167 デストウガラシのソース
どうにか久々の更新です。
実は先の展開に詰まってました。
ようやくこの先の展開が決まったので再開します。
一面緑だった森は、ポンコツ連中のせいで一瞬にしてペンペン草すら生えない荒地になってしまった。
「何やってくれてんですか!! ここにいた生き物はどうなったんですか!?」
「まあ、大きなことを成し遂げるためには、多少の犠牲は仕方がないことですわ」
コイツ、綺麗な事を言っているようで、実はかなりえげつないことを言っているのに気が付いているのだろうか?
「もし森の住民がいたら恨まれるのは私達なんですよ!!」
「その時は圧倒的な力でねじ伏せれば良いでしょ、力こそパワーなのよ」
ダメだ、この連中には配慮とか手加減とか力の配分といった物が全く存在しない。
このままではどこまでもこの破壊の権化たちを野放しにしてしまうことになる。
「わ、わかりました。とりあえずお昼にしましょう」
私はどうにかこうにかでこの連中の気をそらせることにした。
今日の昼はコカトリスの玉子のオムライスだ。
ウー・マイの腕には劣るモノの、今のオイオリュカやブブカの料理は十分食べることのできる味だ。
「オイオリュカちゃんが頑張って作ったんだよー。愛情たっぷり入ってるからたくさん食べてねー」
まあ、見た目は何の変哲もないオムライスだ。
これを食べて地雷という事はないだろう。
そう思っていた私が甘かった!!
「!!!!???? 何だこの辛さわぁああああー!!」
「え? おかしいなー。ウー・マイ料理長の作ったのを見よう見まねで作ったのに」
途中まではよかった。
見た目も良い、真っ黒こげでもなきゃ中身に変な材料を使っているわけでもない。
しかし、上に乗っている赤い物が全てをぶち壊していた!
この料理を食べてしまった全員が悶絶している。
ファーフニルに至っては口から火炎を吐き出す始末だ。
無事なのはトモエただ一人だけだった、一体どういう口と舌をしているのだあの女は!?
「オイオリュカちゃんが悪かったのー? みんななんでそんなにひっくり返ってるのー?」
この子は決して悪意があるわけではない。
いや、悪意が無いだけにたちが悪いのだ。
種明かしをすると、実はウー・マイの使った赤いソースはキラートマトと呼ばれる赤い食肉植物をすり潰してペースト状にしたもの。
しかしオイオリュカの使ったソースはデストウガラシという超激辛成分の塊の赤い実をすり潰してペースト状にしたものだったのだ。
このデストウガラシ、実を一つ食べただけでギガンテスが三日は苦しむという超ヤバい代物だ。
それをふんだんに使ったソース。
そりゃあ地獄絵図が広がるのも仕方がないと言えよう。
「み。水をくれ!」
「ヵらい! からーぁぁあぁーい!!」
「ピリピリホッホーッ!!」
このポンコツ連中だけならまだしも、工事スタッフ全員が今ひっくり返ってしまっている。
まさに集団食中毒と言えるような状態だ。
そういう私もこの耐性はもっていなかった。
そのため地面を何度もゴロゴロと転がり、苦しんでいる。
「そんなに美味しくないのかなー?」
味見をせずに作ったオイオリュカだったが、自身も確認のためにそのソースを少し舐めた。
「!!?!?!? みぎゃやぁああああー!!! からいい! からいィ―!!」
少し舐めただけだったオイオリュカですら、そのデストウガラシのソースの破壊力は十分だった。
そして工事現場だった場所は、死屍累々が横たわり……工事は数日ストップしてしまった。
幸い、工事の工期から考えるとあのポンコツ連中が森を荒野にしてしまったので、森林伐採の想定時間を大きく上回っていたので時間はそれほど大きくずれなかった。
ようやく動けるようになった連中が工事を再開したのはそれから一週間後のことだった。
鉄道の敷設工事はある程度に進み、後は大きな山をどう工事するかの局面に至った。
そして、後日料理でのデストウガラシ使用禁止令が出されたのは当然の話である。




