23 柔らかい感触は地獄の痛み!?
私の触手は便利で思い通りに動かす事が出来る。
しかしこれに意識を入れると痛覚や触覚まで共有する事になるので攻撃されれば激痛が来るのも当然ではある。
「あれ? 私の触手たちはどうなりましたか?」
「食った」
「はぇっ!?」
「全部食っちまった。不味かったけどな」
……触手を食べる? 私はリオーネのまさかの斜め下の行動に頭の整理が追い付かなかった。
「わ……私が寝ている間にあの触手を食べちゃったんですか!?」
「ああ、コリコリした触感は良かったんだが、ぶっちゃけゲロ吐くほど不味かった」
「じゃあ何で全部食べたんですか」
「捨てるのもったいなかったから」
……彼女の思考回路は理解できない。
獣の本能なのか? 目の前に何かが有ったら食べなきゃ気が済まないというのか??
「でも不味かったなー、苦くてえぐくて臭くてさらに変な汁出てて」
「全部食べてて文句言うんじゃない!!」
リオーネは終始こんな性格だ。
考えるよりも先行動、その為自滅する事も多い。
しかしそれ以上の身体能力で簡単に克服してしまうので結局反省しないまま同じことを繰り返すのだ。
「で……お腹は大丈夫なんですか?」
「ああ、全然問題ないぜ、不味かったけどな」
私の触手はそこまで不味かったを連呼する程食べるに値しないのか。
まさか自分の触手を食べた事なんてあるわけないのでそんな味についての感想を生きている間に貰うとはとても思えなかった。
「私の触手、もう食べないでくださいよっ!」
「もう食えないよ、全部食べちゃったから残ってないし」
身も蓋も無いがその通りだ、無い物は食べれない。
「で、せっかく起きたんだからどうだい? 一杯」
「いや、遠慮する」
こんなすきっ腹で度数特濃の酒なんて飲んだら確実に悪酔い確定だ!
私は全力で酒を進めてくるリオーネを拒否した。
「ちぇっ……なーんだ、つまんねーの」
「勘弁してくださいよ」
「わかったよ、そのかわり……」
「何ですか?」
私は嫌な寒気に襲われた。
「オレのおっぱい、触ってくれないかな?」
「えええええぇっ!?!???」
いきなりの大胆発言である、今の私にはこれは絶対拒否案件だ。
「いやいやいやいやいや、無理無理無理無理無理絶対無理です!!!」
「なんだよ、そこまでオレのおっぱい触るの嫌かよっ!?」
「そうじゃないんです、私には触れない理由があるんですっ!!」
「はぁ? お前変な宗教でも入ったのか?」
「断じて違います!!」
「じゃあ触れよ、遠慮しないでさ」
彼女の強引さは相当である、それに酒が入っていて更に肉食女子化していた。
「だからダメですってばっ!!」
「そう言われたらなおさらに嫌でも触らせたくなるね。うりうりー」
やめてくれー、今の私が女性にエッチな事をすると凄まじい災いに襲われるのだー!!
「さーわった」
「あああああーーー!!!」
私は強引に迫ってきたリオーネを払いのけようとして彼女の胸に触れてしまった、柔らかくて大きい胸が手をいっぱいに包み込んでしまった。
「どうだい、オレの大きくて興奮するだろ」
「あああーーやめてー!!!」
これは確実に呪いの大ダメージ確定だ!!
私は絶望感に襲われていた……。
「ウギャガガガガガギャァァァアァム!!!」
私の全身をギリギリと絞る様な痛みが襲った!
前回は全身を針で刺されるような痛みだったが、エッチな事の呪いは毎回バリエーションが違う痛みらしい!!
「??? お……オレ悪くないからな!!」
その後私は七転八倒してゴロゴロと転がった。
運が悪い事にその時まとめたゴミの山に突っ込んでしまったのだ!
「ギャギャアァァァァアアア!!!」
私は痛みの中で更にゴミの山に埋もれてしまうという災いを受けてしまった!
恐るべしはアブソリュート様の呪いである。