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26 食う寝るところに住むところ

 どうにか自分の住める部屋を確保した私はその日の仕事を後半も触手に手伝ってもらい済ませた。

 流石に昨日の今日で就任三日目になると少しはこのバーレンヘイムの事が分かってきた。


 バーレンヘイムの執政官として就任した私は全部の課の書類を一通り確認した。

 書類は住民課、軍務課、財政課、農務課、工業課、総務課等に分かれていたが、どの課の書類もダメダメのダメダメだった。


 まず、字が汚い。一行読むだけで一分以上かかる程の悪筆。

 酷い物になると紙がボロボロなだけでなく、紙ですらない葉っぱや粘土板に書いた物、字が書けずにひづめにインクをつけて押しただけの書類とすら言えないようなものまであった。

 中でも一番びっくりしたのは炎や氷を置いているものだった。

 どうやら炎の魔神の提出した書類扱いの物で書類だと燃えてしまうので炎に魔法で刻み込んだ呪語を使い、それを解読する事で書類扱いにしたようだ。

 発想は凄いかもしれないが、こんなことやらせるくらいなら代書してやればいいのではないのか? 下手すれば全部の書類が燃えるぞ。


 氷は同じくペンや何かを使うと凍りついてしまう氷の魔神のもので、こちらは永久氷壁を削りだして決して溶けない魔法をかけた物に高熱の鉄筆を使い文字を刻み込む事で書類扱いにしたものだった。


 だからお前ら代書屋に頼めっての!! 無駄にわけわからん特例作るな!!


 こんなわけわからない書類もどきと格闘すること数時間、私はどうにかその日の業務を終わらせた。


「アタシは定時なのでこれで失礼します」

「ああ……ご苦労さん」


 返事は無かった、オクタヴィアは開かない扉ではなく横の窓から出て行った。

 この開かない扉もいつかは修理しないと。


 今日の仕事を終わらせた私は住民課にめちゃくちゃ待たされて手に入れた自分の新しい部屋の鍵で部屋を確認する事にした。

 さあ、これから宿舎の最上階の執政官用の部屋が私の部屋になるのだ。

 私は鍵を開け、新たな私の部屋に入った。

 部屋は結構広く、ベッドとキッチン以外は何もない部屋だった

 というか広すぎた! 一人暮らしでこの部屋はあり得ないだろう!? というくらい広かった。

 部屋には前任者の敷いたであろう草がぼうぼうに生い茂っていた。

 魔素が少ないこのバーレンヘイムでこれだけ草をぼうぼうに生やす、これはグレートミノタウロスが自身の魔力で作った草原だったのだろう。

 というか部屋に草生やすな。


「んもー」


 私は触手を生やしてその触手に無駄な草を全部食べさせた。

 小一時間もすると部屋の中の草むらだった場所は綺麗なペンペン草すら生えない床になっていた。


 さて、これで寝れるかな、私が荷物を置いてベッドに横になろうとしていた時にいきなりドアを叩く音が聞こえた。


「テンタクルスー! 新しい部屋に住んだんだってな。おめでとー!!」

「あ、貴女はリオーネさん!?」


 リオーネは袋一杯に肉を持ってきた。


「これ引っ越し祝いな! 一緒に食おうぜー」

「い、いえ。私は今は食欲があまり無くて……」


 ググウウウウウ…… 私のお腹は空腹を訴えてしまっていた! どうしてこのタイミングで!?


「なんだ、やっぱり腹が減ってるんじゃん、オレに任せな。美味いもんくわせてやるからよぉ」


 そういうとリオーネは持参したエプロンを用意した。


「ちょっと待ってろよ、今用意するから」

「だから貴女は何故いきなり服を脱ぐんですか!?」

「えー、だってエプロンつける時って裸になるだろ」


 それはいったいどこの常識だ!? 裸にエプロンって流石に私の元嫁達にもさせた事は無いぞ??

 だが、素早く服を脱いでエプロンだけをつけたリオーネは私に抱き着いてきた。


「テンタクルスー、オレ可愛いって言ってくれたよなー。今のオレって可愛い?」


 リオーネは大きな胸を押し付けるように私に迫ってきた! これは非常―にマズイ!!

 そのタイミングで最低最悪の来客が現れた!


「テンタクルさん。これ引っ越し祝い……」


 まさか来るはずのないオクタヴィアが丁度のタイミングで私の部屋のドアを開けてしまったのだ!!

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