吹っ飛んでしまった事を伝えるとオクタヴィアは呆れ果てていた。


「毎度毎度、なぜ貴方はそうトラブルばかり抱えてくるのですか?」

「すみません」

「……仕方ありません、税金滞納とか今は取れるとこ無さそうなのでここで働いてもらいましょう」

「わかったのだ! ワシに出来る事なら手伝うのだ」


 パラケルススはなんだかんだでこの執務室のアシスタントとして働くことになった。

 力の制御方法を覚えたパラケルススは何気に有能であり、てきぱきと仕事を片付けてくれた。


「ところで何故みんな窓から出入りしているのだ?」

「この大扉が壊れてしまい開かなくなっているからですよ」

「なんだ、そんな事ならワシがどーにかするのだ」


 パラケルススは大扉の下の部分を持つといとも容易くねじ切ってブッ壊してしまった。


「どーだ、これが美少女ホムンクルスのフルパワーなのだ!」

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