27 誤解がねじれてぐっちゃぐちゃ
最悪のタイミングで最悪の来訪者が現れた!
袋に食材を抱えていたオクタヴィアは袋をその場に落とし、茫然としていた。
そして目の前には横になっている私とその上に覆いかぶさろうとしていた裸エプロンのリオーネである。
これは誰がどう見てもこれからナニかしようとしていたタイミングにしか見えない状況だ!!
「あ……あ、そう。今丁度その可愛い人といいこと始めるとこだったのね! お邪魔しました!! この変態性欲触手絶倫魔族っ!!」
オクタヴィアは大きく声を荒げると落とした袋も持たずにドアをバン! と強く閉めて帰ってしまった。
ああ、明日の仕事が思いやられる。
これは確実に誤解されただろう、私は今エッチな事できるわけがないのに……。
しかしそれでも今私の前にはリオーネの大きな胸が押し迫っていた!!
「テンタクルスーぅ、食事の前にオレを食べて」
「だから貴女の脳は昨日の事全く覚えてないんですかー!??」
リオーネは私がアブソリュート様の呪いで女性にエッチな事をすると凄まじい災いに襲われる事を言ったのにすっかり忘れていた。
舌を出してハアハア言いながら私に迫ってくる彼女は盛りのついたケダモノそのものだ。
「ねえねえねえ、オレと気持ちよくなろうよー」
「だからダメなんですってば!!」
今後は部屋にいる時は鍵を閉めておいた方が良いのだろうと私は考えた。
しかしリオーネだと鍵のついた扉ですらこじ開けるだけのバカ力なので更に結界すら貼った方が良さそうだ!!
リオーネのバカ力は凄い物だ、現に私は今動けない!
本来の私のレベルなら89でリオーネは69、私が力で負けるわけがないのだが、今は私はレベル30のクソザコに落ちぶれているのでリオーネをはねのけるだけの力が無いのだ。
リオーネはハアハア言いながら目の中をハートにして私に押し迫っている!
このままではまた呪いを受ける事は確実だ、しかし私には彼女を押しのけるだけの力が無い。
「やめてー! マジで勘弁してー!!」
「そんなこと言われたらますます興奮するじゃねぇかよー、いただきまーす」
私は上から覆いかぶさるリオーネを力ではねのける事が出来なかった、ひょっとすると私が触手で堕としてきた元嫁達も最初は同じ気分だったのかもしれない。
私は今になって嫌がる女性を自身の力でねじ伏せてきた事を反省、後悔した。
今の私の目の前にあるのは巨大なおっぱいという目に見えた絶望である。
「テンタクルスだーいすき!」
「あああああーーー!! やめてー!!!」
私はついにリオーネに捕まってしまった! 彼女は私に大きな胸を押し当ててくる。
本当ならとても嬉しいはずなのだが、アブソリュート様の呪いが確実なこの状況では絶望でしかない。
「アガガガッギャァアァァアア!!!!」
私の全身を全身をギガンテスやティターンが全力でマッサージするような痛みが襲った!!
全身の骨がボキベキボキボキボキと激しい音を立てている。
アブソリュート様の呪いはバリエーション豊富なのか?
これからもリオーネに振り回されると私はこの呪いを受け続ける事になるのか???
「あー、やっちまった。テンタクルスー、だいじょーぶ?」
「ダダだっ大丈夫なわけ……あまっまなななないでしょしょしょゅーー!!」
私は言葉すらまともに出せない状況だ。
ギガンテス、ティターンの全身全力マッサージは死ぬような痛みだった。
そしてその痛みは10分程続いた。
「あああ……はぁ……ハア……ハ……」
マジでこの呪いはヤバい、このままでは私はいつか確実に死ぬか壊れてしまう。
どうにかしてこの呪いを解く方法を調べなくては。
「テンタクルスー、元気出しなよー。美味いもん作ってやるからさー」
「えええー!! これ以上勘弁してー!!」
リオーネは動けない私を置いたまま裸エプロンで豪快に肉を焼いた。
そして出てきたのは真っ黒こげの炭化した肉だった。
「オレは生肉の方が好きなんだが、テンタクルスは料理した方が良いんだろうなと思ってよ、愛情をこめて料理したんだぜ」
私の目の前に出されたのは大きな真っ黒こげの肉と……何故か横に私の触手だったであろうものが同じくこんがりと真っ黒こげになって皿の上にのっていた。