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161 機関車ドーモス

 線路敷設工事計画のためには線路に沿った形の車が必要だ。

 大型の魔獣車のサイズに合わせた線路を作ることで当分はどうにかできそうではある。


 だが、魔獣車の大半は木でできている。

 金属部分が無いわけではないが、金属部分はあくまでも補強金具といったところであり、強度的には、ハッキリ言って不安しかない。


「テテンタンクルスー、ひどいのだ、ワシがいない間に何か面白いことやってたのだー」


 いや、貴女めたばーすとか何とか言って材料探しに行くために引き籠りライフをやめたんでしょ。


「い、いえ、特に面白いこととかではなかったのですが」

「では何をしていたのだー」

「私達は貴女が出かけている間に鉄道を敷く計画を話していました」

「やはり何か楽しそうなことをしてたのだー、ズルいのだー!」


 このお子様は一体どうしたものか。


「ズルいと言われましても……」

「列車を作ってそれを走らせるなんてロマンなのだー、それをワシ抜きで進めるなんてー」

「あの、列車って何でしょうか?」

「なんだ、列車を知らんのか、フッフッフー、仕方ないのだ、ワシが教えてやるのだ」


 またいつものドヤ顔だ、今度は何を話すのだろうか。


「列車というのは、鉄道の上を自動で走らせるものすごーく早い車のことなのだー」

「?? 車って、荷車がそんな速さで運べるというのですか?」

「魔獣の引っ張る荷車とはレベルが違うのだ、もっとも~っと早いのだー」


 パラケルススが言っているのは一体何を作ろうというのだろうか。


「それで、その列車というのは魔獣車よりどれくらい凄いものなのですか?」

「ワシに任せればすぐにでも作ってやるのだ、一週間待つのだー」

「わかりました、一週間ですね。材料はあるのですか?」

「ワシがあちこちで探してきた材料を使うのでそこは問題無いのだー」


 まあ任せてみることにしよう。

 私達はその一週間の間でアリアや土木班のスタッフに指示して同じ幅の鉄道工事を進めることにした。



 そして一週間が経った。


「あの、約束の一週間が過ぎましたが、完成したのですか?」

「フッフッフー、そこにあるのが完成品なのだー」


 パラケルススはそう言うと、何か巨大な円筒型の物体の周りを包んでいた布をはぎ取った。


「どーだ、これがワシの傑作。機関車なのだー」


 そこにあったのは黒光りする巨大な円筒に下の部分に何個もの車輪がついた不気味な物体だった。


「あ、あの……これは一体何ですか?」

「これぞワシの発明品、機関車なのだ、名前はドーモス、つまり機関車ドーモスなのだー!」


 そこにあった巨大な円筒は、先端部分に不気味な顔がついた不気味な物体だった。

 その顔にはぎょろりとした目、あぐらをかいた鼻とその下に伸びるくっきりとした不細工な線、そして口が存在した。


「な、何ですか、この不気味な物体は??」

「えー、不気味とは何なのだ、この顔が可愛くないのか?」


 いや、お世辞にも可愛いとはとても言えない、例えるなら巨大化したゴブリンやオーク、オーガーやトロルのような不細工な顔だ。


「うわー、なんやねんこの顔、めっさキモッ!!」


 アリアもこの顔は不気味で不細工だと思っているらしい。

 後ろで工事班のスタッフもうなずいていた。


「みんなひどいのだー、なんでこの可愛さがわからないのだー!」

「い、いや、これが可愛いとはとても……それよりなぜ顔が必要なのですか?」

「この機関車は燃料になる石を使って走るのだ。その燃料を効率良く摂らせるために顔を付けたのだ、そして意志を持たせたのでそれを話す為にも表情豊かに設計したのだ」


 そう言われるとなるほどとは思うが、それでもやはり不細工である。


「やあ、ボクは機関車ドーモスだよ」


 見た目とは違った軽い声で機関車ドーモスが挨拶をしてきた。


「は、初めまして……ドーモスさん。私はバーレンヘイム執政官、『テンタクルス・ネジレジアス』と申します」


 私はなぜか不気味な顔の金属の塊に挨拶をすることになった。

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