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24 一つ屋根の下の寝れないベッド

 アブソリュート様のかけた『女にエッチな事をすると災いに襲われる』の呪いは恐ろしい物だった。


「うううぅ、酷い目にあった」

「大変だな、大丈夫か? 一体どうなってんだ?」

「アブソリュート様の呪いですよ。私が女の人にエッチな事をすると災いが降りかかる呪いをかけられてしまったのです」

「はぁ? 何だヨそれ??」


 私は今までの情けない経緯を仕方がなく全部リオーネに伝える事にした。

 ポリコールの事、バーレンヘイムに飛ばされた事、オクタヴィアに邪険にされている事。それらの全てを夜の長い時間の間に全部話したのだ。


「テンタクルス、お前苦労したんだなぁ、よしよし」

「ああーだから触らないでくださいってーー!!」


 私のお願いを無視してリオーネはその大きな胸を押し当てて私をぎゅっと抱きしめてくれた。

 悪気が無いどころか同情して母性本能でやってくれたのは分かるんだが、この後また確実に呪いを受けてしまう!!


「だーからーやめってーーーーって言ってるんです―――!! ぎゃぎゃギャギャーーー!!!」


 私はまたアブソリュート様の呪いを受けてしまった!! 今度は全身を何十本の指で強くつねられるような痛みが襲った!!


「あ。いけね、今触っちゃダメだったんだな」

「だからさっきもそう言いましたでしょーー!! 痛い痛い痛い痛いギャガーー!!」


 私の全身をつねられるような痛みはしばらく続いた。


「ゼェ……ゼェ…… もう……勘弁してください」

「わかったよ……せっかく久々にメスの楽しみが出来ると思ったのに……チェッ」


 リオーネが不貞腐れて頬を膨らませていた。

 彼女は性格はアレだが傍から見ても間違いなくかなりの美人だ。

 私がこんな状態でなければ朝まで二人で楽しめたのかもしれない、しかし今は絶対に無理だ。


「それよりもさっきまたぶちまけたゴミですが、これは私のせいですので責任をもって片付けさせていただきます」

「悪かったな、手伝うよ」


 その後私達は汚部屋だったリオーネの家を徹底的に掃除した。

 私のセンスでその辺りに転がっていた可愛い小物を綺麗にレイアウトし、きれいに掃除された部屋は年相応の女の子の部屋に相応しい可愛らしい部屋になった。


「綺麗になりましたね」

「ありがとうな、ここまでやってくれて」

「いえいえ、大したことじゃありませんよ」

「テンタクルス……アタシ」


 普段自分の事をオレと言っていたリオーネがいきなり態度が変わった。


「アタシ、変かな? こんなガサツで男っぽいのにこんなかわいい物が好きだなんて」

「いえいえ、問題ありませんよ、むしろ可愛いくらいです」

「可愛い? アタシが??」


 リオーネは顔を真っ赤にしてもじもじしていた。


「テンタクルスー! 一緒に住もっ! そんで二人の可愛い赤ちゃん作ろっ!!」

「だから貴女はさっき言った事もう忘れたんですかー!!!」


 リオーネは私の上に覆いかぶさってきた! また呪いに襲われるー!!


「ギャガガガギョエェェェーーー!! グッギョゲギョギョー!!!」


 呪い再び、いや三度目、私は全身をブチブチと上下に引きちぎられるような痛みに襲われてしまった。


「あ、いけね。さっき触ったらダメって言われたんだった」

「それを先に思い出してー下さーーーい!! ッギャギャギョー!!」


 呪いの痛みはしばらく続き、私はもう立ち上がるだけの力も無かった。


「もう勘弁して……下さい」

「わかったよ、じゃあオレもう寝るからな!」

「わかりました、私は床で十分ですよ」

「せっかくお客さん泊めてるのにそれはないだろぉ、それにやく一年ぶりにベッドがまともに使えるようになったんだから」

「へ?」

「ベッドで寝てていいよ、オレが床で寝るから」

「しかしそれでは……」

「いいんだよ、気にすんなっ」


 私はリオーネにベッドを譲ってもらい寝させてもらう事にした。



「よーし、テンタクルスはもう寝たか。じゃあ横に寝させてもらおっと」


 リオーネはベッドで寝ていた私の横に潜り込んできた。

 そして肌を密着させて凄い力で私をギュッとハグしたのだ!!


「グゴオオオオォオオオギャヤアア!!!!」


 私は一晩中、寝たままリオーネに抱きしめられたせいで、朝まで呪いの痛みによりその後一睡もできなかった。

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