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33 美少女ホムンクルスの爆誕

 パラケルススは自らを美少女ホムンクルスにすると言っていた。

 このジジイは頭が末期になったのだろうか?


 かつて神の軍団の天使軍団を倒した最強のゴーレム軍団を作ったのがこのパラケルススだった。

 パラケルススのゴーレム軍団、それは赤青黄色グレー緑様々な色のカラフルな物だった。

 しかしそのゴーレムを小さくしたような人形がこの部屋にはあちこちに転がっている。


「コラ―! 三体合体キンググレートを踏むなーなのだ!!」


 それはこのゴーレムのような人形の事か?

 私が踏んでしまったゴーレム人形はバラバラに砕けてしまっていた。


「すまない、悪気はなかったんだ」

「……まあいい、合体システムは壊れていないようだ。単にパーツが外れただけだったみたいなのだ」


 パラケルススは転がった人形のパーツを集めると一つに合わせ始めた。


「このパーツとこのジョイントを合わせて……これをひっくり返すと、よーし! 完成したのだ!」


 パラケルススはバラバラだったゴーレムを一つに合わせてとても楽しそうだった。


「あのー、パラケルススさん?」

「なんなのだ? ワシは今から美少女になるのだ、邪魔すると許さないのだ」

「あの……何をどうすれば爺さんが美少女になれるんですか?」

「いい質問なのだ! 今から天才であるこのワシの凄さを見せてやるのだ」


 パラケルススはそう言うと二つの筒状の水槽の前に立った。


「この中にあるのがワシの最高ーに可愛いを集めた究極の『ホムンクルス28号』なのだ!」


 その筒状の水槽の中にいたのは私の元嫁の中でもかなり美少女と言えるレベルの娘と同レベルの美少女だった。


 出るとこは出つつ、それでいて細くくびれた所は折れそうなくらい華奢、しかし肉付きは悪くなく、髪はツインテール。

 顔は可愛いとカッコいいと美しいを最高のブレンドで配合したバランスの美少女そのものといえるものだった。

 確かにこれは最高の美少女とパラケルススが言うのも頷ける。


「で、これをどうするんですか?」

「ちょうどいい所に来てくれたな若いの、ワシはこのもう一つの水槽の中に入るのでそのレバーを上げてボタンを押して欲しいのだ」

「え? 私がやるんですか??」

「水槽に入ったらワシが動けるわけがないのだ、オマエがやるのが正解なのだ」


 このジジイ、人を顎で使う事に何の抵抗も無いのか。

 まあ私は早く書類の書き直しをしてもらう為に手伝ってやる事にした。


「では……やりますよ」

「早くやるのだ、ガツーンといってくれなのだ!」

「わかりました」


 私はレバーを上げ、ボタンを押した。

 すると怪しげな機械が唸りを上げて雷の魔法を集めたような稲妻が迸った。

 そしてビリビリと激しい音を立てた後、ゴウウンゴウンといった異音を鳴らしてよく分からないエネルギーが水槽から水槽に移動していた。


「アガガギョギョギョーーーーエェー!!」


 パラケルススが訳の分からない叫び声をあげている、見た目は苦しそうだ。

 そしてパラケルススの元の老人の肉体は沈黙した。

 その後、ホムンクルスの目がゆっくりと開き、機械の鳴動は徐々に停止した。


「パラケルスス……さん?」


 パラケルススだった老人は何の反応も示さない、生命活動を停止しているようだ。


「ワシを呼んだのだ?」


 いきなり可愛らしい女の声が水槽の中から聞こえてきた。

 どうやら実験は成功したようだ。


「ワシが美少女になった天才美少女錬金術師パラケルススなのだ!」


 パラケルススは水槽の中からドヤ顔で自己紹介をした。

 しかしその後外に出られない様だった。


「しまった! こちらの水槽の出口を作るのを忘れていたのだ!」

「アナタは何をやってるんですか……」

「仕方ないので内側からパンチでぶっ壊すのだ」

「へ?」


 パラケルススは水槽の中から分厚い透明な壁をぶち破り水をあたりに撒き散らしながら出てきた。


「あースッキリしたのだ。ところで若いの、顔をそむけてどうしたのだ?」

「あ…あの、服! 服!」

「あ、ワシは今服を着ていなかったようなのだ、すまなかったのだ」

「わかりましたからアナタは何かさっさと服を着てください!!」


 このジジイ、見た目美少女になっても中身は全く変わらないようだ。

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